Pickpocket 2018

 

9月を療養にあて、10月から心身ともに復活するつもりだった。

 

10月1日、銀座で靴を2足修理に出すと、修理から戻るまでの間、秋に履く靴がないことに気づき、いくつかショートブーツを履き比べ会計してもらう段で、クレジットカードが使えない、簡単に限度額を超えるようなカードではないから問い合わせたほうが良いかもしれません、とお店の方に言われた。別のカードで支払いを済ませ、帰宅してあれこれ調べ、窓口に繋がる翌朝に問い合わせてみた。

 

誰かが私のカードでホテル予約サイトを通じ、タイのホテルを20万円分ほど予約したらしい。カードの利用履歴は常にチェックされ、普段の購買傾向から外れるような利用があった場合、不正を疑い、使用停止扱いにするらしい。後から振り返って不満だったのは、停止する前に一報してくれても良かったのに、という点だったけれど、確かに身に覚えのない支払いだから停めてくれて助かったことに変わりはない。

 

不正利用分の支払い義務は私にはなく安堵したものの、使い慣れたカード番号が使用停止になり、新たな番号でカードが発行されること、そのためあらゆる自動引き落としの手続きでカード番号を自ら切り替える必要があること、航空会社のカードだったため、マイレージの顧客番号も無効になり新たな番号が与えられること、面倒なのは古い番号で搭乗予約していたので、新たな番号に移してもらうため電話連絡が必要なこと…など…などなど…(息切れ)。

 

起きてしまったことは黙々と受け入れ、黙々と実行項目をこなすタイプだけれど、手術を経て、繁忙期を乗り越え、ようやく普段の生活に戻れると期待した矢先の出来事だったから、さすがの私も心が削られ、復調に時間を要した。

 

日々の消費のうち95%をクレジットカードおよびカードに紐付けた電子マネーで決済する生活だから、メインで使っているカードが被害に遭った今回は、却ってすぐに気づくことができて良かった、と考えるべきかもしれない。友人に話してみると、休眠状態のカードで被害に遭ったことがあるらしく、不要なカードは即刻解約すべし、との教訓を得たそうだ。ランダムに狙ってるんだなぁ。

 

私が好きな映画の中には、ジョニー・トー『スリ』や、ブレッソン『スリ』など、踊るような流れるような手つきでスリを働くものが多いけれど、映画で観る分には興味深くても、自分が巻き込まれると迷惑極まりない!ほんと!犯罪は!映画で観るだけでじゅうぶん!

 

面倒な切り替え手続きがほぼ完了した今、ふと、私のカードが不当に使われたタイのホテルの予約は有効なのか、予約してみたけれど何らかの形で返金を得るための手段だったのか、何を考えているかはさっぱりわからないけれど、犯人はどんな人なのか、ぼんやり妄想する。おそらく犯人は追跡できず、宙に浮いた支払いはカード会社が保険から賄うケースが多いらしい。

 

こんな目に遭ったのだから、妄想の自由ぐらい保障されるべき。願わくば、私のカードを狙った人物は、『極楽特急』のガストン・モネスクみたいな粋な男だったと。オー!ダーリン!ガストンだったらしょうがない。あの男は何もかも軽やかに盗んでゆくのよ。ハートまでもね!

 

 

……どうか、どうかこの先は平穏かつ健康に暮らしてゆけますように……ヨレヨレ……。

 

 

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