パンフレット

 

「牯嶺街少年殺人事件」、長い映画なので昨日、18時半頃から始まり、終わると22時半を過ぎており、眠って起きても身体の中にずいぶん映画が残っていた。夜遅くに食べ過ぎた翌朝の胃みたい。

 

角川シネマ有楽町のロビーは、映画についての貴重な資料の展示があり、私の本棚にある北京で買ったエドワード・ヤンに関する本に載っていた、え!そんな本があるなら読みたい!と思った「楊徳昌電影筆記」が展示してあった。これは「牯嶺街少年殺人事件」撮影時を振り返って?もしくはメモのように?監督が綴ったメイキング本のはず。

 

パンフレットももちろん購入。読みものがなかなか充実しており、人物相関図(大事。暗闇で多くの人物が蠢く映画なので、1度では名前を覚えきれない。制服を着ている人物が多いこともあって、服装で識別するのも難しいし)や、物語の背後にある台湾の歴史解説に加え、濱口竜介監督が4ページにも渡って寄稿している!知らなかったので、めくって名前を見つけた時、とっても嬉しかった。

 

濱口監督は映画監督ならではの目線から「牯嶺街少年殺人事件」を紐解いているのだけれど、鑑賞者としての目しか持たない私からすると、濱口監督の語る「牯嶺街少年殺人事件」自体が、もはや濱口監督の撮る「牯嶺街少年殺人事件」のアナザーストーリーのように文字を追いながら映像のように展開する不思議な感覚があった。

 

観ている間は物語の中心にずっといた小四(スー/張震)を見つめていたけれど、今日はもう1人の主人公・小明(ミン)のことばかり考えていた。2度めの鑑賞で改めて物語をしっかり捉えることができたなら、3度めはきっと、小明のことばかり追いかけてしまう気がする。映画の中の多くの少年たちが、彼女を目で追いかけたように。

 

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Mariko
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