ポーラについて

 

シネマヴェーラで「山猫リュシュカ」再見。2年前、初めてこの映画を観た後、自分に起こった現象も再現され、リュシュカの後味を味わいながら、演じたポーラ・ネグリについて調べ始める。

 

幸い今回は手に入れたばかりの「チャップリンの愛した女たち」が手元にあり、ポーラについて潤沢な記述があった。昨日書いたwikiのエピソードは、あながち誇張表現ではないらしく、チャップリンとの恋愛においても、ポーラの言動はいちいち芝居がかっていた。ましてや相手はチャップリン。他者と共に居るにはあまりに各々が自分を愛しすぎているように思えた。チャップリンの妄信的なファン(今なら接近禁止令を即座に出されるであろう、恐ろしい行動力のストーカー女性)とポーラが鉢合わせたくだりなど、ルビッチが映画にすべき喜劇的題材。

 

読み終わり、wikiに歌手としてヒットを出したと書いてあったけれど、そういえば声を聴いたことがないと思い、youtubeでチェックしてみる。ポーラの見た目に似合う、迫力ある低い声。これぞ女優の歌、という表現力で惹きこまれる。

 

 

恋の熱に浮かされたように、「山猫リュシュカ」を観た後、もれなくポーラについて調べてしまうのは、スクリーンから魅力をざぶざぶ浴びながらも、あまりに彼女について何も知らない、と思わされるからだろう。モノクロだから肌や髪、眼の色も知らないし、サイレントだから声もわからない。100年近く前の映画だから、調べても情報量は限られている。頼んでもないのに気をつけていないとあちらからざぶざぶと情報が流れてきがちな昨今、魅惑のポーラ・ネグリと、ポーラについて調べる私の関係は、何やら示唆的でもある。

 

【about】

Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom

【archives】

【recent 28 posts】