後味

 

ルビッチ特集、未見だった映画を観ることができた歓びはもちろんのこと、何度観ても素晴らしい不朽の映画群をスクリーンで観ることができた恍惚。ハーバート・マーシャル好きなので(ダーリン!)「極楽特急」「天使」は不動の首位タイながら、今回どういうわけか「ニノチカ」がとりわけ染みた。物語だけならば「ニノチカ」がベストかもしれない。

 

最近読んだこの記事が良かったので

 

http://style.nikkei.com/article/DGXMZO15940270R00C17A5BE0P00

 

同語反復的だが、「世界文学とは何かと考えることが世界文学である」というのが今の状況だ。文学の道を極めた偉い先生が「これを読めば大事なことは大体わかるから読んでおきなさい」というものをありがたがるのではなく、読み手一人ひとりが自分にとって切実な作品を手にしながら、自分だけの地図を作っていくことが大切だと思う。

 世界文学について考える際に大きな問題となるのが翻訳だ。翻訳という営為の本質は、容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと。「うまいか下手か」という技術の話ではない。

 

ついに「亡命ロシア料理」を開き、読み始めた。沼野充義さん翻訳。目次から漂うアウラ、既に只事ではない。「容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと」、「ニノチカ」はまさにそれを描いた物語だものね。

 

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Mariko
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