ファーゴ
日曜の朝、早稲田松竹で。アメリカの田舎での犯罪を描くカントリー・マーダーケース特集、フランシス・マクドーマンド主演2本立て。最近めっきり早稲田松竹づいており、この日記も週刊早稲田松竹ニュースめいている…。
1本目は『ファーゴ』。1996年、コーエン兄弟。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/threebillboards.html
公開時に観たような観ていないような。冒頭、THIS IS A TRUE STORYと字幕が出るので実話だと思い込んでいたけれど、字幕も演出の一部で、『ファーゴ』はフィクションってようやく知った。それからファーゴは地名だけれど、ファーゴとその周辺で起こる物語で、むしろブレーナードという地名のほうがよく出てくる。コーエン兄弟が『ブレーナード』より『ファーゴ』のほうが面白そうな映画に思えるから、と決めたらしく、確かに覚えやすいし口にしやすい。wikipediaにより明かされる公開22年目の真実!自分の身に降りかからない限り、何が真実で何が嘘かなんて、わりとどうでもいいよな、と思ってるけれど、今これをやってしまうと、実話でもないのにおふざけが過ぎる!って言われたりするのかしらん。
『ファーゴ』は、ファーゴとその周辺(主にブレーナード)での、狂言誘拐だったはずがマヌケな主犯者、暴走する犯罪請負人により予期せずどんどん人が死んでゆく顛末と、事件を追う女性警察署長マージの物語。犯罪請負人の一人をスティーブ・ブシェミが演じており、「犯人の特徴は?」の問いかけに、やたら「顔が変」と言われ続け爆笑。犯罪を描くけれど、基本はコメディ。
そして年を重ねて観ると、マージを演じるフランシス・マクドーマンドの魅力が炸裂している。事件絡みでテレビに出ただけで夜中に電話かけてくる学生時代の同級生なんて、マージじゃなきゃ会わないけれど、マージは会って話を聞く女なんである。登場人物の誰もが、平穏な顔の下にうっすら狂気を抱えており、田舎の街特有の閉塞感も漂うけれど、マージが治安を守る以上、ファーゴとその周辺は安泰、と思わせる母性。マージが妊婦、という設定は母性の醸成に繋がるのかしらん。売春婦たちの事情聴取時のマージの相槌!会話のトーンの合わない人にどうしても相槌しなきゃいけない時に真似したい!マージが淡々と守る穏やかな家庭の様子が時折挿入されることで、最後の車中の台詞がぐっと生きてくる。
フランシス・マクドーマンド!盛り上がり、wikiを読み、軽く画像検索し、最近のメットガラでの装いの写真にたどり着き、ますます好きが加速。フォーマルな場でもメイクが薄いことまで魅力になるなんて、滅多にいないタイプの女優。