都市が多様性を持つための条件
TOHOシネマズ日比谷、日曜に初めて行った。日比谷公園の緑を見下ろす窓辺がある。
昨日更新した小栗さんの連載『One movie , One book』、
ジェイン・ジェイコブズの書籍は未読(現物を見せていただいたら、なかなかの分厚さだった)ながら、原稿をフィックスするためにあれこれ調べ物していたら、wikiで読むだけでも面白かった。
都市が多様性を持つための条件(The conditions for city diversity)として、ジェイコブスは次の4つを指摘した。
都市の街路や地区で,溢れんばかりの多様性を生成するためには,4つの条件が必要不可欠である。
1. 地区,そして,地区内部の可能な限り多くの場所において,主要な用途が2つ以上,望ましくは3つ以上存在しなければならない。そして,人々が異なる時間帯に外に出たり,異なる目的である場所にとどまったりすると同時に,人々が多くの施設を共通に利用できることを保証していなければならない。
2. 街区のほとんどが,短くなければならない。つまり,街路が頻繁に利用され,角を曲がる機会が頻繁に生じていなければならない。
3. 地区は,年代や状態の異なる様々な建物が混ざり合っていなければならない。古い建物が適切な割合で存在することで,建物がもたらす経済的な収益が多様でなければならない。この混ざり合いは,非常にきめ細かくなされていなければならない。
4. 目的がなんであるにせよ,人々が十分に高密度に集積していなければならない。これには,居住のために人々が高密度に集積していることも含まれる。 (中略)
この4つの条件は,どれかひとつが欠けても有効に機能しない。都市的多様性が生成するためには,4つの条件すべてが必要である。
— 著:ジェイン・ジェイコブズ、訳:中村仁 ”The Death and Life of Great American Cities”(Random House, 1961, and Vintage, 1992, pp.150-151)
数年前に北京に久しぶりに行き、私が慣れ親しんだかつての北京の面影がなく悲しい気分になったのは、「3.地区は,年代や状態の異なる様々な建物が混ざり合っていなければならない」の条件を満たさなくなったピカピカした一画を歩いた時だったな。東京の現在暮らしているエリアをとても気に入っているけれど、4つの条件すべて満たしている。多様性を持つ街が好きというわけではないけれど、居心地の良さを紐解いてみると4つの条件を満たしている、と気づく。
ジェイン・ジェイコブズに関するドキュメンタリー映画も公開中です。ご覧になった小栗さんによると、映画についてはいろいろ言いたいことがあるようだったけれど、ご興味の方は書籍、映画、どちらも是非どうぞ。私は、本から読んでみようかな。