白夜

 

ブレッソン『白夜』35mmフィルムでの日本最終上映とのこと、いそいそとユーロスペースへ。

 

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000305

 

長らく日本で公開されていなかった『白夜』、留学先のパリでこの映画を観て忘れられなかった方が、配給会社を立ち上げて公開にこぎつけてくださったロマンティックなエピソードに痺れながら観たのは2012年。あれから6年経って、映画が始まるとすぐにバチバチとフィルム特有の音が鳴り、次に「字幕:寺尾次郎」とお名前が映され、6年の月日、あっけないようで案外長いのだった。

 

夜のセーヌ河を渡る船で演奏される印象的な音楽以外にも随所に音楽が溢れ、私の記憶の中の『白夜』はストイックな物語だったけれど、久しぶりに目にするそれは、伸びやかな音楽に溢れた、ずいぶん若い映画だった。ジャックとマルトの4つの夜も、ひりひりした気持ちで観ていたけれど、今観ると、どんな結末になろうとも、まるごと可愛らしい、小動物の戯れのように思われた。

 

最近ようやくヴィスコンティ版『白夜』を観て、美しい映画ではあったけれど、主演のマストロヤンニの若い頃の映画、という以上の印象は持たなかった。ブレッソン版を断然指支持するのは、主演の2人を他の映画で見かけたことがないからかもしれない。彼/彼女がジャック/マルトのまま、『白夜』に閉じ込められたまま記憶に残り続ける、という種類の贅沢。

 

ブルーレイが出たことは知りながら、手を出す気には今のところなっていない。ユーロスペースで観た時間ごと真空パックにして時折、引き出しから引っ張り出しては、ああ、また観たいなぁって焦がれるのが似合う映画だと思う。配給してくださった方も、長くそんな気持ちだったのかな。

 

ユーロスペースで、12/5(水)まで。

 

 

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