廃墟の美術史

 

週末、ユーロスペースに行く前に松濤美術館へ。「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」という展示。再開発の進む渋谷の片隅で観ることに意義がある。

 

https://shoto-museum.jp/exhibitions/181haikyo/

 

廃墟を愛で描くことが西洋から伝播した日本においても、画家たちがそれぞれの手法で廃墟を描く。澤部清五郎「群羊図(伊太利アッシジ附近)」がユニーク。掛軸、構図は山水画、画材はコンテ。丘の上の廃墟から麓の羊の群れまでの高低差。主題は西洋だけれど、ぺたっと奥行きのないフラットさがいかにも日本人の絵という印象で、順路に従い西洋の廃墟画を見慣れた目に飛び込んできたので、とりわけ面白く凝視した。

 

こちらに画像あり(PDF)。

 

廃墟から羊までなめらかに流れるような群羊図を観ていると、長らく観ていない溝口映画の流麗なワンシーン・ワンカットを思い出した。溝口映画、女性が気の毒な描かれ方をされていることに辛くなってしまうから避けていたけれど、心を無にして絵画のように眺めればいいのかもしれない。廃墟画に学ぶ溝口鑑賞法。

 

 

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