GP女優賞
昨日更新したGolden Penguin Award 2018、
https://cinemastudio28.tokyo/goldenpenguinaward_2018
私のGolden Penguinは『寝ても覚めても』に捧げたけれど、ではヒロイン・朝子が女優賞かとそうでもない。自分に似ているから同族嫌悪のような気持ちも多少はある。Golden Penguin Award 2018 女優賞部門があるならば、『きみの鳥はうたえる』の佐知子に捧げたい。
男性ふたり、「僕」も静雄も、ふたりを演じた俳優も素晴らしかったけれど、『きみの鳥はうたえる』は私にとって、なによりも佐知子を演じた石橋静河の映画だった。日々連絡をとりあって絶対に忘れないと心に刻んだはずだったのに、今となっては連絡先も失くした、友達であれ恋人であれ、誰にでもいるはずのそんな存在の化身が佐知子だった。
踊る佐知子も歌う佐知子も魅力的だったけれど、タイトルの見えない分厚い本をひとり喫茶店で読み耽る佐知子がとりわけ素敵だった。本が好きだから書店員になったのかな、と背景を想像させるシーンだったけれど、佐知子が本について語る場面はなかったと思う。
初めて行った真冬の函館を歩きながら、この街の夏はあっという間に終わるんだろうな、と思った。長い冬を佐知子はどんなふうに誰と過ごしてきたんだろう。『きみの鳥をうたえる』を観ている間、「僕」でも静雄でもない誰かの視点から、私は佐知子を好きだった。目が離せなかった。