パラサイト 半地下の家族

 

映画初めはTOHOシネマズ日比谷で。ここと日本橋は窓からの景色が開けており、さすが一等地ということか、良い気が流れている。

 

 

1月10日の公開日に先立って、年末からポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』が公開されていると複数の方面から教えてもらった。上映前に監督とキャストが公開前だからネタバレしないで!と注意する映像が流れた。結末は決して誰にも言わないでください…的なプロモーションの映画って時折あるけれど、誰かに言おうとこっちの自由では?と、ちょっとげんなりします。

 

http://www.parasite-mv.jp/

 

『パラサイト』、そんな注意事項が必要なほど衝撃の展開でもなく、韓国の格差社会がテーマで裕福な家族の家に貧しい家族がじわじわ侵食していく設定から想像した通りの着地だった。緻密な脚本と韓国映画特有のエネルギーで覆われた密度の濃い映画で、観終わると不思議にスカッとして、重いテーマが後退する。アクション映画のような高揚感があり、お正月映画にぴったり。

 

美術が見事。映像制作において貧しい人物の部屋は物を多く、お金持ちの部屋は物を少なくして「余裕」を表現すると何かで読んだけれど、『パラサイト』はそのセオリーに忠実だった。大きな窓から緑が見えて、広さに対して物が少なくガラガラで、物が表に出ていない情報量の少ない空間が好みなので、私もあの家にじわじわ侵食して住み着きたい。建物探訪したいけれど、ロケではなくセットで撮られたらしく、セット、壊さず私に売ってほしいぐらい!…買える値段ならば。

 

そんな好みの空間が次第に惨劇の舞台に変化してゆくさまを、富んでいようと貧しかろうと壊さず汚さず、家を綺麗に使える子がいい子です、喧嘩はよせ腹が減るぞ(水木しげるイズム)と、じりじりしながら見つめるしかないのがもどかしい、私にとって『パラサイト』はそんな映画だった。まったく衝撃の展開じゃないね!と思うのは年末年始、楽器ケースに隠れて出国とか、誤射で飛行機墜落させるなど、果たして誰が想像できたでしょう、と思うことが多かったかしら。いつだって現実のほうが斜め上を行くなぁ。

 

 

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Mariko
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