『虎に翼』に主人公の学友として登場する華族令嬢・涼子様は東京の洋館暮らしで、鳩山会館で撮影されている。

 

こちらは2022年秋に撮ったもの。当時コロナ禍で東京は今となっては信じられないほど閑散としており、文京区が区民向けに区の管理する文化施設を無料開放した時期だった。運動不足だったこともあり、自宅から長めの散歩を経て、勾配のきつい坂の上にある鳩山会館を訪れた。秋晴れ!

 

1924年建築の洋館で、代々政治家を輩出している鳩山家の住居として使われた後、公開された。
https://www.hatoyamakaikan.com/

 

 

和柄のステンドグラス。鳩モチーフがあちこちに施され、鳥好きは嬉しい。「友愛」という文字もあちこちにあり、あの言葉は鳩山家代々が大切にしていた言葉だったのだな、と知った。

 

建物が狭いのが意外だった。薔薇の咲く庭のほうが広い。面積の限られた東京都心では広い庭を持つことこそ贅沢、ということか。

 

しかし2階にあった大広間!ルビッチ映画が撮れそう。こんな部屋があるのが自宅が住居でもあり社交の場でもある華麗なる一族という感じ。

 

 

1階に降り、庭に面したサンルームが素敵。家具類も古いものだろうけれど綺麗にメンテナンスされていた。椅子の高さも低く、幅も狭いのが当時の日本人の体格に合わせた日本製の高級家具という印象。

 

 

 

サンルームの床のモザイクタイル!こういうラタンの椅子欲しいかも?と思って時々眺めている写真。

 

 

サンルームでくつろぐ鳩山家の男性。手にカメラを持っている。

 

 

愛用の食器は大倉陶園。鳩山会館、全体的なセンスが「例えば食器は大倉陶園で揃えていそうな人たち」と説明すれば、ニュアンスが通じる人にはお分かりいただけるだろう。洋館ではあるけれど、中身は大正〜昭和前半の東京の富裕層が好みそうな設え。日本橋三越の外商が出入りし、帝国ホテル地下のショッピングアーケードを楽しめそうな人々が暮らすお家…というイメージ。

 

1階つきあたりにあるひっそりした小部屋は、各国の要人から贈られた品々が展示され、私はその部屋が一番面白かったけれど、撮影不可だった。貴重な小説の初版本など、各国の特徴がある品を至近距離で眺められる。鳩山家の男たちが外交時に交換したものだろうけれど、こういう品は国が保管するのはなく、当時の首相・大臣が私物として保管するのだな、と思った。

 

 

庭の一角が薔薇園になっている。薔薇も英国のロイヤルファミリーの名前のものや、ハリウッドスターや、ヴェルサイユのばらのキャラクターの名前の品種が並んでおり、各国のセレブリティを招いた時に薔薇の説明をするだけで話が弾みそう、という視点で選定されているのだろう。

 

古い映画好きの人にもムードがあって楽しめると思う。薔薇の季節、東京観光にいらした時は是非!

 

 

 

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