第五回
国際線到着口
スコール後の風が涼しい夜でも、空港ビル1階屋外に設けられた国際線到着口は蒸し暑い。
幾列となく並んだプラスチック椅子は出迎えの人々で埋まり、立っている人は車道ぎりぎりまで溢れている。目立つのは家族親戚10人くらいで来ているグループ。花束や風船、メッセージプラカードを持参している人もいる。
約2年ぶりに渡航前陰性証明も健康申告も入国後隔離も一切なく入国が可能になって、約1ヶ月。ちょうど夏期休暇の時期。
迎えに来た人は、やや不安そうな表情で空港から出てくる人の顔を一人一人追っている。特に到着した人が国内で使える携帯電話を持っていない場合、いつ出てくるのか見当がつかないようだ。
到着口から出てきた人は、多くが大きなスーツケースや段ボールを数個積み上げたカートを押している。首を伸ばし、所狭しと並んだ出迎えの人だかりから目当ての顔を探し当てようと不安そうに目線を彷徨わせる。
先に見つけた方が大きく手を振り、気付いてもらえない時は居ても立っても居られず小走りに駆け寄り、ハグをしたり、荷物をもったり、その様子を一緒に来た人達が撮影したり。
再会の様子を、羨ましそうに眺める、まだ待ち人が現れていない人。その人もまた、程なく安堵感と笑顔に包まれる。
映画の周辺:韓国映画
大手映画館チェーンと配給会社が韓国系企業のおかげで、韓国映画は比較的タイムリーに公開される。2022年カンヌ国際映画祭コンペティション部門で主演ソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞した『ベイビー・ブローカー』は6/23(木)夜から劇場公開となり、越語と英語、二言語の字幕付きで上映された。