Cinema memo : ホークス!
ケーキやパンを売っていた店が閉店することになり、最後にパンをいただいたけれど、空腹ではなかったので保留し、翌朝オフィスで食べたの図。これを作った店はもうないんだ、美味しいと思ったとしても、2度と食べられないんだなぁ…と思いながら食べるパンは、パンに余分な感情が乗っかった味がした。
日本の4月の終わりは春の慌ただしさも落ち着き、これからGWに向かう独特の開放感があり、そんな時期に観た映画は不思議に記憶に残っている。何年か前、この時期に通ったルビッチ特集は至高であった。今年はハワード・ホークス特集があるようで、クラシック映画を恋しく思っていた最近、久しぶりにシネマヴェーラに通うべきでは。
平成最後の、新元号最初のシネマヴェーラはハワード・ホークス!
http://www.cinemavera.com/preview.php?no=223
私はとりわけ『教授と美女』を推したい。小賢しげな女性と初心な男性の組み合わせ、ちょっと『逃げ恥』みたい…と思ったけれど、『逃げ恥』を期待して『教授と美女』を観る人には全然ちゃうやんか?!って怒られそう。私の好きな女優オールタイムベスト3に入るであろうバーバラ・スタンウィックがあまりにもバーバラ・スタンウィックな魅力をこれでもかと振りまく映画です。
【本日更新】「雲の上で踊る」2018年 夏
Cinema Studio 28 Tokyo 本日更新しました。
雲の上で暮らす翠子さんの春夏秋冬と、その季節に観た映画の記憶について。連載「雲の上で踊る」2018年 夏。
建設中のオリンピックスタジアムが見える都心のオフィスで、昼休みの終わりに届いた翠子さんの原稿を、コーヒー飲みながらiPhoneで読んでいたら、最後の一節に差しかかったあたりで、予期せず涙がぶわっと溢れてしまって、同僚から話しかけられ、あわてて涙を目の奥にしまいました。
禍々しくやってきて、あっという間に去っていった夏。これまで通り過ぎたあらゆる夏。夏のすべてが文と写真とその隙間に詰めこまれていたから。
この夏を満喫した人も、そうでない人も。雲の上から届いた2018年 夏の手紙、どうぞお楽しみください。
*春の手紙はこちら
https://cinemastudio28.tokyo/kumonouede_001
好み
『白夜』、ヴィスコンティ版とブレッソン版がずいぶん違ったので、どちらも観て原作も読んでそうな人と話したいな、とイタリア人の友人にメール。あなたはブレッソン派だと思うけれどイタリア出身だからヴィスコンティ贔屓かもしれないね、と送ったら、どちらも観て原作も読んだけれど、遠い過去のことでどれが好きと即答できない、再見&再読するね、と返事がきた。
さらに「昨夜はミゾグチの The 47 Ronin を観た。日本の歴史について予習が必要だったけれど、頑張って集中して最後まで観た。4時間あった。君はあの映画が長いって知ってるだろうけれど…」と書いてあって、シネフィル青年の体力&気力を尊敬。溝口も時代劇もさほど好きではない私は『元禄忠臣蔵』(1941年)、この先の人生で観ることはなさそう。私はもうきっと好きかどうかわからなさそうな長い映画を観ることはないかもしれない、と思った2018年夏である。
日本に行きたいけれど夏の暑さと湿度が殺人的で躊躇する、と書かれており読んだ勢いで涼しい場所に友人たちと共同で別荘を買うことを思い立ち、物件検索を始め、勢いで買えそうな値段の軽井沢の物件を発見して妄想している。音楽家もいるから、さながら『カルテット』の世界。酷暑の妄想は私をずいぶん遠くまで連れて行くなぁ。
Boogie!
スクリューボールコメディとは何か?についての考察、そして私のオススメ3選。という内容のメールを書いて送ったら、3本とも無性に観たくなった。 配信でいろいろ観られるようになっても、クラシック映画はその対象にほとんど含まれない。
私にとってスクリューボールコメディ、最高の女優はバーバラ・スタンウィク。小股の切れ上がったいい女、という言葉はこの人のためにある。バーバラ映画で最高は『レディ・イヴ』だと思うけれど、『教授と美女』で満を持して登場する場面、何度もyoutubeで観る。Boogie!
銀座
GW初日。今年はGW前に旅行に行ったので、GWは東京で。数寄屋橋交差点の早朝。空は青々としておった。
なんだか身体が疲れてる…?と不審に思ったけれど、考えてみれば屋久島で25kmトレッキングの後、あらゆる交通手段で長距離移動した数日後なのだった。しかしまぁ喉元過ぎればなんちゃらとか言いますけれども、ほんまに過ぎたことは忘れていくんですねぇ…。
東京ミッドタウン日比谷にはまだ足を踏み入れていない。通りにあった地図にも、表示されていなかった。これから更新されるのかな。帰りに寄ってみようかな?と出来心が芽生えたものの、ごうごうとした人の波が明らかにミッドタウンに向かっていて、混んだ場所嫌いとしては当分無理では…と、すごすごメトロに乗った。
銀座、メゾンエルメス4月の上映はエルンスト・ルビッチ『生きるべきか死ぬべきか』。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/703706/
おそらく二桁回数は観ていると思うけれど、今回は過去最高に集中して観た。昨今の永田町方面のゴタゴタにさすがにニュースを追う気力すら奪われているけれど、国会中継って音を消して眺めてみれば、クラシカルな内装の室内に仕立ての良いスーツの大人が集まって、ちょっと映画みたいっていつも思う。現実は耳を疑う茶番が繰り広げられているけれど、音量を上げると、実は『生きるべきか死ぬべきか』のような粋な物語が演じられているのです!という世界線を妄想…って、現実逃避も甚だしいですね。
ベルリン生まれのルビッチはナチスによってドイツ市民権を剥奪されている、と思えば、笑いに巧みに内包された哀しみがじんわり弾け、セリフのひとつひとつも染みてくる。嫌味も反抗もエレガントに、しかし確実に急所は狙って、こんなふうに振る舞える自分にいつかなれるだろうか、と観るたびに考える。
しかし、ルビッチ映画があればもう世界は充足し、他の映画は要らないのでは?と観るたびに思ってしまうのは、よろしくない傾向。
赤い河
仕事をさっと切り上げ、オペラシティへ。谷川俊太郎展。
言葉って、こんなふうに立体的に見せることができるのか。あの空間がこの週末で終わってしまうなんて寂しい。谷川さんが影響を受けたあれこれの中に、映画ではハワード・ホークス『赤い河』(1948年)が挙げられていた。
詳しい感想は明日。展示は日曜まで。おすすめです。
http://www.operacity.jp/ag/exh205/
谷川さんの家にあるらしいあれこれが並ぶ棚にいたペンギン。目ざとく発見。
Cinema memo : 春はルビッチ
去年の夜桜と、夜桜のようなワンピース。足の血管の浮き出っぷりが鳥類のようで、去年の私の栄養状態がいまさら心配。
春はルビッチ。去年の春はシネマヴェーラでルビッチ・タッチⅡに通ったよなぁ…と、天国のような日々を思い出していたら、メゾンエルメスからメールが届き、le studioの4月のプログラム、ルビッチ「生きるべきか死ぬべきか」!やっぱり東京の春はルビッチ!
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/703706/
あらすじを読んでルビッチ記憶を召喚してみたけれど、これも妻が不倫する系の物語なのに、ヘイズコード施行後のアメリカでOKだったのは何故だろう。ナチスをコケにするっぷりの洒脱さに気をとられて、不倫設定が目に入らなかったのかしらん。まさかね?
この映画、後にメル・ブルックスがリメイクしており(「メル・ブルックスの大脱走(1983年)」という邦題)、そちらも観たけれど、さっぱり面白くなかった。何故かメル・ブルックスの映画を薦められがちだけれど、何が面白いのかさっぱりわからない。それに、この物語はアメリカに渡った後、ナチスによってドイツ市民権が剥奪されたベルリン生まれのルビッチが撮ってこそ、笑いの裏にある反骨精神と切実さが胸に迫るというもの。
ルビッチ派として、断固オリジナルの「生きるべきか死ぬべきか」を推していきますよ。春はルビッチ!
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (15)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (88)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (9)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (247)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (209)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (15)
- Sapporo (3)
- Taiwan (46)
- TIFF (24)
- Tokyo (357)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)