kate spadeの好きな映画

 

夜中3時に友人からのメッセージが届いて知ったkate spadeの自殺のニュースはショックだった。ゴシップ混じりの報道、my first kate spadeを語るSNS…に混じって、お姉さんが語ったという「家族みんなでなんとか助けようとしたけれど、彼女はブランドのイメージ『ハッピー・ゴー・ラッキー』を崩したくなくて拒否し続けたの」という言葉でさらに悲しい気持ちになった。

 

以前読んだ、二階堂奥歯『八本脚の蝶』(最後に自殺すると書き残し、自殺した女性編集者のweb日記を書籍化したもの。現在も残る日記はこちら)のあとがきに、生前親交のあった女性作家が、

 

くだらない信仰かもしれないが、私には『着るものに興味のある女の子はそうそう簡単に自分で死んだりなんかしない』という信仰がある。だから虚をつかれた感じがあった。

 

と綴る一説があり、なんてくだらない信仰!着るものに興味があっても、好きなものがたくさんあっても、簡単に自分で死んだりする、ことはある!と怒りに似た強い反感を抱いたことを、kate spadeの死をめぐる反応で不意に思い出した。

 

日本語でも翻訳されているkate spadeの著書『STYLE』は、スタイルとは流行でも骨格診断の結果を愚直に守ることでもなく、洋服だけのことでもなくて、美術や音楽、好きな季節、好きな香り、同じぐらい嫌いな物事などで形成されていることが、kate spadeらしいカラフルさで語られた一冊。

 

好きな映画についても書かれており、私の想像するkate spadeらしさを裏切らない映画の嗜好。スクリューボールコメディーの名手、プレストン・スタージェスも「尊敬する映画監督」に名前を連ねていて嬉しい。スタージェスの描く弾けるような女性、確かにすごくkate spadeの世界っぽい。

 

「スタイルのある映画」として紹介されていた『泳ぐひと』(フランク・ペリー監督/1968年)は、この本がきっかけで観た1本。本の中でkate spadeは言及していないけれど、60年代のアメリカ、富裕層の邸宅のプールサイドで催されるパーティーに集う人々のファッションが、今季のkate spadeの新作です、と言われても納得するぐらいkate spadeそのものだった。

 

 

『泳ぐひと』、奇妙な映画だけれど、不思議と癖になる…

 

ブランド・kate spadeと仕事でかかわった時期があり、定義しづらい「ブランド」という言葉を、なんとなくこういうことかな?と朧げに実感した初めての出来事だった。「らしい・らしくない」を突き詰め細部に至るまで徹底すること。一時の感情やムードに流されないこと。Cinema Studio 28 Tokyoを作って続けるためのあらゆる判断に、じわじわ教えが効いている。kate spadeがどうか天国で、ハッピー・ゴー・ラッキーに過ごせていますように。

 

 

1 / 1312345...10...最後 »

【about】

Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom

【archives】

【recent 28 posts】