天国はまだ遠い
日記が現実に追いついた。肌寒くて目が覚め、iPhoneを見たら、是枝裕和監督がパルムドールを受賞していた。ケイト・ブランシェットと並ぶ姿に興奮。
是枝監督の映画、キャスト次第で観たり観なかったりだけれど、安藤サクラに松岡茉優、これは観なきゃ。何年か前、フランス映画祭でウニー・ルコント監督『めぐりあう日』の回、入場しようと並んでいたら、隣に是枝監督がいらしたことがあった。お一人で観客として観にいらしていた。『めぐりあう日』は家族の物語で、その年の映画祭のラインナップでも、とりわけ是枝監督的な作風の映画だったので妙に印象に残っている。東京にいると是枝監督のトークを聞く機会も多いけれど、これは世界の映画好きに羨ましがられるような贅沢な環境なのかも。
濱口竜介監督『寝ても覚めても』は無冠だったけれど、公開が楽しみです。タイミングのいいことに、濱口監督の中編『天国はまだ遠い』が、こちらのサイトで5/24までの期間限定、無料で観られます。英語字幕つき。38分。
映画の紹介はこちらに。主演の岡部尚さん、濱口作品の常連俳優で、特に『PASSION』での彼が好き。
Oscars 2018
最近送った封筒。ペンギンズは空腹のもよう。
アカデミー賞、ちらちら速報をチェックしつつ、賞の結果は意外性がなかったけれど、「スリー・ビルボード」も「ナチュラルウーマン」も未見だから観なきゃ。トーニャ・ハーディング映画も楽しみ。ゲイリー・オールドマン、最近、予告編で観て、ゲイリー・オールドマン?これが現在地??と驚きを隠せなかったけれど、特殊メイクと知って納得。私の知ってるゲイリー面影皆無だったもんね、人ってこんなに変わるのかしらって訝しく思っていた。
そして何より、作品賞のプレゼンターに去年と同じ、ウォーレン・ベイティ&フェイ・ダナウェイを選んだところが粋だった。彼らのせいではないにせよ、伝説のスクリーン・カップル ボニー&クライドの先行きに、年を重ねたふたりがオスカーの舞台で大騒動…だなんて、あんまりじゃないかしら!と、やるせない気持ちになっていた。去年の騒動もきっちりネタにして、作品名をしっかり確認するデルトロの姿もキュート、ボニー&クライドの名誉も回復。胸をなでおろした。俺たちに明日はあったね!
金の動物がんばる
Golden Penguin Award、なぜペンギン?という質問もありました。おもな理由は、私がペンギン好きだから(オーナーによる賞の私物化)!それから、北京の映画博物館(電影博物館/IKEAのように郊外にあり、IKEAのように巨大。友達が運転して連れていってくれた)で展示を観ていると、
中国大陸の映画賞、金鶏賞のトロフィー(右)が展示されていて。台湾の映画賞は金馬賞、ベルリンでは金の熊、ヴェネチアでは金の獅子。映画界では金の動物が頑張っておる…それにひきかえ我が家にたくさんいるペンギンときたら、おやつを食べ惰眠を貪るばかり…ペンギンも働くべきである!と思ったことも理由のひとつ。地上ではのんびりマイペースだけれど、水中では俊敏だったり、ペンギンらしさはCinema Studio 28 Tokyoのイメージにも似合う、と思った次第。毎年の恒例企画にします。
archivesにひょっこりいるペンギンもシンプルで可愛いのです。
http://cinemastudio28.tokyo/archives
【本日更新】Golden Penguin Award 2017
本日更新しました。
2月28日、冬の最終日。Cinema Studio 28 Tokyoは、つつしんで、なんだかうやうやしく、Golden Penguin Award 2017を発表いたします!
Golden Penguin Awardとは、Cinema Studio 28 Tokyo執筆陣、スタッフが2017年に観た映画のうち、「最も印象に残っている映画」を1本選び、それぞれのGolden Penguinを捧げるもの。
⾯⽩かった映画、良かった映画だけではなく、「意味不明だったけれど、気がつけばあの映画のことばかり考えていた」「不愉快だったけれど、不思議と引っかかるものがあった」、 もしかすると、そんな映画も「印象に残っている映画」かもしれません。2017年に撮った映画にまつわる写真を1枚添えていただきました。
あずささんがデザインしてくださったロゴ、ペンギンという動物のうやうやしいのか脱力系なのか、俊敏なのかのんびりなのか、どっち?!という感じがよく出てて、初めて目にしたときの胸の高鳴り…(priceless!)。Cinema Studio 28 Tokyoらしくマイペースで、みんな視点が違う素晴らしい賞になりました。
執筆者について補足しますと、既にスタートした連載の執筆陣に加え、これから登場いただく、グラフィックデザイナーのayaさん、ジャズミュージシャンの川本悠自さん、そして、LA支部りえこさんの映画仲間で、すべての記事の英訳をサポートしてくださっているDonald、Frankにも登場いただきました。彼らのサポートなくして、誰でも、どんな国の人でも遊びに来てもらえるCinema Studio 28 Tokyoは成立しません。
ayaさんの撮った写真はオリンピックに向けあちこち工事が進む2017年の東京そのものだし、Donaldの撮った写真はスキャンダルに揺れに揺れた2017年のハリウッドそのものです。5年後、10年後に改めて眺めた時、2017年は確かにこんな年だったね、と懐かしく思い出すかもしれません。
大充実のボリューム、暖かい飲み物を準備して、是非PCで!どうぞお楽しみください!
最終日
東京国際映画祭、最終日。夕方、各賞発表をチェックし、夜にヒルズへ。グランプリ受賞作上映。
グランプリは「グレイン」だった。コンペ4本しか観ていないのに、うち3本が賞に絡んだ結果。嗅覚が働いたのかしら。観た4本の中では「グレイン」がグランプリ獲りそうだったので納得。見逃した中国の「迫り来る嵐」を観られたらいいなぁ…と、こっそり思っていたけれど。
各賞はこちら。女優賞の女優さんも素晴らしかった。
http://2017.tiff-jp.net/news/ja/?p=48127
今年、私が観たのは
・フォーリ・アーティスト
・怪怪怪怪物!
・Mr.Long
・グレイン(コンペ/2回鑑賞)
・アケラット-ロヒンギャの祈り(コンペ)
・さようなら、ニック(コンペ)
・マリリンヌ(コンペ)
・現れた男
・レット・ザ・サンシャイン・イン
・Have a nice day
の10本。
個人的観客賞は、台湾の「怪怪怪怪物!」に捧げます。エンタメだけれどエンタメだけでは終わらなくて、観終わった後、わぁ!面白かった!って体温上がった。それぞれ感想は徐々に書きます。
今年も夢のような時間をありがとう。また来年!
十一屋
山形、七日町を歩いていたら、ん?と店構えが気になって入ってみたお菓子屋さん。和菓子も洋菓子もあり、2階は洋食レストラン。老舗らしい。籠が置いてあって、いろんな種類をピックアップして買えるタイプのお店で、いくつか種類を混ぜてお土産に渡したら、パッケージのレトロさも味も好評だった。次回は2階で食事したい。
山形国際ドキュメンタリー映画祭、各賞の発表をチェック。コンペで私が観たものは1本も入っておらず。ワイズマンは避けて審査したのだろうか。
https://www.yidff.jp/2017/2017.html#award
そして最終日は、受賞作品を一気に観られるらしいことを知った。次に訪れる時のスケジューリングの参考に。
https://www.yidff.jp/2017/schedule/17s12.html
Safdie brothers
カンヌのコンペに入っている、アメリカのサフディ兄弟(ベニー・サフディ&ジョシュ・サフディ)、2014年の東京国際映画祭でグランプリを獲っている。東京国際はチケット発売と同時に、グランプリ作品上映のチケットも買えて、コンペの中から何を観るのか直前までわからない博打っぽさも楽しく真っ先に予約することにしている。「神様なんかくそくらえ」はそのようにして観て、サフディ兄弟の名前も覚えることとなった。写真右の2人が監督。兄弟で監督するってどんな気分なのでしょう。
「神様なんかくそくらえ」は、その後、公開もされた。原題は「Heaven knows what」
この映画は賛否両論だったようで、映画そのものとしては私は好きではないけれど、背景を知ると興味深いという種類の感想を抱いた。以下は当時書いたメモ。
—————-
主演女優(写真の女優、アリエル・ホームズ)はもともと女優ではなく、監督が街で見かけて映画に出てもらおうと食事したら、彼女の当時の生活のほうがよほど映画的で、そちらが映画になった、という一本。主演女優が体験を書いて、監督が映画に仕立て、女優は自分自身を演じた。彼女はホームレスでドラッグ中毒で暗い暗い恋をしていた。
何年か前のフランス映画「わたしたちの宣戦布告」もそんな映画で、カップルに生まれた子供が重い病気で、それを乗り越えた日々をカップル自身が演じ、女性のほうが監督している。日本映画でフィクションだったら、病気を乗り越え家族の絆は強くなりましたって耳触りのいい歌でも流れて終わりそうなところが、あのフランスのカップルは乗り越えたけれど、別れてしまうあたり、現実だなぁ…と思ったものだ。そしてこの2人には、物語にして自分を演じることがセラピーだったのかな、とも思った。
「神様なんかくそくらえ」は、どうしようもない日常が、キツい出来事すら呑み込んで永遠に続いていくことを示唆するような物語で、でも演じた彼女は女優として東京の映画館で目の前にいたから、物語にすることであの日々から抜け出したのだろう、と推測した。
映画をつくる、自分を演じる、歌にする…など、これなら自分にもできるかな、という方法を選択し、自分に起きた出来事を物語にして、過去のものにしていく。日記を書く、文章を書くこととも同じかな、と思った。
—————-
サフディ兄弟の新作「GOOD TIME」はカンヌで公開された。日本でも配給されるようで、楽しみ。ロバート・パティンソン!「トワイライト」シリーズを観ていないので、アイドル的人気がどうだったかは知る由もないけれど、クローネンバーグ「コズモポリス」の主演が彼で、あの映画と、あの映画の中のロバート・パティンソンがとても良かった!!!けれど、周りの誰も観ておらず話し相手がいない…。「GOOD TIME」を観ていないので何とも、だけれど、作品選びの上手い人なのでは…。
http://www.festival-cannes.com/en/films/good-time
映画祭のテンションでしか観ない映画というのはあるもので、毎年、時間の隙を見つけてランダムに観ているアメリカのインディーズ映画はまさにそれで、どれも音楽の使い方がとても上手いのが印象的です。
矢田部氏の日記によると。
http://www.cinemacafe.net/article/2017/05/26/49714.html
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