空港にて

 

 

日曜のこと。好きな人々はだいたい遠くにいる種類の人生なので関空→羽田→パリと移動する人と一瞬すれ違うために夜遅く羽田空港へ。東京東側の自宅からは成田のほうが交通が便利なので、羽田の国際線ビルに初めて足を踏み入れた。

 

携帯電話を持っていない人と待ち合わせなんてずいぶん久しぶり。関空からの便が遅れているとはいえ連絡が随時来るわけでもなく、ぼんやり視界を捉えていたら、このビル、西洋から観たどこか過剰な和風、キル・ビルっぽさに溢れており、静かに興奮。携帯の画面を見ないと、目は景色の細部を見ようと働くようで、じろじろ細かく観察した。美術:種田陽平という感じ。

 

友人は日本までの飛行機で「シン・ゴジラ」「君の名は」と去年の話題作をどちらも観られて大満足、帰りの飛行機でプログラムにあれば、「シン・ゴジラ」もう一度観たいと言っていた。「沈黙」の原作を読んでいるようで、帯にあった俳優たちの写真のうち、キチジローはどの俳優かと聞かれたので、この人!と窪塚氏を指差す。

 

種田陽平さんといえば、一昨年のPFFで小津の「小早川家の秋」がフィルムセンターでかかった時、周防正行監督と登壇して小津についてお話しされたのを聞きに行った。小津映画のセットは、屋内から外を撮るショットでは、日本家屋の障子の向こうは必ず生垣で遮られ、外の景色が映っていないのだという。何度も観てきたけれど気づいておらず、さすが美術監督の視点と思わされた。とてもお話し上手な方で、いくらでも聞いていられる。行けなかったけれど、溝口&増村映画祭での記事(こちら)も興味深く読んだ。

 

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Mariko
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