初日初回
濱口竜介監督『悪は存在しない』、Bunkamura Le Cinema渋谷宮下で初日初回で観てきた。上映後に監督も登壇したトークつき。ロビーの隙間収納みたいな目立たない一角に飾られたベネチア映画祭銀獅子賞。
この映画について、すぐ感想が出てくる人がいるのだろうか?一度ラストまで見届けし者として、記憶を抱えた状態であと2回は観たい。過去作『不気味なものの肌に触れる』(2013年)が好きで、最後に来たるべき続編『FLOOD』を待たれよ!と続きが示唆されて終わる1本なのだけれど、『悪は存在しない』は続編ではないものの、似た不穏さがあって嬉しかった。
5月に新文芸坐で『初期の濱口竜介』という直球な特集上映があり、この5本がかかる。
PASSION(2008/115分)出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子
永遠に君を愛す(2009/58分)出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚
THE DEPTHS(2010/121分)出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ
親密さ(2012/255分/途中休憩あり)出演:平野鈴、佐藤亮、田山幹雄
不気味なものの肌に触れる(2013/54分)出演:染谷将太、石田法嗣、渋川清彦
https://www.shin-bungeiza.com/schedule#d2024-05-08-1
『悪は存在しない』を観るにあたって観るべき過去作がラインナップされている。『PASSION』や『THE DEPTHS』の要素も新作に繋がってる。過去作を観るためには映画館に行く必要がある、というのも良い。
古参ファンみたいな書き方をしてしまったけれど、何もインプットせずに観ても『悪は存在しない』は面白い。東京と地方のタイムラグなく、ほぼ同時にミニシアターで公開されるのも、この映画に合っている。
今日のトークの様子はこちら
https://eiga.com/news/20240426/21/
GW
一足早めにGWに突入。東京近辺にいます。濱口竜介監督『悪は存在しない』、さっそく予約。
濱口監督の商業デビュー作『寝ても覚めても』(2018年)、エキストラ募集をしていたので連絡し、都内某所の撮影現場で演出風景を間近で見られたの良い想い出です。「3月11日、震災の日の帰宅難民」の群衆として参加したけれど、映っていなかった。丸一日かかったのに映画になるとほんの一瞬で、映画を撮ることの果てしなさを思い知った。写真は私自身の3月11日を思い出しながら着るものを準備して、要るかな?と一応持っていった手袋。と、配っていただいた水。
若葉
立て込んでいて映画館が遠い時期だけど、朝ドラに大河、ドラマが面白くてありがたい。今クール、民放で唯一観ているのが『アンメット』で、映画館以外の場所で、若葉竜也が観られるなんて贅沢だな!お金払わなくていいの?の気持ち。
ayaさんゲスト回のラジオで、「東京生まれ東京育ちが選ぶ東京らしい映画は?」の質問へのayaさんの回答が今泉力哉監督『愛がなんだ』で、その理由もとても納得できるものだった。その流れで話したことを、自分が喋りすぎてると思って編集でカットしたけれど今泉監督作常連俳優の若葉竜也が、特に20代後半〜30代前半ごろの私の周囲にいた「東京の男性」そのものという会話で、ほんとうに佇まいの自然さにいつも驚く。特に『街の上で』の若葉竜也が、私の記憶から出てきたのかな?と思うほどだった。
ロス
大河ドラマ『光る君へ』、しっかり直秀ロスになり、鳥野辺って京都のどのあたり?って調べた。清水寺南側、あの緑緑したところか。
直秀役の毎熊克哉さん、初めて認識したのは小路紘史監督『ケンとカズ』(2015年)だと思う。私が観たのは翌年ロードショー時のユーロスペースで。監督や俳優陣が毎日のように登壇して上映を盛り上げていた。
何でも質問をどうぞ!と言われ、あまり手が上がらなかったので、んじゃ質問してみるか!と、映画中に登場する凶器の選択について何故それを選んだのか質問した気がする。『ケンとカズ』はヤクザもので、確か銃が登場したと思うけれど、当時の私はジョニー・トー監督の黒社会もののバリエーション豊かな凶器に興味津々で、銃撃戦が有名なジョニー・トーだけれど例えば『エレクション』は小刀とかクラシカルな凶器が登場するのが興味深いな、どんな効果を狙ってそれぞれの凶器を選択するのかな、と思っての質問だったけれど、最初から銃しか想定していなかった、他の選択は考えなかったって監督が答えてくれたような気がするな。….思い返すと、その質問何なん(数年越しのツッコミ)。
写真、左端が毎熊さんです。直秀…若くて初々しい!『ケンとカズ』、見応えある映画なので是非。
冬の最終日
3月から春と区切っているので、2月末日は冬の最終日。写真のアーカイブから冬らしい写真を。2019年冬、寒い時期に寒いところに行きたくて映画『きみの鳥はうたえる』のロケ地・函館へ。これは函館から札幌に向かう特急に乗るところ。
車窓から冷え冷えとした冬の海がずっと見えて、暖かい車内から見られて幸せだな、と思っていたら、
停車したのが「森」という駅。どこが森やねんってツッコミを入れた瞬間。
映画に登場した居酒屋「杉の子」は残念ながら数日の休業中で、
代わりに見つけた「滋養軒」という老舗ラーメン屋で食べた塩ラーメン、人生で一番美味しいラーメンだったかもしれない。
『きみの鳥はうたえる』、函館の短い夏の物語だから、また行くなら次は夏。
奈良らしい映画
昨日更新したayaさんゲストのCinema Radio 28で、「京都らしい映画を選ぶなら何か」とayaさんから逆質問があり「奈良出身で京都は長く学校に通っただけですが」の前置きで、映画を1本選ぶ会話があった。
「関西 古都」の共通項があっても、それぞれの出身者にはそれぞれの街について言い分、違いが山ほど….京都と奈良の比較で『翔んで埼玉』が撮れるほどあるので、補足として「奈良出身の私にとって奈良らしい映画」を考えてみました。
『ひと夏のファンタジア』(2014年、チャン・ゴンジェ監督)。主演のキム・セビョクはこの後『はちどり』やホン・サンス作品に出演。
https://hitonatsunofantasia.com/
奈良県五條市を舞台に日本人と韓国人が出会う物語。私は五條出身ではないけれど古い家屋が連なる街並みに奈良らしさあり、ユーロスペースで観て「奈良なんて何もないところなのに、映画に映ればちゃんと映画の舞台っぽくなるんだなぁ。何もないのに…」と思ったけれど深い歴史、世界遺産、寺社仏閣、仏像、古墳、埴輪、街並み…たくさんあるのに「何もないところで…」って思ってるのが奈良出身者の感覚かも。
この映画では弘法大師にまつわる伝説のある井戸がどーんと、特に祀り上げられるわけでもなく登場する場面があって、それも奈良らしい。私の出身の界隈は万葉集や日本書紀の世界でもあり、点在する「緑が集合するこんもりした何か」はだいたい古墳、歴史や神話っぽい言い伝えのある何かがゴロゴロそのへんに特別感なく転がっており、ああいうの「野良史跡」と言うのかな。私がいま名付けました。
こう「何もないが歴史はある!」ところ出身だと、時間感覚が独特に育つ傾向にあるなと我ながら思う。奈良に災害が少ないのは大仏様のおかげだと真剣に思っているし、コロナの時期は昔の人はこういう時に大仏建立したんだな、と納得した。「古都」という言葉は「古いこと」が文字に含まれているから京都や鎌倉が「古都」を名乗っていると、現代に比べると相対的に古いけれど、は?京都や鎌倉程度の歴史で?100年~400年早いんじゃ?と思ってますね!これが「古都マウント」って気持ちですか。私がいま名付けました。
ayaさんからの「京都らしい1本」は学生時代、長く過ごした私にとっての京都の映画を選びました。東京生まれ東京育ちのayaさんの選ぶ東京らしい映画についてもお話しいただいています。是非どうぞ!
写真:通っていた小学校がある界隈で、江戸時代の建物群が残っている。
Cinema memo : 関心領域
ここ数カ月なかなか映画を観に行けなかったけれど、映画賞ノミネーションや結果を眺めると数少ない観た映画の名前が挙がっている。
アカデミー賞情報をちゃんと読むと、カンヌのグランプリ『The Zone of Interest』は邦題『関心領域』で公開が決まり、監督はジョナサン・グレイザー、前作が2013年『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』…!
アップリンク渋谷があった頃、年末恒例「見逃した映画特集」が助かる上映で、振り返ればあの特集で観たのが最後で、その後に映画館に滅多にかからない映画ばかりだった。坂本あゆみ監督『FORMA』、三宅唱監督『THE COCKPIT』など。
『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』、初見の監督ながらスカーレット・ヨハンソン主演なら楽しめるはず、と行ってみたら奇怪な物語、おぞましく美しい映像に、これ以上なくぴったりの音楽が添えられ、音楽担当ミカ・レヴィの名前を覚えた。
『関心領域』は監督10年ぶりの新作、音楽ミカ・レヴィ!俄然楽しみ。5月24日公開。
https://happinet-phantom.com/thezoneofinterest/
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