【本日更新】Cinema on the planet 009 山形国際ドキュメンタリー映画祭2017
ご無事でしょうか。東京都心、私は無事です。台風19号の被害に遭われたみなさまに、心よりお見舞い申し上げます。
映画にまつわる場所を巡るリレー連載Cinema on the planet、本日更新しました。第9回は主宰・辻本の山形旅行記。山形国際ドキュメンタリー映画祭は隔年開催でまさに今、2019年度を開催中ですが、前回(2017年)参加した時の記録です。
映画って縁もゆかりもない他者を間近で観察できてしまう不思議な時間だと思うのですが、はるばる山形まで出かけ、20時間近く映画を観たけれど、色濃く覚えているのは映画館の外での30分間の出来事で、それを記録しておきたいと思いました。あの時間こそが映画だったんじゃないか、という気がして。
しぶとい残暑を大雨が洗い流し、東京はいよいよ肌寒くなりました。こちらからどうぞ、お楽しみください。
新刊
移動の新幹線で、西川美和監督の新刊が出たことを知り、京都に着いたら買おう、と決めていた。四条通りのジュンク堂で購入。ジュンク堂のゾーニング、私が学生の頃から、まるで変わっていないように思う。東京にも京都にも個性的な書店はあるけれど、棚から店主の嗜好や自意識が漂うのを察知すると疲れを感じるようになったので、最近は何でも無節操に揃っている大型書店をふらふら歩くほうが断然好き。
新刊『遠きにありて』はスポーツ雑誌Numberでの西川監督の連載をまとめたもの。断片的に読む機会はあったけれど、毎号手にする雑誌ではなかったので、書籍になると嬉しい。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163909486
帰りの新幹線で開き、カープ優勝の年に書かれた「どうして広島東洋カープは、こんなにも人生そっくりなんだろう」を読むと、うっかりさめざめと泣いてしまって、満席の車両で隣に座っていた、私の知らない言語で話す家族に少し驚いた表情をされたよよよ。少しずつコツコツ読むつもり。
西川美和監督については、映画より文筆家としてのほうが好き。
麻酔
手術後の療養モードだけれど、待ったなしで仕事が忙しく現実に引き戻されている。しばらく入浴できないことと、しばらく激しい運動は制限ということ以外は普通の生活。
気分的には全身麻酔の強烈体験がまだ尾を引いており、あれは何やったんや…ほわぁぁぁ。麻酔前/後で人生の時間が分断されて、麻酔前の嗜好や記憶がフィルターがかかったように遠く感じる。好きだったものもすべて「過去の自分が好きだったもの」として一旦リセットされ、部屋にある本も洋服も、好きだった映画も、麻酔後の自分が改めてひとつひとつ手に取って選び直しているみたい。自分の部屋にいるのに、亡くなった親しい誰かの部屋にいて、あの人、こんな本、読んでたんだなぁ…って眺めてるみたい。戸惑うけれど、初めての感覚をしげしげ面白く味わっています。
今いちばんお話してみたい人は、私に麻酔を施してくださった麻酔医の方(副作用ゼロっぷりを考えると凄腕だったのでは)と、同じように全身麻酔を体験したことのある人かなぁ。リサーチ癖であれこれ調べてみたけれど、麻酔、特に全身麻酔、初めてトライした人の勇気よ…という気持ちが芽生えたので、あれってそんな物語だったような?と思い出し、有吉佐和子『華岡青洲の妻』を借りてきた。
世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功し、漢方から蘭医学への過渡期に新時代を開いた紀州の外科医華岡青洲。その不朽の業績の陰には、麻酔剤「通仙散」を完成させるために進んで自らを人体実験に捧げた妻と母とがあった――美談の裏にくりひろげられる、青洲の愛を争う二人の女の激越な葛藤を、封建社会における「家」と女とのつながりの中で浮彫りにした女流文学賞受賞の力作。
記憶が薄いけれど、遠い昔に映画版も観たように思う。大映映画!雷蔵さま!
『華岡青洲の妻』を読み終わったら、映画は観たけれど原作は未読仲間の泉鏡花『外科室』を読むつもり。日本麻酔文学巡り。
映画の言葉を聞く
暑さにやられて、文章は読むのも書くのも億劫モードに入っており、長い小説など敬遠してしまう。図書館で借りてきた『映画の言葉を聞く』は早稲田大学『マスターズ・オブ・シネマ』という人気講義の講義録。気鋭の映画人(俳優、監督、プロデューサーなど)を招き、関連映画を観た後、本人の話を聞く形式。1人あたり数ページなので、酷暑でも読みやすくありがたい本です。
私のようなただの映画好きでも聴講できるのかは不明。いつも登壇者が豪華だなぁ、と羨ましく眺めている。
http://filmart.co.jp/books/movie/history_theory/masters_of_cinema/
濱口監督の登壇回を読みたくて借りたけれど、フランス映画祭で来日していたイザベル・ユペールが登壇した回の議事録が短いながら濃密で、何よりユペールの回答が簡潔かつ濃密で寝る前に読んでしまい頭が変に活性してしばらく眠れなかった。
「知性」という言葉はユペールのような人にこそ相応しいのでは。だとしたら、ずいぶん身体を通過し、時間をかけて熟成されるものなのだなぁ。
そして、すでに大女優として名声を得た状態のユペールと対面した学生と、ユペールが徐々に名を轟かしてゆく過程を時間をかけて観てきたであろう是枝監督はじめとする授業の運営陣との質問や興奮度の温度差もなかなか興味深い。
借りた本だけれど、手元に置いておきたくなった。
Cinema memo : 9月
Amazon Prime Day、いつか買おうと思っていたワイヤレスイヤフォン(線がないだけで格段に快適なことよ。もっと早く買えばよかった)と、『寝ても覚めても』の文庫を買った。
図書館で借りて読んでから1年経過し、よい具合に物語を忘れかけているので、映画を観てから再読しよう。
濱口監督の特集上映もタイムテーブルが発表された。
http://netemosametemo.jp/hamaguchi/
今回上映されるものは一通り観たけれど、3回目の『親密さ』を観たいなぁ。初めての濱口映画、何がおすすめ?と質問されたりするのですが、1本目は『PASSION』が良いのでは。何と言っても映画の長さが普通です。115分。気に入ったら『ハッピーアワー』 317分、『親密さ』255分に手を伸ばしてみる。そこまで観たら、濱…と目にするだけで反応する身体になっていることでしょう。
魅惑の目次
部屋の片付けが気が済むレベルに到達するまで、新しいものをなるべく買わないようにしており、特に本は増やしていないけれど、定期的に図書館に通っているせいか、まったく困らない。美しい本を所有する歓びも知っているつもりだけれど、身軽でいたい願望のほうが上回る、ということでしょうか。
気になっていた『ハッピーアワー論』、予約していたのが早速まわってきたので借りる。この魅惑の目次だけで、読むべき理由として十分すぎる。
http://www.hatorishoten.co.jp/items/11150485
入れ替え
楽しみな映画のチラシを飾るべく、年末に壁に設置したアクリルフレーム。ずっと『泳ぎすぎた夜』を飾っていたけれど、半年ぶりに入れ替え。『寝ても覚めても』にしました。部屋の内装に妙に馴染んでる…。
柴崎友香さんの原作は図書館で借りて返却したけれど、6月に増補版が発売されるそうなので、そちらは買って再読するつもり。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309416182/
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