Cinema Studio 28 Tokyo 8周年
Cinema Studio 28 Tokyoは、インターネットを漂う、東京にあるらしい、あるかもしれない映画館
12月28日、映画の誕生日に生まれたCinema Studio 28 Tokyoは8周年を迎えました。
私事ですが2024年は転機の年で、ずっと韓国映画の中にいるような濃いめの時間を過ごしていたので、どんな物語であれ、ぼーっと映画館でスクリーンを眺める行為こそ、生活のノイズから遮断された癒やしの時間でした。ラジオもほとんど更新できなかったものの、ラジオでお話した人と親交がその後も続いて映画の話ができたりして、日常のすぐ隣に映画という愉しみがあるのは幸せなことだな、と感じています。
引き続き書いたり話したりして、9年目の28を続けていきます。楽しみにしていただければ幸いです。
Cinema Radio 28はこちら。年末年始に是非どうぞ!
https://www.cinemastudio28.tokyo/cinemaradio28
東京にいると分刻みの慌ただしさなので、昨日からまた台北にきてリラックス!を心がけています。到着してチェックインまで時間があり、書店に行き、映画のタイムスケジュールをチェック。秋にフィルメックスで観たロウ・イエ監督の映画が現在台北のアートハウス系映画館で盛大にかかってる。せっかくなのでローカルな映画を観たいけれど、東京でまだかかっていない映画もあって気になる。
ホテルのバルコニーから、台北101と台北ドーム(臺北大巨蛋)が見える。
東京ではアテネ・フランセのフレデリック・ワイズマン特集で未見のものを見ています。冬の間つづく楽しみ。
周年のご挨拶と、軽く近況でした。皆さま、楽しい年末を…!
ファンダム
この下の日記で映画『無名』出演のワン・イーボー(王一博)について書いたら、熱烈なワン・イーボーファンの皆さんにたくさん読んでいただき、普段スターが出る映画をあまり観ないし、監督も俳優も既にこの世にいない古い映画をよく観ることもあって、私にとって珍しく面白い現象として一連を眺めていた。
そして興味深いことに、日記を読んだワン・イーボーファンの方が私の書いた日本語を英語に翻訳し、英語圏のファンの皆さんにも拡散したっぽいこと。何が起こってるの…!
???? | #HiddenBlade_Review from Cinema Studio 28 Tokyo
The strong presence of Tony Leung and another young leading actor, #WangYibo, dominate the center of the screen as time passes. I witnessed the birth of a new star! He is a rising star! No matter where you are on the screen,… https://t.co/mu3CpxwPZB
— wang yibo archive (@wyiboarchive) May 13, 2024
一応、元の文章を書いた本人として、英語でどう訳されたのかチェックしてみた。
<英語>
The strong presence of Tony Leung and another young leading actor, #WangYibo, dominate the center of the screen as time passes. I witnessed the birth of a new star! He is a rising star! No matter where you are on the screen, your eyes will be captivated. It’s been a while since I saw someone so sparkling in a movie even though it’s not a glittering role.
Wang Yibo debuted as a member of an idol group and is said to be able to sing, dance, and rap. At the end of the movie, the theme song, a melancholy melody sung by himself, is played, and he sings it well. I watched a movie with a feeling of gratitude for making me feel the refreshing feeling of the birth of a star. I want to watch it again after some time has passed.
<日本語>
トニ―・レオンともう一人、主役級の若い俳優ワン・イーボー(王一博)の存在感が時間の経過とともにスクリーンの中央を支配して離さない。新しいスターの誕生を目の当たりにした!彼こそ新星!と画面のどこにいても目を奪われてしまう。久しぶりに観たな、映画の中であんなにキラキラした人を。キラキラした役でもないのに…。
ワン・イーボーはアイドルグループのメンバーとしてデビューし歌、ダンス、ラップもできるらしい。『無名』の最後には彼自身が歌う物憂げなメロディーの主題歌『無名』が流れ、歌も上手い。私にとって眉目秀麗というわけではないけれど、スター誕生の清々しい気持ちを感じさせてくれてありがとう、の気持ちでトニ―・レオンの映画を観たというのにトニ―・レオンの印象が薄いまま映画館を出た。時間が経った後に、もう一度観たい。
まず『無名』についての日記は前段いろいろ書いているけれど、おそらく『無名』はとっくに鑑賞済のワン・イーボーファンの中での情報共有だから、ワン・イーボーについて書いている部分だけ訳されている。
「私にとって眉目秀麗というわけではないけれど」という表現が訳されておらず、私はこれを「映画の中での存在感は素晴らしかったが、私はワン・イーボーの見た目のファンではない(=好みとは違う)」という意味を含んで書いたけれど、ワン・イーボーファンの中でそれは共有不要と判断したのか、単に訳し方がわからずカットしたのか、どちらか。
この箇所を除くと、Google翻訳にほぼ忠実な英文なので、いったん自動翻訳→意味の通じない箇所をカットして載せたのだと思う。
自分の「推し」の日本の観客への受容まで熱をもって追いかけるなんて、ファンダムというのは凄い。なるほど強い経済圏を形成するはずである。日本にも熱心なファンがいるようだし中華圏の人口は桁違いだから、中華スターの威力というものを軽い気持ちで書いた日記で思い知ることとなった。
無名
ヒューマントラスト有楽町で。トニ―・レオン主演『無名』を観た。
1941年、上海。日本の傀儡である汪兆銘政権のもとで、フーは諜報機関に所属している。彼は、部下のイエと共に汪兆銘政権に忠誠を誓い、敵対する中国共産党勢力と熾烈なスパイ戦を繰り広げる。
あらすじだけ読むと『ラスト、コーション』(2007年/アン・リー監督)を連想し、当時の上海が舞台なら美術や衣裳も楽しみと思っていたけれど、何人か女性は登場するものの基本は男たちの物語で、クリストファー・ノーラン的に時系列を自在に入れ替える編集、1930〜40年代の共産党・国民党・日本軍の歴史理解、言語は普通話・上海語・北京語・日本語が混じり、ひとりの人物がどの軍に属しているか把握したかと思えば寝返り、日本人だけではなく中国人も日本語を話し…と、人物の印象も関係性も刻々と変わる、そのスリリングな変化を楽しむ映画で、予習とは言わずとも「汪兆銘政権」の歴史はwikipediaで読んでおくほうが良いかもしれない。
一度観ただけの私は完全に物語を掴んだとは思えず(最近そんな映画が多いですね…)、けれど最後の数分まで辿り着くと『無名』の魅力をきちんと浴びた気持ちになった。理解は脇に置いてトニ―・レオンともう一人、主役級の若い俳優ワン・イーボー(王一博)の存在感が時間の経過とともにスクリーンの中央を支配して離さない。新しいスターの誕生を目の当たりにした!彼こそ新星!と画面のどこにいても目を奪われてしまう。久しぶりに観たな、映画の中であんなにキラキラした人を。キラキラした役でもないのに…。
ワン・イーボーはアイドルグループのメンバーとしてデビューし歌、ダンス、ラップもできるらしい。『無名』の最後には彼自身が歌う物憂げなメロディーの主題歌『無名』が流れ、歌も上手い。私にとって眉目秀麗というわけではないけれど、スター誕生の清々しい気持ちを感じさせてくれてありがとう、の気持ちでトニ―・レオンの映画を観たというのにトニ―・レオンの印象が薄いまま映画館を出た。時間が経った後に、もう一度観たい。
Cinema memo : 6月
GW最終日から喉痛と微熱があり、最近身近でインフルエンザに罹った人と似た症状だから戦々恐々として内科で検査してもらったら、インフルエンザでもコロナでもなく、風邪だった。医師曰く「最近どれも症状が似てるんですよね…」とのこと。確実にどちらかだろうと思っていたので拍子抜けして「え!では…普通に生活していいってことですか…?」と聞いたら、「はい!」とのことで、マスクをして普通に生活している。ロキソニン60mgをもらい、微熱はほぼ平熱に落ち着き、時々派手な咳が出る感じ。喉はやくなんとかしたい。
ちょっと先の映画の公開情報って、記憶も流れていってしまうから私はここにCinema memoとして書き留めて時々見返してるのだけれど、diaryを読んでいる人にも参考になっていると知って嬉しい。
おっ!と思ったのは6/8(土)〜6/14(金) 下高井戸シネマで、日替り上映『夜明けのすべて』公開記念 三宅唱監督特集。ラインナップ大充実!滅多に上映されず配信もない作品多し。私の推しの『THE COCKPIT』も観てほしい。下高井戸、東京東側の住人としては、かなり東京を横断する移動になるので行けるかどうか微妙だけれど…
http://www.shimotakaidocinema.com/schedule/schedule.html
『やくたたず』 ※同時上映
『NAGAHAMA』/『八月八日』※
『Playback』
『THE COCKPIT』
『密使と番人』
『ケイコ 目を澄ませて』
『ワイルドツアー』
『きみの鳥はうたえる』
三宅唱監督、何かのインタビューで北京含む中国の数カ所で特集上映されたと話されていて、あんな娯楽の限られた埃っぽい北京で(埃っぽいは関係ないが)?三宅唱作品が上映されるなんて…と感慨に耽ったけれど、監督いわく「ニッチな趣味を持つ人がいくら人口比率からは少数派だとしても、中国は人口が桁違いに多いので、けっこうな母集団になる」的な(意訳)ことを言っており、なるほど!と腑に落ちた。あんな埃っぽい北京で不意に三宅唱作品を知ってしまうと、カラカラに乾いた心身に(乾燥してるから)潤いが染み渡る気持ちになるだろうなぁ。
映写室
ピアノ&シネマ2024上映後、会場である横浜シネマジャック&ベティの映写室見学に参加しました。スクリーンのある2階?からさらに謎めいた階段を上がった3階にある。
入ってみると意外と広い!「ジャック」「ベティ」と2つのスクリーンに1つの上映室から投影できるよう、機材が2セット、反対方向を向いて設置してある。靴を脱いで入る必要があり、撮影は可能だがスクリーンに投影している映画が写らないよう配慮を、ということでした。
この右の機械がデジタル上映用、左のはフィルム上映用映写機。デジタルのほうは1日分の上映データを朝にセットしておけば良いらしく「朝にセットし忘れなければ1日触らずに上映できる」そうです。フィルム上映のカタカタカタカタ音も聴けて嬉しかった。だいぶ昔、通っていた京都のアングラ映画館が、映写機が客席の後ろにむき出しに置いてあったので(今考えるとすごい)、あの音にノスタルジーを感じる。
フィルム上映用のリール。バックヤードのかっこよさ。ジャック&ベティの3階、映写室に至るまでの狭い通路の両脇の壁が、懐かしいポスターやチラシが貼ってあったり、サイン色紙やDVD、映画本などが無造作に積まれていて、ひとつひとつ時間をかけて見てみたい魅惑の場所です。
直近の上映スケジュールが貼ってあった。映写技師の連絡用のノートが置いてあったりも。
映写室の壁のチラシのチョイスは、スタッフの皆さんの好きな映画なのかな、と思った。
ジャック&ベティでは時々映写室見学をやっているようなので、そのタイミングに合わせて映画スケジュールを決めるのも楽しいと思います。見学ツアーありがとうございました!
ピアノ&シネマ2024
サイレント映画ピアニスト・柳下美恵さんのGW恒例企画「ピアノ&シネマ2024」に伺いました。私が観たのはEプログラム。キッズプログラムとして、短編を組み合わせたり、映像に手拍子でみんなで音をつけたり、途中でそもそも映画とは?の楽しい説明があったり、上映後には8mmフィルム映写機で実際に映写したり、ジャック&ベティの映写室見学があったり、の盛りだくさんなお楽しみプログラム。鑑賞メモです。
■奇怪な泥棒(1909年/フランス/4分/フェルディナン・ゼッカ監督)
室内にあるモノが人がいないのに無重力で動くミステリーを楽しむ4分。黒い服を着て撮影し、黒の部分が消えることで透明人間がモノを動かしているように見える…という当時の撮影テクニックの解説があった。
■茶釜音頭(1934年/日本/10分/政岡憲三監督)
狸が化けてお寺に忍び込んだけれど捕まった…このままだと狸汁にされちゃう!きゃあどうしよ!なアニメーション。蓄音機から音符が出てきて和尚さんも小僧も踊る。狸たちも東京音頭を踊る。どうしようかな?を「あのてこのて箱」開けて考える。とにかく可愛い。めちゃ可愛い。狸も可愛いし、踊る音符も雲も、何もかもが可愛い。なんて可愛いのー!!政岡憲三は日本のアニメーションの父と呼ばれる人で、ああ、ここから手塚治虫やジブリへアニメーションの歴史が紡がれていったんだなぁ…と感無量。とにかく狸が…狸が可愛い!
■モダン怪談100,000,000円(1929年/日本/15分/斎藤寅次郎監督)
駆け落ち同然で山に心中にきたカップルが、その山に埋蔵金が埋まっている噂を知って…という物語。山でキャンプみたいなことをしてるけど、男がいかにも頼りない風情でキャンプもおままごとみたいに見える。カップルに悲壮感がなく、どこかカラッとしているのがモダンだな、と思いました。
■キテレツ発明家(1923年/日本/11分/ヒュー・フェイ監督)
タイトル通りキテレツ発明家のドタバタ劇。部屋の中にたくさん紐が吊るしてあって、ベッドから引っ張るだけで調理された朝食が食べられ、身支度も順番に紐を引っ張ると整えられる。いや、その紐を仕込む暇があるなら、普通に身支度したほうが早いね?と思ってしまうけれど、そう思わないのが発明家脳なのだろう。当時の車が鉄でできていた事実を利用した巨大磁石で車にくっついて移動するのは賢いアイディア。でもあんな強力な磁石、周囲の様々なモノの正確な稼働に影響を与えてしまいそう。主演ハリー・スナップ・ポラードはチャップリンを薄めたような顔の俳優で、表情は動かず、スンッとした表情でおかしなことをしでかすのが面白いタイプの喜劇俳優だな、と思った。
ピアノ&シネマ2024は5/10(金)まで連日開催中です。
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3455/
ヤンヤン 夏の想い出
早稲田松竹で観た『ヤンヤン 夏の想い出』(2000年/エドワード・ヤン監督)、35mmフィルム上映。過去に観た映画と再会して、傷の入ったフィルムのバチバチ音を聴くと、ずいぶん生きたなぁ自分もと思う。思いませんか。
http://wasedashochiku.co.jp/archives/schedule/40690
台北の文教エリアに暮らす一家の、結婚式で始まり葬式で終わるひと夏の群像劇。圓山大飯店で結婚式を挙げ、NJ(父親)は企業の共同創業者のひとりのようだから裕福な家庭なのだろう。娘は名門と呼ばれる学校に通い、一見何の不自由もなさそう。
そんな家庭と周辺にも日々ざわめきは生じ、怪しげな宗教にハマったり、恋愛がもつれて殺傷沙汰に巻き込まれたり。エドワード・ヤンらしい都市生活者の孤独が描かれる。
何度も観ており、かつては学生たちに近い年齢だったのが、いつの間にか父親母親と同年代かやや下?という年齢に差し掛かり、今回思ったのはNJ(父親)の素晴らしさ。善良なる存在であることを自らに課し、行動規範として人生の半ばまで遵守してきた人物の、さりげなくも地に足のついた存在感。何が起きても一家の軸が大きくは揺らがないのはNJが中心にいるからであろう。NJの真意ははっきりとは見えないが、再会した美しい初恋の相手を、今も昔も選ばなかったのは、ある種のエキセントリックさを周到に回避するNJなりの防衛本能なのかもしれない。
そんなNJの本心が垣間見えるのは、日本のクリエイター大田との会話においてで、彼らの交わす簡単な単語を繋げた英語の、流暢すぎないからこそ詩のようなやりとりが一言一句美しい。大田を演じるイッセー尾形が天使みたい。でも、こういう天使みたいな人って人生で時々出会って、自分も思わず誰にも話ししたことないような「いきなり本題」みたいなことを打ち明けてしまうよね。
NJ役の呉念真(ウー・ニ゙エンジェン)、エドワード・ヤンが亡くなった後に東京国際映画祭で追悼特集があり『ヤンヤン 夏の想い出』の後だったかに登壇した記憶があって、本人のお話も実直な言葉でとてもわかりやすかったことを覚えている。
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