Cinema Radio 28/第3回更新しました ゲスト:フランチェスコさん(ワインショップ勤務)
音声配信 Cinema Radio 28、本日更新しました。
第3回は初の海外からのゲストで、イタリア出身パリ在住映画好きの友人です。様々な事情により日本語での補足が多い内容になっていますが、通訳をお願いしてイタリア訛りフランス語と関西弁で3人でお届けします。コロナ禍を経て3年半ぶりに話せて、ラジオ収録もこの夏の思い出になりました。
■Cinema Radio 28とは?
WebマガジンCinema Studio 28 Tokyo主宰・辻本マリコが毎回ゲストを招き、「映画にまつわる28の質問」からゲストに数問選んでいただき、映画にまつわる人生の記憶や思い出、好みや妄想についてお話しを聞いていきます。
■第3回ゲスト
フランチェスコさん(ワインショップ勤務)
通訳:中本陽子さん(第2回ゲスト/ピアニスト)
https://www.instagram.com/yoko_nakapf/
28って何?/フランチェスコはイタリア出身パリ在住の映画好き/ディスニー・クラシックで骨ダンス/イタリア山間部、大晦日の思い出/パリの名画座通り/不純な動機とオールナイト/ムンバイでインド映画に出演/オリヴェイラが共通項/おすすめのイタリア映画を1本だけ選ぶなら
以下、右下の▶︎をクリックで聴けます。
■聴きかた
◎このサイトから聴く
最新の放送回から順にアーカイブしています。▶︎をクリックで聴けます。
https://cinemastudio28.tokyo/cinemaradio28
◎stand.fmで聴く
<Webから>
stand.fm/Cinema Radio 28チャンネルより放送回の▶︎をクリックで聴けます。
https://stand.fm/channels/627530b7fd1be6fc4649d435
<アプリから>
アプリストア(AppStore / Google Play)よりアプリを無料ダウンロード、Cinema Radio 28を検索してください。
海外からもアプリ利用・聴取可能です。
■Music
オープニング・エンディングの音楽はジャズベーシスト・川本悠自さん演奏のMoon Riverです。Youtubeで是非どうぞ(Youtubeはこちら)
Weekly28/ピアノ&シネマ2023御礼/金澤文鳥
5月2日、横浜ジャック&ベティにて柳下美恵さんのピアノ&シネマ2023、上映後のトークゲストとして参加させていただきました。
終了後、(私と同じく)一番好きな監督はエルンスト・ルビッチ!という方に声をかけていただいたり(同志よ!)、温かい感想もいただき、貴重な機会をくださった柳下美恵さん、素敵な観客の皆さま、ジャック&ベティスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
上映前、ジャック&ベティの3階(バックヤード、映写室がある)に入らせていただいたのですが、貴重な映画資料が無造作にざくざく置かれていて、歴史ある映画館のかっこよさ満載で、何日でも居られそうな場所でした。
鑑賞したDプログラムを振り返り。
『磁石警察』(1902年)
19世紀にパリで人気を博したサーカス団・ビュイック座の組体操のような動きを撮ったコメディ。映画の誕生(1895年)から数年後のこんな超短編が120年経った現在も、遠い国で大事に上映されていることが素敵。
『キートンの即席百人芸』(1921年)
当時最先端の撮影技術を駆使しバスター・キートンが何役も演じ分け、多彩なキートンがスクリーンに同時存在する。1921年にこれを撮るなんて、気が遠くなるような緻密で複雑な撮影だっただろうと想像すると、メイキングを観たくなる。
バスター・キートンの顔ファン(顔が好き)なので、女性、老人、猿!といろんなキートン・コスプレを楽しめるし、目鼻立ちがくっきりした顔だからこそ何に扮してもキートンらしさが残るのが面白い。女性役を演じるメイクを施したキートン、坂本龍一にそっくりでは…?考えてみれば同じ系統の顔立ちかも。
『花嫁人形』(1919年)
ルビッチ!常に新しい発見がある映画で、トークのためしばらくオッシちゃんのことを考えていたせいか、上映中はオッシちゃん以外のことを考えていた。
・ルビッチは俳優出身で、映画監督になってからも演出は言葉で伝えるのではなく自分で見本を演じてみせたと読んだので、あのキュートな馬の演技もルビッチが演じてみせたのかな。馬たち、ちょっとした脚の曲げ方が表情豊か。
・女嫌いの男性が遺産相続のため結婚の必要に迫られ考えたアイディアが「人形と結婚する」こと。1919年、「女嫌い」はどう表現されるの?とインサートの字幕を読むとmisogynist とあり、こんなケースで使う単語なのか。今ならmisogynist と一括りにせず、表現のバリエーションがありそうだけれど。
・『花嫁人形』はギリシャ神話『ピグマリオン』にヒントを得た創作で、脚本はルビッチ。元ネタがあるにせよ、男女が結婚することが当然の前提として展開する物語が多い時代の映画において、女性が苦手で結婚を強要されてしんどい登場人物なんて斬新で、ルビッチ、つくづくモダーンな人と思う。
・ルビッチ映画についてのレビューに、ゴージャスな映画だが不倫ものは観ていてしんどくなると書かれているものが時々あり、遠い昔につくられたフィクションだとしても観る側の感覚は日々変化しているから、そんな感想を抱くのも自由と思う。そして結婚する/しない、異性と/同性と、三次元とは限らない/二次元かも?などパートナーシップの多様化や、誰かのパートナーシップ形成への他者の介入を良しとしない傾向が進む中、いずれ『花嫁人形』も、女性嫌いな男性に金銭を条件に結婚を強要するなんて個が尊重されていない、観ていてしんどいって感想を抱く人が増えてくるのかもしれない。
・そうなると何かと「そろそろだね」「もうそろそろだよ」と若い女性が婚姻を手配されがちな小津映画なんて大半が観ていてしんどいカテゴリーに入る未来がくるのかな。
・数年前だけれど愛の対象や形は様々で、誰も愛してなくても良い現代なら『花嫁人形』の彼も生きやすいのでは?と思いながら読んだ記事がこちら。
批判もあったが「勇気付けられた」 初音ミクさんとの“本気の挙式”を終えて
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/21/news031.html
トーク中に紹介させていただいた、私がルビッチにハマるきっかけになった、ジャン・コクトーが内装を手掛けたパリの映画館 Studio28 の写真を発掘しました。2007年撮影のため、現在は少し変わっているかもしれません。
モンマルトル、メトロ Blancheが最寄り。ジャン・ジュネの映画『アメリ』で有名になった界隈にある。
BAR&JARDIN Accès Libreとあり映画を観なくても、併設のバーと庭には自由に入れる。
エントランス。モノクロ時代のフランス映画で、このエントランスがちらっと映るシーンがあったけれど、思い出せない…。ロメールだったか、ユスターシュだったか。
その日の上映作品紹介。当時、ジェーン・バーキン監督『Boxes』が封切りだった。
エントランス内側にあるジャン・コクトーのサイン。
チケットを買い、上映待ちのロビーの風景。1928年オープンの歴史ある映画館だから、ロビーの壁が写真や資料で映画博物館のよう。
スクリーンは1つだけで、内装はドリーミー!壁と天井が紫、緞帳と椅子が赤、キノコのシャンデリア!私が観た『ウィンダミア夫人の扇』も20年代につくられたもの同士、場の雰囲気に合っていたけれど、非現実的な内装だから『花嫁人形』もすごく似合いそう。
庭は白い天幕のような布がかかっていて、フランスの映画スターがたくさん!
テーブルも俳優の写真のコラージュ。メニューはフィルム缶に貼ってある。当時は映画館とバーをスタッフが兼任していて、声をかけると飲み物を持ってきてくれた。
https://www.cinema-studio28.fr/
【最近のこと】
ジャック&ベティ、川畑あずささんデザインの黄色いポスターがあちこちに貼られていて、パッと目を惹く鮮やかさで素敵でした。
川畑あずささんはCinema Studio 28 Tokyo のデザイン担当。このサイトのすべてのデザインを手掛けていただいています。
あずささんにいただいた金沢土産の金澤文鳥(文鳥パッケージの羊羹)、めちゃくちゃ可愛い。鳥類の親近感でうちのペンギンズも色めきたっている。instagramで#金澤文鳥 で検索すると、金澤文鳥とリアルな文鳥を一緒に撮っている写真がたくさんあって眼福でした。
Nouvelle Vague
パリ在住の友人から送られてきた写真。近所のワイン屋に売られていたから買ってきた!飲み終わってもボトル捨てないつもり、と。Nouvelle Vagueという名のワイン。
エチケットのデザインは『女と男のいる舗道』のアンナ・カリーナ。
こんなワインあるんだ!と、nouvelle vague vin france など適当に検索したら簡単にヒットした。友人が買った白はこれ。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/wilfried-valat-nouvelle-vague-blanc/
赤もあって、別のアンナ・カリーナがいます。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/la-nouvelle-donne-nouvelle-vague-rouge/
日本で見かけたことのないワインだし、28のdiaryに載せたいから写真使わせてもらってもいい?の許可を得て書いてるのだけれど、これまでなら「次にフランスに行くことがあったら飲んでみたい」だとか、「次に日本に来る時に買ってきて!」ってお願いなど、だったはずだけれど、そんな楽しいフレーズが頭に浮かび、実現可能性の難しさに一瞬で掻き消されてしまったのが、我が人生のコロナ期における日々の小さな絶望、って感じ。
Anna
亡くなったと知りアンナ・カリーナの映画の中で好きなものを考えたみたけれど、やっぱり『アルファヴィル』。ゴダールの中でも一番好き。どう見てもパリなのに、いやここは未来都市アルファヴィルであるぞと全篇に渡り主張する強引さがキュート。見立ての面白さ。アンナ・カリーナの美しさは、カラフルな他の映画より、モノクロ無表情のほうが際立っていた。黒いワンピースに白い襟、黒いコートにファー、そんな洋服を好きになったのはこの映画のせいと思う。モノクロで撮られているから、実際に何色かは知らないけれど。
写真はパリ…じゃなくて2019年東京のケーキ屋(美味しい)。漢字もひらがなも写っていないから、東京の景色もトリミングすれば1965年のパリって言い張れるかもしれない。東京タワー?いいえ、エッフェル塔です。
『アルファヴィル』は学生時代、みなみ会館で観たのが初見でした。ヌーヴェルヴァーグのみなさんの訃報に触れるたび、ゴダールは長寿だな、と思う。
Notre Dame
ノートルダム大聖堂の火災、朝起きて知ってとてもショックだったけれど、仕事が立て込んでいたので誰ともその話をせず、時折、指先で遠くの人々とやりとりしてショックな気持ちを発散した。パリの友人は広場で賛美歌を歌う人々の動画を送ってくれた。母から悲しすぎる、とメールが届いてシンプルな文面に不思議と癒された。ショックな気持ちを何と表現すればいいのかわからなかったけれど、悲しい、だけでいいんだな、と。
1年にも満たない短い期間だったけれど、パリ左岸に暮らしていたことがあり、朝、Pont Marieを自転車や徒歩で右岸に渡る時、ノートルダムが見えるのが好きだった。写真は当時、ここからの景色が好きだな、と撮ったもの。正面より裏側のほうが日常の景色として馴染みがある。
富士山が映っている映画ってどれ?と問われて、すぐパッと答えられないように(すべての松竹映画とそれから…)、ノートルダムはあまりに多くの映画に映り込んでいるけれど、咄嗟に『ビフォア・サンセット』を思い出したのは、船に乗った二人とノートルダムの裏側が映る場面があるからかもしれない。修復され、ふたたび蘇ることを願っています。友人に託すなどの確かな方法で、寄附もしたい。
香り
しかしまぁ、慌ただしい春である。自分でも何が起こっているのかいまいち把握できていないけれど、ひと段落つく頃には視界もずいぶん変わっているのではないか。
そんな中、友人から小包が届いた。年末の誕生日の贈り物としてリクエストしていた香水。セルジュ・ルタンスの香水はひとつひとつ詩のようなストーリーがついており、香りを確かめずに、ストーリーだけで私に似合いそうな1本を選んでほしい、と伝えていた。
贈ってくれた友人はパリに暮らしており、パレ・ロワイヤルにあるセルジュ・ルタンス本店まで出向き、やっぱり香りを確かめて選んでくれたらしい。もちろんストーリーも確認しながら、私が自分では選ばなさそうな香り、そして最近の私の轟々とした変化に似合いそうな香りを選んだとのこと。そして香りを選ぶという行為が友人にはとても刺激的な体験だったそうで、むしろ御礼を言いたい気分、とのことだった。私は嗅覚が弱く、あまり香りを識別できない。自分からどんな香りがするのかわからない、というのはなかなかの恐怖である。だからかどうか香水に却って興味があり、けれど選ぶ自信がないので極めて親しい人に似合うものを選んでもらう。何でも自分で決める私が、唯一他者に決めてもらうもの、というのも面白い。
自分がつけている香水を声高に打ち明けるのは無粋のように思うので、何を選んでもらったかは秘密だけれど、例えば、しばらく前に目にしたプラド美術館に佇むジェレミー・アイアンズのような人に似合いそうだと思った。美術作品を眺めるジェレミー・アイアンズ自身も美術作品のようだった。シンプルな装いだけれど、生きてきた年月の重なりが独特の迫力を生んでいる。
もしくはオリヴェイラ映画に時折登場する、何で生計を立てているのかはわからないけれど、どうやら地元では名士であるらしい人々の大きな邸宅のサロンで親しい人だけ集めて開催される音楽会のような場所にも似合いそう。
そんな妄想をしたけれど、果たして私に似合うかはわからない。親しい人が選んでくれたから、つけてみようと思う。多湿な日本においては秋冬に似合いそうで、冬生まれにはぴったりなのかもしれない。
Studio Galande
昨日更新したCINEMATIC,COSMETIC第1回、ayaさんがネイルを塗って観に行った映画は『メッセージ』。大好きな映画なので原稿をいただいた時は嬉しかったです。私は平日の夜、仕事の後にTOHOシネマズ日本橋で鑑賞。大きめのスクリーンいっぱいに「彼ら」が何かを伝えんとする表語文字が墨絵のようにじわっと広がるのを、満席の観客みんなで固唾を呑んで見守っていた。観終わって外に出ると、日本橋のビル街の風景も、少し違って見えました。
そんな『メッセージ』、また観たいなぁ…と、あれから何度も何度も思い出しているけれど、家で観るのもちょっと違うな、と。いつか再上映の機会を待っている。東京にはたくさん映画館があるのだから、いろいろ事情はありましょうが、毎週金曜の夜にしぶとく『メッセージ』をかけ続けることが名物の映画館がひとつぐらいあってもいいんじゃないかしら。10年経っても20年経っても、ひたすら『メッセージ』がかかっていて、あの映画をその映画館で観ることそのものが映画好きの憧れになるような。
思い出すのは、パリのStudio Galandeという、ノートルダム近くの路地にある小さな映画館。なんと1978年からずっと、『ROCKY HORROR PICTURE SHOW(ロッキー・ホラー・ピクチャー・ショウ)』を定期上映していることで有名。毎週タイムテーブルを教えてくれるメールマガジンに登録し、ずっと解除していないけれど、見るたびに、毎週この映画かかってるな?と不思議に思っていただけで、そんな長い歴史があるとは知らなかった。
http://studiogalande.fr/FR/17/rocky-horror-picture-show-cinema-studio-galande.html
こちらに日本語で詳しく解説されています。
http://www.hitoriparis.com/kanko/galande.html
毎週パリであの映画がかかってると妄想するだけで心が温まる熱いROCKY HORROR PICTURE SHOWファンもいるに違いない。こんな感じで『メーセージ』をかけ続けてくれるなら、ばかうけ似の宇宙船のコスプレでもして馳せ参じたい。
ずいぶん前の夜、Studio Galandeで私が観たのは、偶然かかっていた石井聰亙(現在は石井岳龍)監督の『ユメノ銀河』だった。パリで観るモノクロの妖しい日本の風景、得難い経験だったな。
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