MUSCLE
数年ぶりの懐かしい人に会ったり、新しい人に会ったり、暖流と寒流がぶつかるスポットですか?という感じの、慌ただしい日々。
今日は懐かしい人にお会いして、ラオス土産のアロマ・マッサージオイルをいただいた。いくつか種類があり、私はMUSCLEを選んだ。筋肉疲労をほぐす効果ありと推察。私の健康維持には食事や睡眠よりも、何より運動が効くらしいことを確信しているので、はりきって運動し、はりきってオイルでほぐそう。
早稲田松竹のラックで、フランス映画祭のチラシを見つけた。横浜開催に変わってから行っていない。矢田部吉彦さんの解説が素晴らしかったです。『めくらやなぎと眠る女』、タイトルだけで村上春樹がまた映画化されるのか!と詳しく調べなかったけれど、アニメなのね。そしてクレール・ドゥニ『美しき仕事』にまつわる、矢田部さんのエピソードが、あまりにパーソナルで素晴らしい。映画について、いろんな人のこういう話を聞きたいのですよ。
しかし都合はつかず、横浜まで行くのは難しそうなので気になる映画が公開された際には、必ず観ることにします。
Nouvelle Vague
パリ在住の友人から送られてきた写真。近所のワイン屋に売られていたから買ってきた!飲み終わってもボトル捨てないつもり、と。Nouvelle Vagueという名のワイン。
エチケットのデザインは『女と男のいる舗道』のアンナ・カリーナ。
こんなワインあるんだ!と、nouvelle vague vin france など適当に検索したら簡単にヒットした。友人が買った白はこれ。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/wilfried-valat-nouvelle-vague-blanc/
赤もあって、別のアンナ・カリーナがいます。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/la-nouvelle-donne-nouvelle-vague-rouge/
日本で見かけたことのないワインだし、28のdiaryに載せたいから写真使わせてもらってもいい?の許可を得て書いてるのだけれど、これまでなら「次にフランスに行くことがあったら飲んでみたい」だとか、「次に日本に来る時に買ってきて!」ってお願いなど、だったはずだけれど、そんな楽しいフレーズが頭に浮かび、実現可能性の難しさに一瞬で掻き消されてしまったのが、我が人生のコロナ期における日々の小さな絶望、って感じ。
Anna
亡くなったと知りアンナ・カリーナの映画の中で好きなものを考えたみたけれど、やっぱり『アルファヴィル』。ゴダールの中でも一番好き。どう見てもパリなのに、いやここは未来都市アルファヴィルであるぞと全篇に渡り主張する強引さがキュート。見立ての面白さ。アンナ・カリーナの美しさは、カラフルな他の映画より、モノクロ無表情のほうが際立っていた。黒いワンピースに白い襟、黒いコートにファー、そんな洋服を好きになったのはこの映画のせいと思う。モノクロで撮られているから、実際に何色かは知らないけれど。
写真はパリ…じゃなくて2019年東京のケーキ屋(美味しい)。漢字もひらがなも写っていないから、東京の景色もトリミングすれば1965年のパリって言い張れるかもしれない。東京タワー?いいえ、エッフェル塔です。
『アルファヴィル』は学生時代、みなみ会館で観たのが初見でした。ヌーヴェルヴァーグのみなさんの訃報に触れるたび、ゴダールは長寿だな、と思う。
香り
しかしまぁ、慌ただしい春である。自分でも何が起こっているのかいまいち把握できていないけれど、ひと段落つく頃には視界もずいぶん変わっているのではないか。
そんな中、友人から小包が届いた。年末の誕生日の贈り物としてリクエストしていた香水。セルジュ・ルタンスの香水はひとつひとつ詩のようなストーリーがついており、香りを確かめずに、ストーリーだけで私に似合いそうな1本を選んでほしい、と伝えていた。
贈ってくれた友人はパリに暮らしており、パレ・ロワイヤルにあるセルジュ・ルタンス本店まで出向き、やっぱり香りを確かめて選んでくれたらしい。もちろんストーリーも確認しながら、私が自分では選ばなさそうな香り、そして最近の私の轟々とした変化に似合いそうな香りを選んだとのこと。そして香りを選ぶという行為が友人にはとても刺激的な体験だったそうで、むしろ御礼を言いたい気分、とのことだった。私は嗅覚が弱く、あまり香りを識別できない。自分からどんな香りがするのかわからない、というのはなかなかの恐怖である。だからかどうか香水に却って興味があり、けれど選ぶ自信がないので極めて親しい人に似合うものを選んでもらう。何でも自分で決める私が、唯一他者に決めてもらうもの、というのも面白い。
自分がつけている香水を声高に打ち明けるのは無粋のように思うので、何を選んでもらったかは秘密だけれど、例えば、しばらく前に目にしたプラド美術館に佇むジェレミー・アイアンズのような人に似合いそうだと思った。美術作品を眺めるジェレミー・アイアンズ自身も美術作品のようだった。シンプルな装いだけれど、生きてきた年月の重なりが独特の迫力を生んでいる。
もしくはオリヴェイラ映画に時折登場する、何で生計を立てているのかはわからないけれど、どうやら地元では名士であるらしい人々の大きな邸宅のサロンで親しい人だけ集めて開催される音楽会のような場所にも似合いそう。
そんな妄想をしたけれど、果たして私に似合うかはわからない。親しい人が選んでくれたから、つけてみようと思う。多湿な日本においては秋冬に似合いそうで、冬生まれにはぴったりなのかもしれない。
2重螺旋の恋人
有楽町で『2重螺旋の恋人』を観た。
https://nijurasen-koibito.com/
フランソワ・オゾン、器用な監督で何でも撮れそうだけれど、だからこそ私にとって当たり外れが大きい。『しあわせの雨傘』なんて本当につまらなくてオゾンが撮る必要あるのかな?とすら思った。『8人の女たち』より『まぼろし』より初期の『焼け石に水』が一番好きだったかもしれない私には、『2重螺旋の恋人』は久々の当たりだった。
主演マリーヌ・ヴァクトは『17歳』のヒロインだった女優で、なんだか植物のように触れれば散りそうな脆さだった『17歳』から数年、華奢な身体はそのままに、みっしり肉も骨も詰まった動物に化けていた。フランス女優らしく惜しみなく脱ぎ、次は脱がない映画に出ないと、そろそろマリーヌ・ヴァクトが登場して脱ぐだけで、また脱いでるよ(笑)って失笑を買うかもしれない。マリーヌ・ヴァクトの見た目やラフな装いが好きで、時々画像検索して見惚れているけれど、自分の美しさに無頓着な美しい人っていいなぁ。シルクなどのとろみある素材のクタッとしたシャツやブラウスが世界で一番似合う。
双子をキーワードに出生の謎が解き明かされてゆくミステリー。染色体の関係で三毛猫はだいたい雌、雄の三毛猫は極めて珍しいという事実をこの映画で知った。中盤まで真顔で観ていたけれど、実はコメディなのでは?と思い始めてから初期オゾンを彷彿とさせるグロテスクなシーンが散りばめられていることに気づき、俄然楽しくなる。
終盤、強烈な存在感を放つ老婦人に驚き、誰かと思えばジャクリーン・ビセットだったのでさらに驚いた。トリュフォー『アメリカの夜』ヒロインのあの美しい人。老いが重くのしかかったジャクリーン・ビセットを、オゾンが美しく撮ろうとしていないせいか、ジャクリーン・ビセットの登場するシーンだけデヴィッド・リンチ映画のような趣があった。
クレオ気分
アニエス・ヴァルダから思い出したけれど、あちこちの病院であれこれ検査する時間を過ごし、存分にクレオ気分を味わった5月だった。
『5時から7時までのクレオ』(アニエス・ヴァルダ監督/1962年)のクレオの気分。クレオが、自分が癌かもしれないという恐怖に怯えながらパリの街を彷徨い、7時に検査結果を知るために医者のもとに行くまでの情緒不安定かつ多動な2時間の物語。そんな重病の疑いではない私でも、病院は憂鬱で緊張するもの。最後に見知らぬ兵士に心を開き、支えられるように病院に向かう、クレオの気持ちはうっすらわかる。
アニエス・ヴァルダの映画、街の美しさもグロテスクさも、ごろっと記録されていて、何度観ても飽きない。
明日から6月。
FFF
フランス映画祭、会場だけではなく、運営も変わったのか、週末にチケット発売されるのに、ギリギリまでスケジュールが発表されなかった。
横浜は遠いけれど、アニエス・ヴァルダが登壇するなら!と意気込んでいたけれど、来日キャンセルになったとのこと。5/30がお誕生日で、なんと90歳。5月、カンヌで抗議行動に参加してスピーチしたという記事を読んだけれど、フランス国内ならまだしも、日本は遠いよなぁ…。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5624/
映画の公開(9月)を楽しみに。アニエスの肩に猫!
https://www.cinematoday.jp/news/N0101223
ということで、5〜6年ぶり?にフランス映画祭に行かない年になりそう。
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