Nouvelle Vague
パリ在住の友人から送られてきた写真。近所のワイン屋に売られていたから買ってきた!飲み終わってもボトル捨てないつもり、と。Nouvelle Vagueという名のワイン。
エチケットのデザインは『女と男のいる舗道』のアンナ・カリーナ。
こんなワインあるんだ!と、nouvelle vague vin france など適当に検索したら簡単にヒットした。友人が買った白はこれ。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/wilfried-valat-nouvelle-vague-blanc/
赤もあって、別のアンナ・カリーナがいます。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/la-nouvelle-donne-nouvelle-vague-rouge/
日本で見かけたことのないワインだし、28のdiaryに載せたいから写真使わせてもらってもいい?の許可を得て書いてるのだけれど、これまでなら「次にフランスに行くことがあったら飲んでみたい」だとか、「次に日本に来る時に買ってきて!」ってお願いなど、だったはずだけれど、そんな楽しいフレーズが頭に浮かび、実現可能性の難しさに一瞬で掻き消されてしまったのが、我が人生のコロナ期における日々の小さな絶望、って感じ。
Anna
亡くなったと知りアンナ・カリーナの映画の中で好きなものを考えたみたけれど、やっぱり『アルファヴィル』。ゴダールの中でも一番好き。どう見てもパリなのに、いやここは未来都市アルファヴィルであるぞと全篇に渡り主張する強引さがキュート。見立ての面白さ。アンナ・カリーナの美しさは、カラフルな他の映画より、モノクロ無表情のほうが際立っていた。黒いワンピースに白い襟、黒いコートにファー、そんな洋服を好きになったのはこの映画のせいと思う。モノクロで撮られているから、実際に何色かは知らないけれど。
写真はパリ…じゃなくて2019年東京のケーキ屋(美味しい)。漢字もひらがなも写っていないから、東京の景色もトリミングすれば1965年のパリって言い張れるかもしれない。東京タワー?いいえ、エッフェル塔です。
『アルファヴィル』は学生時代、みなみ会館で観たのが初見でした。ヌーヴェルヴァーグのみなさんの訃報に触れるたび、ゴダールは長寿だな、と思う。
香り
しかしまぁ、慌ただしい春である。自分でも何が起こっているのかいまいち把握できていないけれど、ひと段落つく頃には視界もずいぶん変わっているのではないか。
そんな中、友人から小包が届いた。年末の誕生日の贈り物としてリクエストしていた香水。セルジュ・ルタンスの香水はひとつひとつ詩のようなストーリーがついており、香りを確かめずに、ストーリーだけで私に似合いそうな1本を選んでほしい、と伝えていた。
贈ってくれた友人はパリに暮らしており、パレ・ロワイヤルにあるセルジュ・ルタンス本店まで出向き、やっぱり香りを確かめて選んでくれたらしい。もちろんストーリーも確認しながら、私が自分では選ばなさそうな香り、そして最近の私の轟々とした変化に似合いそうな香りを選んだとのこと。そして香りを選ぶという行為が友人にはとても刺激的な体験だったそうで、むしろ御礼を言いたい気分、とのことだった。私は嗅覚が弱く、あまり香りを識別できない。自分からどんな香りがするのかわからない、というのはなかなかの恐怖である。だからかどうか香水に却って興味があり、けれど選ぶ自信がないので極めて親しい人に似合うものを選んでもらう。何でも自分で決める私が、唯一他者に決めてもらうもの、というのも面白い。
自分がつけている香水を声高に打ち明けるのは無粋のように思うので、何を選んでもらったかは秘密だけれど、例えば、しばらく前に目にしたプラド美術館に佇むジェレミー・アイアンズのような人に似合いそうだと思った。美術作品を眺めるジェレミー・アイアンズ自身も美術作品のようだった。シンプルな装いだけれど、生きてきた年月の重なりが独特の迫力を生んでいる。
もしくはオリヴェイラ映画に時折登場する、何で生計を立てているのかはわからないけれど、どうやら地元では名士であるらしい人々の大きな邸宅のサロンで親しい人だけ集めて開催される音楽会のような場所にも似合いそう。
そんな妄想をしたけれど、果たして私に似合うかはわからない。親しい人が選んでくれたから、つけてみようと思う。多湿な日本においては秋冬に似合いそうで、冬生まれにはぴったりなのかもしれない。
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