天候操作
映画館に日常的に通う人って、映画館ごとに近隣で軽く食べる場所や、食べるものを調達する場所を密やかな決まりごとのようにみんな持ってるんだろうな。そういう情報こそ共有されるべきなんじゃないかと思う。新宿で映画を観る時の腹ごしらえ定番はBERG、という人は多そうだし、私もよく行く。
昨夜観た、香港の短篇3本のうち、フェイク・ドキュメンタリー「表象および意志としての雨」(チャン・ジーウン監督/2015年)が面白くて、香港の社会運動、デモの日に必ず雨が降ることを不思議に思った監督は陰謀ではないか?と、ふと妄想して、ネットで調べてみたら他にそう思ってる人が書き込みしていたらしい。
「香港の社会運動を撮影していた映像制作チームは、ある謎の組織が人工的に天候を操作し、民衆のデモへの参加意欲を損なおうとしていることにきづく。彼らは組織の場所を突き止め、潜入を試みるが……。」
https://jphkindie.wixsite.com/2017/hongkong
真剣なドキュメンタリーより、ちょっと視線をずらしたフェイク・ドキュメンタリーの方が案外、本質を捉えるのかもね、ということはよくある話で、真剣にドローンを飛ばして謎の組織の場所に潜入せんと試みる若者たちの姿を眺めながら、すべてが息苦しくコントロールされている…天候までも…?って、そんなはずはあるまい、と思いながらも、時折映るデモの光景に現実にちょっと引き戻されながら、そんなはずはあるまい、なんて言えるのかな…と思わされた。他の2本がシリアスめだったから、余計この1本が際立ったのかもしれない。
もはや乗り物映画の巨匠と呼びたい濱口監督(映画に常に乗り物が登場するので、目にするたびに乗り物!と、成田屋!的な掛け声をかけたくなる)が、ドローンが飛んでいくところとか映画的に楽しいですよね、とコメントしていたのも、さすが乗り物映画の巨匠、動きのあるものには敏感であるな、と心の中でクスクスした。