Safdie brothers
カンヌのコンペに入っている、アメリカのサフディ兄弟(ベニー・サフディ&ジョシュ・サフディ)、2014年の東京国際映画祭でグランプリを獲っている。東京国際はチケット発売と同時に、グランプリ作品上映のチケットも買えて、コンペの中から何を観るのか直前までわからない博打っぽさも楽しく真っ先に予約することにしている。「神様なんかくそくらえ」はそのようにして観て、サフディ兄弟の名前も覚えることとなった。写真右の2人が監督。兄弟で監督するってどんな気分なのでしょう。
「神様なんかくそくらえ」は、その後、公開もされた。原題は「Heaven knows what」
この映画は賛否両論だったようで、映画そのものとしては私は好きではないけれど、背景を知ると興味深いという種類の感想を抱いた。以下は当時書いたメモ。
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主演女優(写真の女優、アリエル・ホームズ)はもともと女優ではなく、監督が街で見かけて映画に出てもらおうと食事したら、彼女の当時の生活のほうがよほど映画的で、そちらが映画になった、という一本。主演女優が体験を書いて、監督が映画に仕立て、女優は自分自身を演じた。彼女はホームレスでドラッグ中毒で暗い暗い恋をしていた。
何年か前のフランス映画「わたしたちの宣戦布告」もそんな映画で、カップルに生まれた子供が重い病気で、それを乗り越えた日々をカップル自身が演じ、女性のほうが監督している。日本映画でフィクションだったら、病気を乗り越え家族の絆は強くなりましたって耳触りのいい歌でも流れて終わりそうなところが、あのフランスのカップルは乗り越えたけれど、別れてしまうあたり、現実だなぁ…と思ったものだ。そしてこの2人には、物語にして自分を演じることがセラピーだったのかな、とも思った。
「神様なんかくそくらえ」は、どうしようもない日常が、キツい出来事すら呑み込んで永遠に続いていくことを示唆するような物語で、でも演じた彼女は女優として東京の映画館で目の前にいたから、物語にすることであの日々から抜け出したのだろう、と推測した。
映画をつくる、自分を演じる、歌にする…など、これなら自分にもできるかな、という方法を選択し、自分に起きた出来事を物語にして、過去のものにしていく。日記を書く、文章を書くこととも同じかな、と思った。
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サフディ兄弟の新作「GOOD TIME」はカンヌで公開された。日本でも配給されるようで、楽しみ。ロバート・パティンソン!「トワイライト」シリーズを観ていないので、アイドル的人気がどうだったかは知る由もないけれど、クローネンバーグ「コズモポリス」の主演が彼で、あの映画と、あの映画の中のロバート・パティンソンがとても良かった!!!けれど、周りの誰も観ておらず話し相手がいない…。「GOOD TIME」を観ていないので何とも、だけれど、作品選びの上手い人なのでは…。
http://www.festival-cannes.com/en/films/good-time
映画祭のテンションでしか観ない映画というのはあるもので、毎年、時間の隙を見つけてランダムに観ているアメリカのインディーズ映画はまさにそれで、どれも音楽の使い方がとても上手いのが印象的です。
矢田部氏の日記によると。
http://www.cinemacafe.net/article/2017/05/26/49714.html