共同作業

 

トークまでに読み終えたかったけれど、読み終わらず、トークの余韻をかみしめながら、今日も読んだ。

 

「映画にまつわるXについて」は  「X=フィルム」「X=二枚目俳優」等、映画を構成する要素をXに置き換える章立て。昨日のトークは担当編集の方もいらしていて、Xのネタは編集者も考え提案するけれど、一度もそれが採用されたことはなく、全部西川監督のチョイスによるもの、とのことだった。

 

今日は「X=音楽」を読んでいて、音楽に詳しいわけではない西川監督が、音楽家たちと膨大なやりとりをしながら映画音楽を完成させていく過程が綴られており、とりわけ胸に迫った。音楽の細かなニュアンスって言葉で伝えづらく、そもそも言葉じゃないから音楽なんだよ!という性質のものを完成させるために、それでも要求し続ける監督、要求に応え続ける音楽家。詳しいわけじゃないからって怯んでいるうちは何も始まらなくて、勇気を出して要求した時に物事が動くのだよなあ。

 

去年後半から、自分が読みたいもの、見たいもの、見たことのないものを作るための試行錯誤が続く中、映画とwebサイトではかかわる人数も工程の多さも天と地の開きがありましょうが、とかく共同作業という点で、西川監督のこの本、映画の現場からのエッセイであると同時に、共同作業における実用の書でもある。

 

「こんな眺めがあるだなんて。自分にも、他人にも、見切りさえつけなければ私たちはまたどこまでも行けるのかもしれない」。最後のくだりを帰りの電車で読み、ホロリときた。

【about】

Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom

【archives】

【recent 28 posts】