黄色い本、読了
だらだら読んでいた「映画にまつわるXについて 2」ようやく読了。
本屋でかけてくれる、紙のブックカバー、何故か私の手にはワサワサして読書に集中できない。ブックカバーもいろいろ試したけれど、文具屋で300円ほどで売られている厚手の透明ビニールのものが、物心ついた頃から一番しっくりくる。透明だから装丁も楽しめるし、ビニールだから水分にも強い。次に文具屋に行ったら様々なサイズを買っておこうと思う。
黄色が印象的なこの本、なんと薄黄色の紙に黄色いインクで黄色を刷ってるのだとか!表紙を外してみると、表と裏で黄色の色味が違う。四六判より少し小さなサイズは、戦前の本によくあったサイズらしく、西川監督の文章は一文が長く、みっしり文字が詰まっているように見えないように選ばれたサイズだそう。手の小さな私にも持ちやすく、鞄に入れてもかさばりすぎない。シンプルながら考えれたブックデザイン。
映画本で最も好きなのはメイキング本なので、「永い言い訳」のメイキング・エッセイはどれも素晴らしかったけれど、後半にある、あちこちの媒体に書いたテーマの異なるエッセイもいい。
特に好きだったのが「タジン鍋」。食にまつわるエッセイの、この一節…!
「好きな人と、大事な勝負の相手と、とびきりおいしいものを食べることの幸せを、私は解さない。いちどきに、そういくつものことを同時にはこなせない。好きな人や大事な人との話に夢中になって、魅力に打ちのめされて、うますぎる飯や酒は、却って邪魔だ。香りとか、色目とか、焼き具合とか、どこそこ産とか、やかましい。私は今、目の前の相手と、真剣勝負をしておる。デニーズのビールで十分だ。ピンポーン。お姉さん、これ、もう一杯。」
あああ、完全同意。食について、こんなに膝を打つ文章ってあるかしら。
監督と同じく、料理と呼べば料理に申し訳ないような、簡単なものを作ってさっと食べるのが何より美味しいと思っているけれど、この間、つらつらと一番色気のある外食って何かしら、と経験も引きずり出し妄想したばかり。結論として、朝のドトール。コーヒーとサンドウィッチ計390円のモーニングがいい。もちろん食べる前にスマホで写真なんて撮らない人がいい。肴はあぶったイカでいい。2階建てのドトールの2階、ガラガラならなおいい。どうですか、色っぽいでしょう。と、ここまで妄想したけれど、たいして共感は得られなさそうね…と考えていたところに、監督のこの文章。連載は終わったらしいけれど、またエッセイもどこかで読めることを楽しみにしております。
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