しけしけ
台北。路上に置かれたテーブルと椅子、そして置き忘れられた小鍋……キュート!ちっちゃい!
何故かこんな、暑い季節、暑い国、路上で食事するシチュエーション、その風景にグッとくることが多い。映画を観ていても、海辺のヴァカンス、外にテーブルを出して食事…という場面ばかり目について、ロメール好きの理由の7割はそれなのではないかと思う。冬生まれなのに夏好きだし、前世は暑い国で暮らしていたのかな…。
映画化されると知って手にとった柴崎友香の小説「寝ても覚めても」がとても良く、余韻に浸りながら他の柴崎本も…と検索してみて、映画好きの柴崎さんが、好きな女優について書いたエッセイがあると知り「見とれていたい わたしのアイドルたち」という本(こちら)を読み始めた。今朝の通勤電車で読み始めただけなのに、もう半分読んでしまったぐらい、すらすら読める気楽なエッセイ。
柴崎さんの女優の好みは、私と恐ろしく似ていて、語り口も関西弁まじりの緩さがあるし、こんな人が近くにいたら夜通し喋り続けるほどの友達になるか、好みが似すぎていてもはや喋ることもなく友達にすらならないか、どっちかだ!と思いながら読んでいる。
そして、今日一番の驚きは、「しけしけ」という言葉が文中に登場したこと!「しけしけ」って、高校時代、クラスの男子が流行らせて、教室内のそこかしこで、しけしけしけしけ言ってた記憶がある。私はあの男子が開発したオリジナルワードだと今日まで勘違いしていたけれど、柴崎さん(大阪出身)が使っているということは汎用的な関西弁っぽい…!京都市左京区の某高校の某クラスの私の半径数メートル内だけで通じていた言葉だと思いこみ、開発したあの男子を危うく尊敬するところだった。
「しけしけ」とは「冴えない」「しょうもない」的なニュアンスだったはず。柴崎さんのツイン・ピークスに登場する女の子たちについて書いたエッセイでは「女の子がかわいい割になんで男はしけているんだろう、と思った。」「かわいい女の子がいっぱい出てくる話だなあ、と思った。その割に男がしけしけだと思った。」等の箇所で登場する。久しく耳にしていないので、この一節を読んだ瞬間、心が秒速で高校の教室にワープ。そしてニューシリーズが始まった?ツイン・ピークス、最初から再見したい。ずいぶんな言われようの、しけしけな男たちを確認するためにも。