映画初め ソウル・ステーション/パンデミック
映画初めは、早稲田松竹。はじめてのヨン・サンホ特集。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/shinkansen.html
まず、アニメ「ソウル・ステーション/パンデミック」から。
すべての事の始まりは、とある夏の夜、ひとりの年老いたホームレスが首に大ケガを負い、誰にも助けてもらえずソウル駅で息絶えたことだった。すると、そのホームレスは地獄の淵から甦ったかのように凶暴化して復活。それをきっかけに未知のウイルスに感染して豹変した人々が、街のあちこちで正常な市民に猛スピードで襲いかかり、無差別に噛みつく事件が続発する。
パンデミックという単語が聞き慣れなれないのでwikiで調べてみたら「ある感染症(特に伝染病)が、顕著な感染や死亡被害が著しい事態を想定した世界的な感染の流行を表す用語である」とのこと。絵のトーンが、なんとなく去年観た中国のアニメ「Have a nice day(こちら)」に似ているな、と思っていたら物語のニュアンスも少し近いものがあった。「Have a nice day」は経済成長で格差が広がる中国の地方都市の底辺を描いた物語で、「ソウル・ステーション/パンデミック」も、ホームレスに売春婦、行き場のない、帰る家を持たない人々の物語。どちらもネットカフェが登場するのが何やら象徴的で、経済的理由なのか現代っぽいということなのか、PCを持たずスマホを頻繁に活用し、スマホのバッテリーが切れることが生命線を絶たれることとイコールのように描かれている。
この後に続く実写映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚という位置づけの「ソウル・ステーション/パンデミック」は社会の暗さばかり煮詰めた内容だけれど、「新感染 ファイナル・エクスプレス」でばっさり省略されている、物語が発動する土台としての社会がしっかり説明されており、アニメ→実写の順に観るとそれぞれの良さをそれぞれが補完して深く楽しめる、名画座ならではの豪華な番組。
自動的に「ソウル・ステーション/パンデミック」が2018年1本目に。お正月はカラッとした深みのない映画を観たい、という希望からは外れたけれど、大満足。