アヤちゃん
ユーロスペースで岡田茉莉子さんのトークを聞いたあと、ぼんやり歩きながら、これまで好きだった岡田茉莉子映画って何だっけ…と考えてみたら、小津「秋日和」のアヤちゃん!アヤちゃんが目の前にいたのに、頭がぼうっとしちゃった。アヤちゃん!寿司屋の娘アヤちゃん!モヘアのニットのアヤちゃん!
「秋日和」、とりわけ好きな映画でもなかったけれど、蓼科高原での映画祭で改めて観てみたら、やたら良かった。再発見。映画の魅力の大半を、潑刺として、ふとした隙に翳りを漂わせるアヤちゃんの魅力が占めていた。以来、アヤちゃんは小津映画の女たちの中で一番のお気に入りとなった。ヒロインのはずの司葉子のことはあまり覚えていない。東京駅を見下ろす場所に行くと、電車に向かって手を振ったアヤちゃんをいつも思い出す。
そして「さらば夏の光」が1968年の映画ということで、1968年の岡田茉莉子さんの他の映画って観たかなぁ、と調べてみると、大映映画「不信のとき」が同年だった。「さらば夏の光」では、少しずんぐりしているように見えた岡田茉莉子さんですが、「不信のとき」では普段どおりシャープで、映画スタア!という印象だったので、体型の微妙な変化というより、やっぱり「映画は大映」ということなのかもしれません。
トーク、聞き終わってしばらくしてからのほうが、じわじわ岡田茉莉子さま!という感慨がこみあげてきたのだった。