神戸

 

生まれも育ちも関西ながら、関西ってエリアごとに文化圏が分断されている印象で、びっくりするぐらい神戸に縁もないし思い出も思い入れもない。けれど、一昨年(2016年)の秋、なら国際映画祭に行ってみたくてしばらく関西に滞在し、合間に神戸に行った。

 

 

目的は、元町映画館に行くこと。濱口竜介監督「ハッピーアワー」の公開時、神戸で撮られた映画だから、元町映画館で先行上映している様子を、東京から眺めていた。商店街の中にあって、もし私が神戸の住人なら、しょっちゅうここに来て、買い物して帰るんだろうな、と想像できる場所だった。

 

 

お目当ては、東京で見逃したダミアン・マニヴェル特集を一気に観ること。短編集も観たけれど、長篇「若き詩人」が記憶に残っている。実に羨ましい時間を生きる若き詩人の物語。何も持ってなくて、詩を書くノートだけ持ってるの。

 

昨夜、4月に東京で開催される「カイエ・デュ・シネマ週間」のラインナップに、ダミアン・マニヴェルの新作「パーク」が含まれていることを知り、あれよあれよと神戸の秋を思い出したのだから、記憶の引き出しって便利だし、映画と旅がセットになっているのは楽しい。

 

http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1804010415/

 

 

神戸、元町映画館で早めにチケット確保した後、ぶらぶらと港まで歩き、「ハッピーアワー」のロケ地にもなったカフェでぼんやりコーヒーフロートを頼んだ。一面の窓から見える景色は道路や線路で視界が横に分断され、行き交う車や電車が一望できる。人間関係の悩みを抱えたまま、こんなところでぼんやりしていると、どこにでも行ける場所にいて、どこかに行く乗り物がそこに見えるのに、自分は小さな場所から動けず、どこにも行けないんだなぁ…という気分が助長されそうだな、と思いながら撮った一枚。

 

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Mariko
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