moonbow cinema 第8回
日曜午後、moonbow cinema第8回上映会へ。池尻大橋で降り、住宅地を歩く。世田谷の住宅地、歩いている人の平均年齢が若い。東京東側の下町に比べると、明らかに若い。若いわぁ〜とキョロキョロしているうちに、会場に到着。
IID世田谷ものづくり学校は、廃校となった旧池尻中学校舎を再生した複合施設。
上京して最初に住んだのが下馬5丁目だったので、この界隈、懐かしい。世田谷公園の脇を抜け、三宿の交差点曲がって渋谷までよく長い散歩をした。
第8回上映会に選ばれたのは、リチャード・リンクレイター「6才のボクが、大人になるまで(原題:Boyhood)」。タイトルどおり、一人の少年を6才から18才まで12年撮り続けた映画。パパ、ママ、お姉ちゃんも12年間同じ俳優が演じ、みんな徐々に見た目が変化し人間としての貫禄がついていく。
2014年に公開された時、日比谷シャンテで、誕生日の朝に観た。なんとなく誕生日に観るのがふさわしい気がして、とっておいた。ラストシーンが美しかったことが記憶に残っており、再見したかったけれど、長い映画なので難しく、moonbow cinemaで出会えて嬉しかったです。初見から3年経過し、ママ役のパトリシア・アークエットの演技により圧倒された。ボクの巣立ちを前に、ママが感情的になって泣く場面、映画で切り取られた12年の年輪と、それ以前にも彼女の人生が存在していた事実、これからも彼女の人生が続くことの示唆、時間そのものの滋味がたっぷり含まれた涙だった。
もっと教室っぽい会場なのかと思えば、映画館のようなふかっとした椅子があり、快適な鑑賞。入場時は暗くてわからなかったけれど、退場時に会場後方に古い黒板が見えて、映画の世界と地続きのようだった。6才から18才を追うことは、学校生活の記録でもあるのね。主人公のママが学校の先生という設定もあって、教室が似合う映画だったな。私の母も学校の先生なので、家に生徒が遊びにきたり、ママが家で教材研究してたり、ボクの生活、私の思春期の生活とも重なった。ママが学校の先生をしてる家庭って、ほんとああいう感じ。
上映前と上映後に、みづきさんによる解説があり、映画の舞台となったテキサスについての解説や、映画が撮ったアメリカの12年(911から始まる)、リンクレイターのフィルモグラフィーや次回作の紹介など、充実の内容だったのは、みづきさんもリンクレイターに思い入れがあるのかしら。
次回moonbow cinemaは6月を予定しているそうです。連載moonbow journeyもお楽しみにお待ちください。