脳内キャスティング

 

寒の戻り。今年一番の寒さでは?春分の日なのに。

 

冬物のコートはすでにクリーニング済みなので、部屋着に春物のコートをひっかけただけの薄着で、坂の上の図書館へ。読み終わった本を返し、新しい本を借りる。その足であわよくば根津神社へ、と思っていたけれど、一刻も早く帰らねば風邪をひく!と身の危険を感じて帰宅。寒い寒い。

 

読了したのは川上未映子『すべて真夜中の恋人たち』。2年ほど前に一度読み、今回は再読。冬の終わり、この夜が長く美しい季節のうちに、あの小説を読まなければ、と思い出した。主人公はクリスマスイヴ生まれの冬子さん。私は冬生まれながら夏好きだけれど、夜は断然、冬がいい。日付が変わってすぐ、0時台の生まれだからかしら。冬の真夜中生まれなのです。冬子さん、親近感。

 

とはいえ、家に篭って仕事をし、友達づきあいも恋愛経験も少ない冬子さんと、私の共通点は多くはない。登場人物でいえば、華やかでずけずけと率直に物を言う聖という女性のほうが性格は近い。けれど、どの女性にも私の欠片は満遍なくあって、身につまされたり応援したりしながら、静かで不器用な淡い恋の物語を読み進めた。

 

初読の時も考えたけれど、映画化するならどんなキャスティングが良いのかしらね。どれだけ考えても冬子さんは思い当たらず。聖は吉高由里子のイメージ。難しいのは冬子さんのお相手・三束さんのキャスティングで、50代後半、地味、どちらかというと冴えない俳優…イメージで言うと温水洋一がちらつくのだけれど、小説の中の描写からすれば遠くないけれど、物語のイメージには合わない気がして振り出しに戻る。同じこと考えた人いるかしら?と調べてみると、リリー・フランキーと書いている人がいた。リリーさんだと「いわくつき」っぽさが出すぎるのでは、と振り出しに戻り、今日のところの結論は、「オーラを消した光石研」に落ち着いた。いろんな俳優が浮かんでは消えたけれど、多くの人に「ダメだ、色っぽすぎる」と思ったので、俳優さんって色気があってほんますごいネー、と頭の涼しい子のような感慨を抱くと同時に、光石研の汎用性の高さよ。売れっ子なはずやで。

 

好きな物語が映画化されることには、いろんな気持ちを抱くけれど、『すべて真夜中の恋人たち』が映画化されたなら、どんな監督でも、光石研じゃなくても、きっと観に行くことでしょう。

 

寒くて外に出られなかったけれど、頭の中はなかなか忙しかった春分の日。