Cinema memo : あっちゃん
花見に誘われ、「え?もう桜、咲いてるの?」って返した。昨日は商店街の製麺所で麺を買いながらおかみさんと喋り、桜の話になったので「え?やっぱりもう咲いてるんですね?」と言ったら「満開よ」「霊園(近所の桜の名所)、今じゃお酒ダメになったけれど、昔はOKで、桜の下でおでん煮て食べたわよ」「せっかく静かに眠ってるのに、おでん食べて騒がれちゃ死んだ人もたまったもんじゃないわねぇ」とご近所今昔物語を教えていただいた。駅から家までも、オフィスから駅までも、道すがらに桜がないので定点観測できない。姿は見えないけれど、咲いたと伝え聞いております、今年の桜。
早朝から病院に検診に行くためバス停に向かい、ようやく桜を目撃。春だったのですね。知らないうちに。
バスに揺られながら読んだ、前田敦子インタビューが素敵だった。彼女のファン。
「今は大映作品をよく見ています。若尾文子さんが、すっごく好きなんです。泥沼の不倫ものや、男性を罠にはめるような作品も面白いんですけど、女性には、当時の女子の会話劇『婚期』がおすすめです。独特のリズム感が楽しいし、当時の映画独自の世界観も味わい深いです。昔の映画は、みなさん声がちょっと高いですよね。もしかしたら当時の録音技術のせいなのかもしれないですけど」
『婚期』!私も好き。若尾文子もいいけれど、野添ひとみの印象が強い。理想の男性はジェームス・ディーンで、
『ジャイアンツ』を観て、なんて素敵なんだろうと思って調べたら、すでに亡くなっていて。ショックで母親に電話したら『当たり前でしょ、何を言ってるの?』って。
って、私の好きな俳優も亡くなった人ばかりなので、その気持ち、わかる…。
先週読み終わった小説『すべて真夜中の恋人たち』をこれから読むらしく、冬子さんのキャスティング、思いつかなかったけれど、30代半ばになった前田あっちゃんが演じてくれたら、それはそれは楽しみだなぁ。
本棚の不動の位置に、好きな映画本として『前田敦子の映画手帖』が並んでいるのだけれど、小難しいこと何も書かず、純粋に好きな映画をキャッキャッ語っていて最高。けれど映画選びは、情報が入りすぎないように予告篇も観ず、ポスターで選ぶらしく、情報も薀蓄も山ほど集まるだろうに、自分の感覚だけスパッと信じていて潔い。自分の言葉を持つって簡単なことではないけれど、このインタビュー、素直ですんなりしていて、ハッとするものがあった。『素敵なダイナマイトスキャンダル』、さほど興味はなかったのだけれど、あっちゃんが出ているなら観に行かねば。