Cinema memo : 初夏のロメール
4月の鹿児島。島国・日本に数少ない海なし県出身だからか、海辺に行くと憧れが目の前に!の高揚と、どう振舞っていいのか正解がわからん、の困惑が混ざって挙動不審に陥る。
ヴァカンス映画といえば、のエリック・ロメール。『夏物語』『海辺のポーリーヌ』「緑の光線』『クレールの膝』…海辺で撮られたロメール映画はたくさんあれど、私の好きなヴァカンス・ロメールは『レネットとミラベル/4つの冒険』に決まり!なのは、海なし県出身ゆえでしょうか。『レネットとミラベル/4つの冒険』、ヴァカンスの舞台は海の香りのしない森めいた田舎で、暇つぶし手段も泳ぐ、海辺でくつろぐ…ではなく、自転車乗りだったり絵を描くことだったりで俄然、親近感を覚える。
と、早稲田松竹でまたロメールがかかるのかぁ、とメールマガジンを読みながら考えた。土曜からで、『レネットとミラベル/4つの冒険』も上映される。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/rohmer2018.html
『レネットとミラベル/4つの冒険』は短いチャプター数篇から成る可愛らしい小品だけれど、最初の一篇『青い時間』。これはちょっともう、この世のすべての美しさがギュッと濃縮された、あまりにも映画的な映画で、すべての人類に鑑賞を推薦したい。言葉もずいぶん有能な道具だけれど、映画にしか描写できないものはある、と確信する十数分。