レディ・バード
6月1日、映画の日に観た映画。グレタ・ガーウィグ監督『レディ・バード』。
グレタ・ガーウィグを手放しで好きではないので身構えていたけれど、この情報量の多い物語をキュッと93分にまとめた巧さ。エモーションが発動しそうになる寸前にカットして次の場面に移るの、めちゃくちゃ気持ちいい。上半期随一の編集大勝利映画。
観終わって自分の母親のことを考えたという声が周りに多く、私もそうでした。家庭の事情が立て込んで、母曰く「親離れがとても早い娘だった」私は、あっという間に家の外に自分の世界を作り、何から何まで自分で決めて、母親に相談したり心の内を打ち明けたりすることが下手だったし、今でも苦手だけれど、『レディ・バード』の何でも共有して喜怒哀楽を全開にするママと娘の関係を観ると、私は私の性格のせいで、母にあんな感じの「娘を持つ母親の楽しみ」を与えることができなかったんじゃないかしら、と切ない後悔のようなものが生まれた。
以下、物語の内容に触れますが、
夢見ていたロマンティックな初体験が、ティモシー野郎(ティモシー・シャラメ)のスカした態度のために散々な結果になってしまった後、レディ・バードがちゃんと怒るのがとても良い。相手のスカした態度や、思春期らしいくだらない見栄っ張りに流されず、たとえ世界の恋人ティモシー・シャラメであろうと、自分が大事にされたい時に、雑に扱われたらちゃんと怒る。相手にも自分にも。レディ・バードがレディ・バードたるゆえん、素敵なところはそんなところで、それもこれもパパとママが大切なレディ・バードを素敵に育てたからなんですね、と印象的なシーンだった。