ロメールメモ
キム・ミニ in 台北の映画館。去年『夜の浜辺でひとり』を観た映画館、カーペットの柄が謎めいていた。
井口奈己監督のホン・サンス・トークを読んだので、
http://apeople.world/ja/culture/movie_024.html
去年、ロメール特集で『冬物語』上映の時、井口奈己監督がトークで登壇した際、やっぱり抜群に面白かったのでiPhoneに残したメモを掘り起こし。
『冬物語』は四季の物語の中で断然好きで、主人公フェリシーの気づき以降、物語がどんどん加速する。冷静に観ると勝手な女だけど、正直なところが昔から好き。フェリシーを演じた女優のインタビューを観ると、役のまんまで、ロメールに自分を売り込んでフェリシー役を得たらしく、女優自身がフェリシーに投影されている。すべてが役に投影されている。
ロメールのフォロワーと呼ばれる人の映画を観ると、みんな深刻すぎる、と思う。ロメールの映画は人生に対する姿勢にユーモアがあるのに、フォロワーはその姿勢を受け継がないの?と思う。ロメール自身も映画はエンタテインメントと言っている。だって遺作が『我が至上の愛 アストレとセラドン』なんですよ。映画の中で重苦しいメッセージを言うなんて超絶恥ずかしい。私はロメール派!
常々『冬物語』のフェリシー、思考回路も行動傾向も自分そっくりなのだと思っているけれど、ふと感想を目にすることがあると、主人公がわがまますぎる…と書かれていることが多い。井口監督がフェリシー、いけ好かない女!って言ったらちょっと悲しいな、と思っていたけれど、口さがない女友達に「正直で好き」って言ってもらったようでホッとした。井口監督、はっきり物を言うけれど、声がとっても可愛らしいのが絶妙なバランスでずるい人である。
ホン・サンス監督は人間をシリアスなものとして捉えているかもですね。人生をシリアスなものとして捉えているというか。ロメールやジャック・ロジエの映画にある、あふれ出るワクワク感みたいなものはないし、クレージーなところもない。そこは不思議なんですよね。あの溢れ出るワクワクした感じには影響されなかったのかなぁ? そこは聞いてみたいポイントです。
の箇所を読んで、ロメールメモを思い出したけれど、ホン・サンスの過去作には、あふれ出るワクワク感のあるものもあったはず。『ハハハ』『よく知りもしないくせに』なんてユーモアたっぷり系だと思うので、いつか井口監督の感想を聞いてみたいです。