オーシャンズ8
『オーシャンズ8』は、TOHOシネマズ日比谷で。
http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/
このところ、女性の描かれ方にモヤモヤすることが多くなってしまい古い映画(特に邦画)から遠ざかっているけれど、では2018年現在、果たしてどんな描かれ方が正解なのか?の最適解、もしかして『オーシャンズ8』では。
タイトルどおり8人の女性が結託しメットガラの夜、カルティエの巨大ダイヤを盗みに行く。出所したサンドラ・ブロックが入所中、練りに練った計画を実行するためメンバーを探して口説きまず7人、やがて8人が集う。バランスよくアジア系、インド系も含まれる点は現代ハリウッドらしい多様性への配慮というところだけれど、集められた女たちが誰も湿っぽい物語を背負っておらず、シンプルに目的達成のため考えうる最高の精鋭が集められただけで、計画に参加する目的が、女だからと虐げられた鬱屈を晴らすためではなく、貧しさから脱出するためのお金目的でもなく、面白い仕事きたね!腕が鳴る!のテンションなのが素晴らしく、そんな女たちだからということか、つまらないマウンティングも発生しない。
ラスト、それぞれの人生に戻った8人が得た大金で何をしたかが短く紹介される。8人のうち、独身であることにモヤモヤしていた1人が、結婚してパリで幸せなハネムーンを過ごす描写があったのがとりわけ良かった。女の幸せのバリエーションとして「結婚して幸せに暮らす」が「身軽に一人旅に出る」「趣味の店を開く」「新たなキャリアにチャレンジする」などなどと並列にあって、誰もが当たり前に肯定されていた。何かを得たら何かを失わなきゃ、なんてこともないし、何も我慢することもないし、欲しいものをのびのびと手に入れ、欲しいものは人それぞれ。
メットガラのキラキラも楽しいけれど、自らのブランドのコレクションが酷評され、目のまわりを流れたマスカラで真っ黒にしたヘレナ・ボナム・カーターがヌテラ瓶抱えてメソメソしながら舐める一瞬のシーンで、この映画の面白さを確信。男前すぎるケイト・ブランシェット、リアーナのbefore/afterに見惚れるのはもちろん、ハリウッドでの自分の評判を逆手に取ったアン・ハサウェイの開き直りと満開の美しさも天晴れ。これ、男の人が観るとどんな気分になるんだろ?と一瞬思ったけれど、ま、どうでもいいか。