タイムリープ
持病?の治療のため、近所の大学病院で入院・手術・退院してきた。
ずっと工事中だった古い病院に新館が建てられスターバックスができたのは知っていたけれど、数日入院するにあたり中をウロウロするとセブンイレブンもあり、入り口にペッパーくんもいて、新築の病室は清潔でピカピカ、便利極まりなく、これまで抱いていた病院のイメージは覆された。
私程度の簡易な手術でも、サインする書類も登場人物も多く、巨大な病院の裏側って淡々と撮るだけでドキュメンタリーになりそう。病院で撮られたワイズマン『臨死』は観たけれど、『病院』は未見なのでアテネフランセで観られるかしら。
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/wi/wiseman_part1_2018.html
はじめての全身麻酔、「死」ってこんな感じかしら、と連想するようななかなか強烈な体験だった。直前まで手術室の方々と笑って話していたはずなのに、麻酔の処置が始まるや否や微睡むステップをすっ飛ばして一瞬で眠りに落ち、次に目覚めるとすべてが終わっていた。ふわふわと楽しい夢を見ていたようで、目覚めてしまって少しがっかりした。麻酔にかけられていた数時間が私の人生から消失し、手術前と手術後の時間が非連続になってしまった事実にしばらく混乱した。『時をかける少女』のタイムリープってこんな感じかしら。
吐き気など副作用もなく、手術の日の夜にはもう歩けるほど身体への負担が軽かった私だから考えるのかもしれないけれど、全身麻酔ってドラッグのように癖になってしまう人いるんじゃないかしら?とググってみれば、マイケル・ジャクソンが不眠解消のため麻酔薬依存していた説があるらしく、睡眠薬がわりにするなんてどうかしてる…!と思うと同時に、あの眠りを味わえるなら、と願う気持ちは微かに理解できなくもない。
外に出ると、秋祭りを告げる江戸紫の幟が1メートルおきにはためき、八百屋の軒先に巨峰が並び、ぐっと秋だった。ずっと屋内にいたせいか、いつもの街がいつもより可愛らしく見えた。