ムンク展
1/20で終了になる美術展が多く、心が慌ただしい。スケジュールの隙間を確認しながら、映画の予定をバチバチ決めていくのも判断力を要するけれど、美術展は開館時間と混雑度とのせめぎ合いで、映画とは別の要確認要素がある。
東京都美術館、ムンク展へ。
入場は30分待ちだったけれど、無事に入ってみるとさほど混雑も気にならず、案外ゆったり鑑賞できた。展示構成のシンプルさ、作品のサイズ、展示室の規模によるものだろうか。
なんとなく「叫び」の画風から神経質で気難しい人なのでは、と思っていたけれど、50代を超えたあたりで田舎の土地を手に入れ隠遁生活に入るものの、それまでの人生で出会った人たちを描いた絵を家のあちこちに大切に飾るなんて、なんだか可愛らしい人だな、と思った。創作生活のために孤独であるべし、と生涯独身だったそうで、ムンクのことを好きだった女性たちは大変だっただろうけれど(実際、事件も発生)、数年に一度アトリエを訪ねてのんびり話すような距離感の友達でいるぶんには、面白い人だったのでは…と勝手な妄想。
「叫び」は名作を観られた達成度はあったけれど、好きだったのは、北欧の夏の海辺を描いた作品群。
「夏の夜、人魚」
https://munch2018.jp/gallery/#&gid=1&pid=10
my bestは「二人、孤独な人たち」
https://munch2018.jp/gallery/#&gid=1&pid=19
ふたりなのに孤独、男女の間には距離があって、けれど同じ方向を見ている、その背中を描く。
私の北欧イメージは一度だけ行ったフィンランドの夏、ベルイマン(スウェーデン)の映画群、ムンク(ノルウェー)でつくられており、それぞれの国はよく知ると違いがあるのでしょうが、寒く涼しい場所の色数の少ない景色と人々、どれもどこか共通項があるように思う。いつか真冬の北欧、オスロのムンク美術館に行ってみたい。
*ベルイマンにまつわるエピソードで好きなのは、『ある結婚の風景』、私は再編集された映画版を観たけれど、もともとはスウェーデンの国営放送で放映されたテレビドラマで、視聴率が非常に高く、放映時間には街から人が消え、放映後に離婚率が上昇したらしいというもの。夫婦ドロドロ修羅場作品なので、あれをこぞって熱心に観るスウェーデンの人々って…と思った。