人々の生活と風景
大手町駅定点観測。東京ってほんと、永遠に完成しない街だな。
月曜シネサロンのテーマが「東京150年 人々の生活と風景」で、最後の1本『佃島』を観ながら、この時代の佃島界隈、映画で観たことがあるぞ…と記憶を辿っていた。
若尾文子主演『やっちゃ場の女』は築地界隈が舞台だけれど、お父さんが妾と暮らすのが佃島で、映画に登場していた。1962年の映画。
『やっちゃ場の女』と同時期に若尾文子映画祭で観た『東京おにぎり娘』、「私の家は新橋駅から2~3分…」のナレーションから始まる、1961年当時の東京がカラーで映される楽しい映画。
1961年の東京といえば、岡田茉莉子主演『河口』も、銀座界隈が映されている。水辺といえば『女経』の若尾文子パートは、水上生活を送る女性の物語だった。あれは1960年の隅田川。思い出すのは60年代前半の東京が撮られた映画ばかり。オリンピックに向け活気がありながら、映された景色のほとんどは現存しない不思議さもある。
記録映画『佃島』を観ながら、古い貴重な記録映像と親切なナレーションがあるだけで、こんなに興味深く観られるのだから、ロケで撮られたこれらの映画って、古い街並みの記録でもあり、華やかな女優さんが当時の東京を馳けまわるフィクションでもあり、図らずしてずいぶん贅沢な体験を重ねていたのだな、としみじみ思った。