ジャン・ヴィゴ短編・中編
イメージフォーラムにて。ジャン・ヴィゴ特集も終盤。短編・中編3本セット上映へ。
『ニースについて』(1930年/21分)
http://www.ivc-tokyo.co.jp/vigo/#page11
ヴィゴの監督第1作となる短編作品。南仏ニースの街並み、バカンスに興じる富裕層の生態と庶民とを交差させ、エネルギッシュに活写する映像スケッチ。
ジャン・ヴィゴのニース紀行。海辺の椅子に優雅に腰掛ける富裕層と踊りまくる庶民。若い女性が着せ替え人形のごとく次々披露する30年代らしい装いにうっとりしていたら、最後にヌードになったので意表をつかれる。今週、月曜シネサロンで観た記録映画での街の切り取り方と比較すると、記録映画とフィクションの目的の違いがあるにせよ、ジャン・ヴィゴの視点は「作家性」とはこういうもの、の見本のように思われた。
『競泳選手ジャン・タリス』(1931年/10分)
http://www.ivc-tokyo.co.jp/vigo/#page10
監督第2作。1931年、400メートル自由形で世界新記録を樹立した水泳チャンピオン、ジャン・タリスの強さの秘訣を分析するスポーツ・ドキュメンタリー。
ジャン・タリスの水泳教室。目が歓ぶ10分間。水中の微笑みと、ずっと水着姿だったのに最後にクラシカルな装いに着替え去ってゆくジャック・タリスにギャップ萌え。ジャン・ヴィゴは動くものの魅力を捉えるのがとにかく上手。「活動」写真の申し子。
『新学期 操行ゼロ』(1933年/49分)
http://www.ivc-tokyo.co.jp/vigo/#page9
監督第3作。ヴィゴが描く小さな革命。猛烈なアナーキズムと自由で詩情に満ちた映像表現。そのスキャンダラスな内容から12年近く公開禁止となった。
革命の夜、寄宿部屋で旗を掲げ、声明を読み上げ、塊となって動く少年たちの姿がそのまま油絵になりそうで、フランス革命から現在のmouvement ‘Gilets jaunes’(黄色いベスト運動)まで脈々と流れるレジスタンスの血!と、妙に圧倒された。古いフランス映画には時々この学校で学びたいと思わせる学校が登場するけれど、現時点での学びたい学校Best3は
・ジャック・タチ『ぼくの伯父さんの授業』の学校
・トリュフォー『思春期』の学校
・ジャン・ヴィゴ『新学期 操行ゼロ』の学校
であることを、ここに発表しておきます。勉強する気ゼロ!