未来を乗り換えた男
札幌、シアターキノ。前日の夜遅くまでお酒を飲みパフェを食べていたので、起きられたらシアターキノに行く…という緩めのモチベーションだったけれど、パチっと目が覚め、ホテルの朝食で海鮮丼やスープカレーなどしっかり食べ、雪道を歩いて映画館に向かったのだから、健康とはつくづく素晴らしいですね。
出発までの数時間で、タイミングが合うのがそれだけだった、という理由で『未来を乗り換えた男』を観た。
現代のフランス。祖国ドイツで吹き荒れるファシズムを逃れてきた元レジスタンスのゲオルクは、パリから港町マルセイユにたどり着いた。偶然の成り行きから、パリのホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルに成りすまし、船でメキシコへ発とうと思い立つ。そんなときに一心不乱に人を捜している黒いコート姿の女性マリーと出会い、美しくもミステリアスな彼女に心を奪われていく。
最近、あらすじを読む時間もなく映画を観始めることが多く、その良し悪しはあるにせよ、観終わった後、せめて一行でもどんな映画か知っておくべきだったな…と思う映画は時折あって、『未来を乗り換えた男』はそんな1本。ヨーロッパを舞台にした映画って、街並みで現代の物語か過去の設定か推察することが難しい。登場人物たちの衣装や髪型、メイクも、いかにも○○年代!と流行を反映したものではないオーソドックスなものだから、ますます混乱した。舞台は現代のマルセイユ。ドイツで吹き荒れるファシズムの嵐、は過去ではなく現代の架空の設定。これらの設定をうまく掴めず、終始???と探り探り観るうちに終わってしまったので機会があれば再見したい。
「美しくもミステリアスな女」を演じる女優さんが美しく、そして「美しくもミステリアスな女」はたいがい、ジャストフィットのトレンチコートにハイヒールを履き、石畳の上を歩いているな、と思った。男性の思う「美しくもミステリアスな女」の装いってそんな感じなのかしら。