東京オリンピック
国立映画アーカイブのオリンピック映画特集、最終日。市川崑『東京オリンピック』を観る。
https://www.nfaj.go.jp/exhibition/olympic201910/#ex-36868
確か早稲田松竹で一度観たことがあり、その時も少し眠ったけれど、今回も休憩明けの柔道パートで少し眠った。つまらないわけではない。ちゃんと観たオリンピック記録映画はレニ・リーフェンシュタール『民族の祭典』『美の祭典』と、『東京オリンピック』だけで、同時代を体験していない私が観て、ダイジェストながらも競技そのものの面白さが伝わるのは『民族の祭典』『美の祭典』のほうだと思った。
それでも『東京オリンピック』の女子バレーボール決勝のマッチポイントでは、え!と思わず声をあげる。同時代に会場やテレビで観た人々はさぞかし熱狂しただろうな。『いだてん』の最終回では競技はほぼ描かれなかったから、『東京オリンピック』を観終わり、ようやく『いだてん』が完結した。
競技よりも俄然、開会式で選手が着用するユニフォームのデザインや、観客席や沿道の人々の装いや表情、東京の街が記録されていることに興奮する。マラソンが札幌で開催されることを哀しく思う都民のひとりだけれど、『東京オリンピック』を観て、哀しみが増した。マラソン選手の周囲に映る街並みが、東京オリンピックなのに東京じゃないなんて。
そして市川崑らしい構図でグラフィカルに切り取られる東京にうっとりするにつれ、次のオリンピックは河瀬直美が記録するのだ!という事実に、あらためて墨を飲む気分。直前で黒澤明から市川崑に変わったように、マラソンだって直前に東京から札幌に変わったように、今からでも河瀬直美から誰かに変わらないかしら、ってどの方角に向かって願えば良いですか。