Weekly28/シン・ウルトラマン/夏至

 

5月に観た映画。『シン・ゴジラ』は何度も観たし、長澤まさみちゃん出てるし、程度の軽め気分で観に行った『シン・ウルトラマン』。

 

開始当初、どんなテンションで観るものか掴めず、『シン・ゴジラ』に比べるとテンポが鈍いな…とか、積まれた本越しに誰かを映すような変なシーンの連続だな…とか、どこかしら粗探しをするような、斜めの気分で観ていたけれど、ウルトラマンが登場し、戦い、スペシウム光線を発したところでハッと覚醒した。

 

何も知らないと思っていたけれど、私の遠い記憶の中に確かにウルトラマンはいた。おそらくTVシリーズの何度目かの再放送が映る分厚いブラウン管テレビ。前のめりに観る兄。ぺたんと長く座ると肌に痕が残る井草のマット。リフォームする前の実家の居間。裏庭の緑と揺れる洗濯物。テレビの中の、スペシウム光線を放つウルトラマン。

 

男兄弟がいる人あるあるかもしれない、兄が熱心に観る姿ごと隣で眺めていた、あの日のウルトラマン…!あなたでしたか…!という覚醒の瞬間があったと友達に話したら、プルーストみたいと言われた。マドレーヌを紅茶に浸した瞬間、蘇る幼き日の記憶。スペシウム光線とともに蘇る、遠い思い出。何がトリガーになってひっぱり出されるかわからないのね、記憶って。

 

そんな甘酸っぱさと共に観た『シン・ウルトラマン』だったけれど、これってどんな映画なんだろう?と整理しながら観ていたのが、浅見分析官(長澤まさみ)が巨大化したあたりから、急にどうでも良くなった。『シン・ゴジラ』ほどキャラの濃さも、巨大な敵に立ち向かい勝利するカタルシスもないけれど、観終わってしばらく経過した今、不思議とまた観たくなっている。たまに食べたくなる珍味みたい。

 

面白かったのは人間が誰ひとり魅力的に描かれておらず、それがウルトラマンの美しさを際立たせる効果をもたらしていたこと。「あれがウルトラマン…綺麗…」、初めて生のウルトラマンを観た浅見分析官の言葉に、私も完全同意した。

 


 

<最近のこと>

コロナ禍も3年目、減少傾向の東京の感染者数、何もなかったかのような週末の街の賑わい。ようやく私にも新作映画の公開日を調べて楽しみにしたり、映画を観たら感想をどこかに書いておきたいな、という気持ちが戻ってきつつあります。

 

せめて週に一度は何かを記録しておけるよう「Weekly28」というシリーズで、diaryページに書いていければ。区切りの良い日に、と考えていて、夏至の日に始めることにしました。境目の日と捉えています。

 

写真は私の暮らす街の最近。この夏はいろんな氷を食べてみたい。

 

 

【about】

Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom

【archives】

【recent 28 posts】