【本日更新】彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto 第5回
本日更新しました。
いこさん連載「彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto」第5回は、夫婦映画のクラシック『夫婦善哉』と、映画から連想する京菓子をご紹介。早春の珍品と呼ぶにふさわしい、連載史上もっともエキセントリックな京菓子が登場します。
そもそもこれってお菓子なの、それとも食事?その境界線ってどこだっけ。そもそも今って冬の終わりなの、もしくは春の始まり、どっちなの?!って、みぞみぞする淡い季節にぴったりの謎めいた京菓子!
この連載のトップページはいつも取り上げた京菓子の包み紙や外箱の画像なのだけれど(過去のものはarchivesを見てみてね!)、今回の包み紙、こんなに春はあけぼの〜って言葉が似合うビジュアルがありましょうか!と来る季節に胸躍りました。
『夫婦善哉』って有名でよく耳にするけれど、そういえば観たことないなぁって人も多そう。いこさんと初めてお会いした時、好きな俳優の話題になって、「森繁♡」って答えが返ってきた時はちょっと驚きましたね。今まで「森繁♡」な人に会ったことなかったから、「…どうして?」って聞き返しちゃった。エクセントリック京菓子を入口に、映画にも出会ってもらえると嬉しいな。暖かいお茶を用意して、どうぞお楽しみください!
いこさんのブログも是非!
朝型と映画
目に入るとつい写真に撮ってしまうのは京都タワー、東京タワー。スカイツリーに対して、そんな気持ちを抱けないのは、新参者への愛着の薄さか、と考えていたけれど、タワーそのものや電飾の色合いの問題かも。江戸紫などニュアンスある色は確かに東京東側っぽいけれど、夜空にパキっと映えるのは、赤赤した東京タワーや、白白した京都タワーだと思うの。
http://www.tokyo-skytree.jp/enjoy/lighting/
始業・終業時間を選べるようになったので、今年から8時〜17時で働いている。仕事の都合で長らく夜型生活が続いていたけれど、もともと超朝型のため、どこかで修正しないときっと身体に取り返しのつかないガタがくるだろう、と考えていた。1週間続けてみて、集中力の持続や心身のすっきり感、私は朝型なんだなぁ…この10年以上とはいったい何だったのか…という気分。今のところ6時過ぎに起きているけれど、起床時間はもっと早くしたい。
仕事が終わる頃には1日のエネルギーをずいぶん消耗しているので、夜に映画館に行くのが難しくなった。ブニュエル特集、見逃してしまいそうだなぁ…と、しおしおしていたら、期間が延長された。11時からの上映もある。清々しい朝に「皆殺しの天使」を観たいかどうか、の気分問題のみクリアして、朝に観るつもり。午前八時の映画祭、なんてものがあれば是非週末に通いたいものです。
http://www.ivc-tokyo.co.jp/bunuelangel/
ブニュエル、1/26(金)まで延長。
お年賀
いこさんがお年賀にくださった京都・亀廣保のお干菓子の、なんとかいらしことよ…。紅白の結び目は犬の首輪モチーフだそう。
いこさん連載第2回「ロミーとミッシェルの場合」で紹介いただいたお店です。四季折々、お店に行ってみたいものですねぇ。
https://cinemastudio28.tokyo/happyhourfromkyoto_002
志る幸
東京へ戻る途中、京都でいこさんと新年会。
「食べ過ぎなのであっさりとしたもの」「出汁っぽいもの」とリクエストしたら、「志る幸」はどうでしょう?映画「河口」のロケ地ですね、と返事が。なんという素晴らしい提案なのでしょう。ちょうど昨日、奈良で「河口」を思い出していたところ。
1961年の松竹映画「河口」は岡田茉莉子主演。ふんだんにロケで撮られた贅沢な映画で、森英恵の洋服で着飾った岡田茉莉子が銀座・数寄屋橋界隈を駆け回ったり、京都、奈良も登場したり。
「志る幸」はお味噌汁のお店。写真の利休弁当が名物で、セットのお味噌汁は白味噌に豆腐が基本だけれど、追加料金で具の変更が可能で、私は「おとしいも」を注文。すりおろし山芋がとろとろふわふわと白味噌に浮かぶ至福の味。その他の料理も、どれも私好みの薄味。食に対する興味が薄いほうで、東京でもあまり外食しないけれど、それは東京の味が口に合わないからなのかな…と最近思っている。あれもこれも食べたくて、どうしよう!って思うのは、京都にいる時だけ。
さて、「志る幸」。内装が不思議で、カウンターは八坂神社の舞台を模しているらしい。五条大橋っぽいエリアもある。そこはかとなく漂う実家の仏間っぽさ。この奇妙さは、珍品映画「河口」のロケ地にあまりにもふさわしい。
私の「河口」レビューはこちら
http://cinemastudio28.blogspot.jp/2016/07/blog-post_17.html
いこさんのレビューはこちら
http://iqc195.blogspot.jp/2016/07/blog-post_90.html?m=0
ああ、本当にへんてこで面白い映画だったな、また観たい。
儚さ
カメラロールの写真を遡ることで、今年観た映画群を思い出そうとしたけれど、今年の映画初めは京都立誠シネマで濱口竜介監督「THE DEPTH」だったと写真が告げていて、立誠シネマももうないんだなぁとしみじみする。みなみ会館が閉館してしまうと、京都における映画的ノスタルジアがほぼ失われることとなり、私の愛の対象は、ずいぶん儚い。
立誠シネマの最後の上映企画の中に、ウルグアイ映画「映画よ、さようなら」が混じっており、あの映画は2016年bestの1本だったけれど、best5のうち4本までは日記に書いて、「映画よ、さようなら」についてだけ書き忘れていることを、忘れていない。
「映画よ、さようなら」はウルグアイのシネマテークが閉館することになり、長年勤め上げてきた男が閉館作業をし、葬り、新たな一歩を踏み出す物語。ひたすら観客に物語を見せることに黙々と従事してきた男が、その行為を失った時、映画の記憶が彼の背中をそっと押す。見せる側でも観る側でもあった男が、映画の主人公よろしく物語の中心になる。冒険映画の主人公のように、勇ましく一歩を踏み出すエネルギーを、映画が授けてくれる、という物語だった。あの映画を最後に選ぶ、立誠シネマよ。と、遠くから静かに感動しながらサイトを見ていました。
http://www.action-inc.co.jp/vida/
この映画の面白いところは、映画の中ではいかにも閉館しそうな、寂れた雰囲気が漂っているシネマテークは実在のウルグアイのシネマテークで、しかし実在のシネマテークは映写室もたくさんあって規模が大きく、プログラムも充実した賑わいのあるシネマテークであるらしい。賑わいのある場所を、寂れた場所に見立て、架空の物語の舞台にしてしまうカメラマジック。まさに映画!
しばらく連載などの更新は休眠したおりましたが、明日更新します。愛の対象の儚さについて。明日の夜、またお会いいたしましょう。
みなみ会館
京都みなみ会館、閉館のニュースにショックを受けている。
http://kyoto-minamikaikan.jp/archives/35413
初めてのカラックスも、初めてのジュリエット・ビノシュも、初めてのゴダールも、初めての活弁つき上映も、初めての市川雷蔵も、初めての大映映画も、全部みなみ会館で経験した。間違いなく自分の何割かが作られた場所。
2015年の春、京都に行って、夜に思い立って、みなみ会館で「恐怖分子」のリバイバルを観た時の写真。
右端の「カップルズ」、封切りの時にここで観たなぁ。マチュー・カソヴィッツ「憎しみ」と2本立てだった。学生のいいところは時間がたっぷりあることで、その前に「恋愛時代」を観ていた私が「カップルズ」を観たいとふらっと喋ったら、友達が、それ何、観る観るってついてきて一緒に観たのだった。みんな暇だから。「憎しみ」は観るの結構辛かったけれど、何の前知識がなくても「カップルズ」、めっちゃええ映画やったわぁぁって友達も興奮して、きゃいきゃい言いながら東寺界隈を歩いたのだった。
緞帳の上の刺繍や、
当たり前だけれど、トイレに向かう通路脇にソファが置かれているの、ソファ自体は変わっていたけれど(もっとベコベコのソファだった)、配置は変わってなくて、ずいぶん久しぶりだったけれど、体が上映前、上映後の動線をしっかり覚えていたのが可笑しい。
私が通っていた頃は、1階のパチンコ屋はまだ営業していて、静かな映画を観ていると、階下のパチンコのジャンジャンバリバリ音が漏れて響いていた。おおらかな時代…。
移転したとしても、もうこの景色じゃないんだなぁ。なんて考えていると、「ヤンヤン 夏の想い出」のラストシーンのように「僕も年をとった」って言いたい気分。我也老了。
1994→2017
東京国際映画祭、今年は30周年の節目の年だったからか、六本木駅の改札からヒルズまでの地下道はメモリアルの雰囲気。30年間の思い出を振り返る写真がずらり。
私が初めて参加した1994年もあった。「東京」国際映画祭だというのに、大胆なことに、この年は京都で開催された。鳴くよウグイス平安京の794年から1200年、平安建都1200年を記念して。当時、京都の学生だった私は行きつけの映画館で映画祭のチラシを見つけ、チケットは誰でも買えること、学生はロードショーを観るより安いこと(1000円しなかったと思う)を知り、狐につままれた気分でスケジュールをチェックし、料金も安いことだし授業の隙間に時間が許す限り何でも観よう、どこの国の映画でも観よう、とチケットぴあのカウンターでたくさん発券してもらった記憶があります。
ラインアップをwikiで観ると(こちら)、審査員にジャンヌ・モロー、コンペに市川崑、オリヴェイラ、カウリスマキ、オリヴィエ・アサイヤス…異種格闘技っぽい。「アジア秀作週間」にエドワード・ヤン、原一男、キアロスタミ、石井隆…が並ぶごった煮感すさまじい。エドワード・ヤンはまだ「恋愛時代」と日本で名前がつく前、原題の「獨立時代」を引き連れて来日しており、私のエドワード・ヤン初体験はこの時。ラストのエレベーターの場面→エンドロールの美しさで恍惚とした後、本人が登場してのQ&A、好きになるのは必然でしたという感じ。カジュアルな服装の背の高い人で、この時もらったプレスシートは今でも宝物として手元にある。
家族や恋人、友達と肩を並べて観たとしても、映画を観ることはどこか孤独感がつきまとう行為だとひしひし感じていた頃に訪れた初めての映画祭体験。上映後に拍手ができることも嬉しく、自分と同じように映画を好きな人が世界にはたくさんいると知れたことも心強く、夢のような時間を過ごしたのでした。あの体験がなければ、見知らぬ国の映画を億することなく観ることも、知らない監督の映画を勘で選んで観る素晴らしさも知らなかったと思う。
だから、東京国際映画祭は今でも、私にとって特別なのです。
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