【本日更新】Design for Living 生活の設計 / Dress for Noriko Chapter2 デザイン
本日更新しました。
映画好きの私のための、映画から着想を得た服を、hPark 古川博規さんに仕立てていただく、着想から完成までの過程を追う連載「Design for Living 生活の設計」。1着めは「Dress for Noriko」。
小津監督「晩春」の紀子から得た私の着想を古川さんが受け止め、小伝馬町のアトリエのテーブルにはレストランのメニューのようなキーワード・リストと、デザイン画がずらりと並べられました。第2章はデザインを決める思考の道行です。
台風迫る日曜、投票の後は、あたたかい飲み物と「生活の設計」を是非お楽しみください。これまでの経緯はこちら。
序文
https://cinemastudio28.tokyo/designforliving_001
Dress for Noriko 第1章 着想
https://cinemastudio28.tokyo/designforliving_dressfornoriko_1/
こんなところにもスポーツが
昨日発見した、エルメスのサイトの、過去の上映プログラムとアレクサンドル・ティケニスのテキスト。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/
観たものも観られなかったものも、つらつらなぞってみると、最初にプログラミングの妙に唸ったのはスポーツ映画特集の、「こんなところにもスポーツが」の月だと思い出した。ジャック・タチのドキュメンタリー目当てに行ったら、そちらも良かったけれど、1本目にかかった「美しい身体 -女性とスポーツ」の物珍しさに夢中に。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/524693/
家電の発達により、家事で身体を動かすことが減り、鈍った女性たちの身体を再び動かし、美しいボディラインを取り戻すためにスポーツを推奨する、フランス政府が依頼して?作られた映像。家電を使って家事をするマダムが、おもむろに家の中で体操を始めるシーンが冒頭にあったように思う。やがて体操は集団化し、マスゲームのような様相に変化していくのが目に面白く、また政府が絡んでいる事実も興味深すぎる。こんな映像、もっと観たいわ。そしてスポーツというエルメスの年間キーワードから、この映像を選んで組み合わせるセンス!
プログラム・ディレクターの方の文章を好きなのは、彼らがたくさん映画を観る人であるにもかかわらず、観れば観るほどまだ観ぬ膨大な映画の存在を知って打ちのめされ、それでも海の底から光る貝殻を拾ってその美しさを見せてくれるような、諦念と情熱と謙虚さの混じり合いが行間から漂うからかもしれません。
写真は北京で撮ったオリンピックスタジアム。鳥の巣と呼ばれている建造物。こんなところでもスポーツが。
女が身ひとつになるシリーズ
部屋の片付けに弾みがついてきて、片付けハイの状態にある。あっさり手放せるものとそうじゃないものの境界線はどこにあるのか、まだ説明はうまくつかない。映画に関するものも、賞味期限が過ぎたものは手放しているけれど、本も資料も何年ぶりかに触ってみると、それを大事に手に入れた時の自分も同時に思い出し、懐かしくも面倒。そういう種類の湿り気、苦手なのよね。
「スタージェス祭」のパンフレットは捨てない組。1994年に渋谷で特集上映(と言っても3本)された時のパンフレットで、3本分のシナリオも採録されて豪華。もちろん上映には行っておらず(そもそも東京に住んでいない時期)、古本屋かオークションで手に入れたもの。このクラシック上映は監督別にシリーズ化していたようで、大切にしているルビッチのものもこのシリーズ。パンフレットのデザインがいいね、と思ったらコズフィッシュが手がけていた。
プレストン・スタージェスはハリウッドのコメディ監督。スクリューボールコメディの名手と呼ばれている人。ルビッチほどでないにせよ大好きな監督で、シネマヴェーラなどでクラシック特集があった際は、ラインナップにまずスタージェスの名前を探す感じ。このパンフレット、片付け祭の合間に手に取るにふさわしく、3本のうち1本「パームビーチストーリー」は、女が身ひとつになるシリーズの系譜なんである。
「パームビーチストーリー」はいくつか邦題がある映画で「結婚5年目」と呼ばれていたりもする。名の通り、結婚5年目の夫婦が倦怠期に陥り、もうイヤ!と妻が身ひとつで家を飛び出し、やがてまた戻るまでの珍道中。この映画の清々しいところは、まさしく身ひとつである点で、お金も持たずにとりあえず駅に向かって走り、改札では周囲のおじさま方に色目を使って入場、そのまま電車に乗っちゃう。銃を乱射する過激なおじさま集団と触れ合ったり(電車と銃はスタージェスの常連アイテム)、御曹司に見初められ贅沢三昧を味わったり、片付け本によくある、新しい何かに出会いたければ、何かを捨てなければならないのです的セオリーを王道でいく展開だけれど、この妻は美貌と愛嬌で難事をくぐりぬけながらも、モノにはさっぱり執着なさそうなのが最高。スタージェスの女たち、みんなカラッと陽性でかっこいいの。
片付けの息抜きにパラパラ開いてみたら、中野翠さんのエッセイがあり、スタージェスの魅力がしっかり書かれていて同意しきり。
プレストン・スタージェスのどこが一番凄いかというと、タメを利かせないところである。ものすごく凝ったセリフや卓抜なギャグがギッシリと詰まっているのだが、セリフとセリフの間の余白や空白はギリギリに切り詰められているし、”思い入れたっぷり”みたいな場面は極力排除されている。タメを利かさずに、ひたすら先を急ぐ。しんみりしたり、ほのぼのしたり、うっとりしたりしているヒマもなく、どんどんどんどん先へ進んでしまう。(中略)こういうタメを利かさないコメディというのは、嫌いな人は嫌いだし、好きな人は好きである(当たり前のようだけど)。私は、こういうコメディのほうが、何か、下世話な道徳性とスッパリ手を切っているようで、爽快痛快に感じてしまう。コメディというのはテンプラのようなもので、カラッとしているほど上等だと思う。説教や人生訓といった不純物の多い油で揚げちゃあ、ダメなのよ。
そうなのよ!あー、言いたいこと書いてくれててスッキリした。そして明日のお昼は、会社の人たちとテンプラ食べに行く約束なの思い出した。初めて行く店だけれど、カラッと上等なテンプラならいいなぁ。
Black narcissus
「Black narcissus(邦題:黒水仙)」について所感メモ。1947年のイギリス映画。「赤い靴」で有名なマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの共同監督。ジャック・カーディフの撮影が素晴らしくて、映画って本当、ささっと私を異世界に連れて行ってくれるわぁ…と、うっとりしながら観た。
インド・ヒマラヤ山脈の女子修道院に、布教・教育のために駐在することになった修道女たちの物語。むせ返る異文化の香り、頼れる男性の存在、静寂を破る動物の吠える声や自然音が、ストイックな修道院生活を掻き乱し…。
混乱した修道女たちが右往左往しサスペンスのような後半に惹かれた。主演のデボラ・カーは安定の美しさだけれど、私はもっぱらキャスリーン・バイロン演じるシスター・ルースに釘付け。錯乱して暴走すればするほど爛々と美しくなっていく。
サスペンス、ホラーって筋書きより時々、女優の整った顔が一番怖いって思う時があって、シスター・ルース、まさにそれに該当。他に、いや、あなたの整った顔が一番怖いですから!って背筋が凍った映画の事例としてはポランスキー「反撥」の恐怖に引きつる若きドヌーヴの顔などがあげられる。
この映画を好きと言った友人のひとりは、パリ在住イタリア人、インドを舞台にした映画の脚本を書いている青年(ややこしい…)で、彼はどうしてこれが好きなんだろうなぁ…と、つらつら妄想し、私とは絶妙に映画の趣味は合わなかったけれど、彼はサタジット・レイや、ルノワールだと「河」がベストと言っていたので、単にインドに興味があるんじゃないかしら?というシンプルなmy結論に至った。ヨーロッパ人の好むエキゾチシズムの舞台としてのインド…「Black narcissus」もそんな感じね…など、メール1本、観たよ!って送れば答え合わせできそうだけれど、それをしないで頬杖つきながら妄想するのが好き…。
写真はイタリア青年に東京観光の一環として神保町 矢口書店を薦めたら行ったようで、お土産にもらったパンフレット。
続・小休止
続・小休止。夏の疲れがとれず、食べて眠って。
昨夜、「Black narcissus(邦題:黒水仙)」ぼんやり最後まで観たけれど、予想より遥かに禍々しい映画で、頭の情報処理が追いつかない。これを好きで薦めてくれた友達の、好きな理由をじっくり聞きたい感じ。
マイク・パウエル、「赤い靴」ぐらいしか観たことないはず…と思っていたら、今月メゾンエルメスでかかってる「血を吸うカメラ」の監督だった。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/565041/
エルメスから届いたメールのビジュアルだけ観て、何だろうこれ?って反射的に予約したけれど、計らずして「Black narcissus」が監督作品の予習になった。「血を吸うカメラ」のビジュアル、目がすごいことになっているけれど、これを観る予定の日、眼科でメスを使う?であろう治療の予定なのだった。その日、私の精神、私の目は大丈夫であろうか…。
人間模様
登山、登って降りている時はさほど感じなかったけれど、やはり身体には過酷だったようで、膝下が象の足みたいになって足首が行方不明だったし、マッサージして改善しようとしても触るだけで痛いレベル。そして何万歩も標高差のある移動をしたのに、体重がぐっと増えている。むくみ等によるものらしく、すぐ元に戻るらしいけれど、自分の体積が標準比110%に膨張していて落ち着かない。あんな場所に行って帰ってきて何も起こらないはずはないけれど、それにしても人体は不思議。
午後にはようやく痛みも落ち着きはじめ、身体も徐々に収縮してきたように思ったので、ホッとしつつ図書館から借りていた市川崑初期作品の「人間模様」(1949年)を再生してみたけれど、珍品、40年代の映画なのに21世紀の今観ても新しすぎる、上原謙の場面だけ後光が射している、耳を疑うハッとするセリフ、誰の何の映画に影響を受けて出来上がったの等、考えることが多すぎて心が全く落ち着かず、呆然としているうちに終わった。むくみが完全にとれた頃合いを見計らい、深呼吸して再見しようと思う。
観終わって夜、Cinema Studio 28 Tokyoのレンタルサーバーを別のところに引っ越しする作業を、詳しい方と一緒に取り組んだので、表示速度など改善されるかもしれません。
紀子さん
東京はとても暑い週末だったようだけれど、原稿書きで部屋にいたので体感せず。スーパーマーケットと選挙には行った。確かに暑かった。
「晩春」の紀子さんのことを考えた。こちらは「麦秋」の紀子さん。小津監督にはどんどん興味を失っていくけれど、反比例するように原節子への興味は増してゆく。ずいぶん前に一度観たきりだけれど、もう一度観てみたい原節子映画は、黒澤明「白痴」。長い映画に耐性のできた今なら、家ででも集中して最後まで観られる気がする。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (16)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (90)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (10)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (248)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (211)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (15)
- Sapporo (3)
- Taiwan (47)
- TIFF (24)
- Tokyo (358)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)