奈良

初詣は興福寺。
元旦、国宝館がリニューアルしたとのこと。以前の薄暗い集会所のような場所に国宝が無造作に配置されていた国宝館、あれはあれで味があって好きだった。上野に遠征しようものなら行列数時間待ち、のアイドル・阿修羅像も独占し放題のガラガラで(明らかに人間より仏像のほうが数が多い)、暇を持て余したと思われるスタッフの方がつつっと寄っていらして丁寧に解説してくださって、どんな質問にも答えてくださった過去の思い出。新しい国宝館や、つるっとシャレていた。
興福寺の五重塔を見るたびに、小津の「宗方姉妹」が撮られたのはここだったっけ?と確認するけれど、違う違う、薬師寺だった、と毎度同じことを繰り返す。
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/020movie/M000000033/
久しぶりに鹿にも遭遇。

あれ…なんだか様子がおかしい…?と近づいてみたら、

みんな寝てる!15時頃だったから、昼寝かな。
1月3日の奈良は、奈良にもこんなに人間がいたんだね、という混みようだった。
THE PEARL NECKLACE

ユペール主演「ELLE」を観るために日比谷に行った帰り、そういえば、と思い出して銀座4丁目のミキモトへ。7階ミキモトホールで「THE PEARL NECKLACE」の展示中。ネックレスをモチーフにした会場デザイン、特に照明が美しい。

これもネックレスと呼ぶのかしら。襟のようなデザイン。

ルビッチ女優たちが身につけてそうな瀟洒さ。
そして私のお目当てはこちら…

1954年、マリリン・モンローが夫のジョー・ディマジオと新婚旅行で日本を訪れた時、ディマジオがプレゼントしたというパールネックレスの実物。粒が大きく、長さは首にぴったりめ。モンローに似合いそうなバランスをディマジオが熟知していたのか、ふたりであれこれ試して選んだのか。

ボックスの蓋裏にあるブランドロゴのフォントもクラシカルで素敵。

着用写真はこちら。胸元の開いたトップスを着ることの多いモンロー、少しでも長いと胸や襟とぶつかってもたつきそうだものね。
会場にもあった「THE PEARL NECKLACE」というビジュアルブックの発売を記念した展示だそう。8/28(月)まで。
https://www.mikimoto.com/jp/news/170630/01.htm
郵便あれこれ

ここのところ、手紙を何通も書いた。残念ながら、手紙を添えて宅急便を送るというケースばかりで、切手を貼ることはなかった。手紙の楽しみの何割かは、切手を選んで貼ることにあると思う。最近、定形外さらに規格外の郵便料金がしれっと大幅値上がりし、重さ厚さのあるものは、宅急便の方が安いというケースも増えたように思う。切手を貼る機会が減って寂しい。ペンギン切手、貼りたくてウズウズしているのに。
郵便好きなので、映画を観ていて郵便局が登場すると、仕組み、切手、やりとり等、隅々までチェックする。最近だとアニエス・ヴァルダ「幸福」に印象的な郵便局シーンがあった。「幸福」は家族の物語でも、不倫の物語でもあり、家庭を持つ男の不倫相手が郵便局で働いている。ウキウキと郵便局にやってきた男が、電報用の用紙に、P T T P T TとリズミカルにP T Tを繰り返し書き、それは窓口にいる女へのラブレターで、P T Tから始まる単語を羅列した言葉遊び。アニエス・ヴァルダらしい凝った仕掛けで、よくこんなの思いついたね!と膝を打つP T Tを駆使した愛の言葉が綴られる。滑らかに単語を配置していく男は、郵便局に向かいながら、頭の中でいろんな単語をニヤニヤこねくりまわしたんだろうな…。
郵便局、電報、惹かれ合う男女…の設定で同時に思い出したのは、小津の「浮草」。旅芸人の一座にいる若尾文子が訪れた町で、郵便局で働く川口浩と出会う。浩に最も似合う職業は「たいして仕事はしていない御曹司」で決まりだけれど、郵便好き補正がかかって、素朴な郵便局員の浩もなかなか。電報用紙を受け取った若尾文子が「ソコマデキテクダサイ」と書き、浩に渡し、「宛名は?」と聞かれて「あんたや」って関西弁で…!これ、ベストオブ郵便局シーンじゃないだろうか。さらにベストオブあんたやシーンでもある。あんたや…あんたや…(練習)。
気をとりなおして。郵便好きな私は、日本郵便のサイトも定期的に覗き、切手の発行スケジュールを手帳にメモしたり、その他知らない郵便知識の修得に努めている。とりわけ好きなのが「お手紙文例集(レターなび)」!特に「プライベート」のカテゴリー、読み応えある。
http://www.post.japanpost.jp/navi/private/i-priv-a.html
「縁談・恋愛(往診、返信)文例一覧」なんてドラマの宝庫です。例えば「見合いの相手からの結婚の申し込み断り」。
お手紙拝見しました。あなたが私を思ってくださる気持ちとてもうれしいです。私のようなものをそこまで思ってくださって、本当にありがとうございます。
でも、ごめんなさい。あなたが思ってくださるようには、私はあなたのことを思えないのです。とても心の優しいすばらしい方だと思います。けれど、今は仕事がおもしろく、まだあなたとの結婚はどうしても考えられないのです。おそらくこの気持ちは、この先ずっとおつき合いを続けたとしても変わらないと思います。
私がもっと早い段階で結論を出していればよかったのかもしれません。許してください。もうお会いしないほうがいいと思います。
今まで本当にありがとう、そしてごめんなさい。
なんて汎用性の高い文例なの。あらゆるケースに適応できそう。このページ、日本のどこかで誰かが検索して探し出し、当該シチュエーションに至った時、この文例は参考にされているのだろうか。
あと、「忠告・助言 文例一覧」もなかなか味わい深い。
http://www.post.japanpost.jp/navi/private/i-priv-p.html
「妻に苦労をかける夫へ(夫に苦労をかける妻へ)」の文例。
○○にどうしても言いたいことがあってペンをとりました。
これまで○○はビジネスマンとしてよく頑張っていると、いつも感心してきました。弟ながら、お手本にしなくてはと思ってきたほどです。
ところが、聞くところによると最近は毎晩酒を飲んでの午前様だそうではありませんか。**さんはさんざん悩んだ末、思い余って私に相談されたのです。あなたはまぎれもなく**さんの夫で、●●くんのお父さんなのです。自分の立場をしっかり自覚して、大切な家族を泣かせるようなことを慎むべきではないでしょうか。
差し出がましいとは思いますが、あなたたち夫婦のことが心配なのです。何か悩みがあるなら相談にのりますから、いつでも連絡してください。
妻から夫に、夫から妻に直談判の手紙かと思えば、おそらく妻から相談された義弟が、夫(兄)に苦言を呈すというややこしい設定。21世紀、こんなのが「手紙で」「弟から」届いた日には、内容証明並みに恐ろしいかも。
はっ!こんなに長い日記を書くつもりはなかったのに、郵便のこととなると。そして現実逃避甚だしい。異国に行くたびに、その国の郵便局に行き、郵便局のサイトもチェックするけれど、こんな文例集は日本郵便のサイトでしか発見しておらず、日本郵便の個性と呼ばずして何と呼びましょう。こんなドラマティックな文面を考え、サイトにアップしている人がどこかにいるという事実だけで、郵便愛は深まる一方だし、同時に狂気もちょっと感じます。
下山

夜中に起き、頂上を目指す…といきたかったところだけれど、同行者たちが軽く体調不良、かつ天候不良、私も本調子ではない…ということで大事をとって真夜中の頂上行きを断念。8合目にとどまる。
頂上行きは雨の中の過酷さで、御来光も今日は見られなかったそう。せっかくなので体力も体調も万全に整え、頂上にたどり着くのみならず、お鉢めぐりも、最高地点も行ってみたい!と、富士登山リベンジを誓う。来年かな…?8月は天候が崩れやすく、7月の方がオススメとのこと。

行動食のソイジョイが気圧でパンパン!これ、味わってみたかったのでちょっと嬉しい。次はポテトチップスとか、派手なパンパン度合いが味わえるもの持参しようかな。

下山は上りとは違う種類の過酷さあり。赤土のこの眺めを見ていると、映画「ストロンボリ」(1953)を思い出した。イングリッド・バーグマン&ロベルト・ロッセリーニコンビのモノクロ映画で、島全体が活火山というストロンボリ(地名)で撮影。ラストに噴火シーンあり。スタッフの方がそのために命を落とすなど、過酷なロケだったのだろうな…。
全篇通じて、エラいところに嫁いでしまった!の戸惑いを隠せないバーグマンと、噴火の迫力が見もの。
ジャンヌ

帰りの電車で、ジャンヌ・モローの訃報を知る。
ジャンヌ映画で何が好きかな、と考えながら夜道を歩いた。ルイ・マル「恋人たち」がまず浮かんだのは夜だからかしら。それから今、東京で公開中のジャック・ドゥミ「天使の入江」も好き。ブルジョワ的生活を送り、何もかも手にしているのに、いったい何が不満なの?という物語でこそ、あの顔が活きる。誰にでも得意領域の表情があり、ジャンヌの得意領域は不満顔で、もともとの顔の造形をさらに引き立てる表情だと思う。どんな女でも笑顔が一番美しい!みたいな言説、辟易とするね!ジャンヌの不満顔をご覧よ、輝いているよ…!
トリュフォーでは「突然炎のごとく」より、「黒衣の花嫁」の方が好き。トリュフォーって恋愛体質が映画にびしばし表れる人で、例えば「暗くなるまでこの恋を」なんて、ヒッチコック風サスペンスを目指したのに、途中からドウーヴにデレデレする自分を制御できなくなって、グダグダした愛の物語に変化し収拾つかなくなるの、素直で面白いな、って思うけれど、きっとジャンヌ・モローには恋愛感情はなく、でも女優としては信頼してるって感じなのだろうな、という推測に至ったのが「黒衣の花嫁」だった。
ジャンヌ・モローが亡くなったので、ジャンヌのことを考えた。「天使の入江」は、追悼の気持ちも微かに込めて観ることにする。
最高殊勲夫人

!!!!!
何度観ても最高!やっぱり日本最高のロマンティック・スクリューボール・コメディは「最高殊勲夫人」!!
あらすじは把握しておるし、セリフもそろそろ暗唱できそう。今回は様々細部が目につき。オープニングショットは1959年の丸の内。皇居と東京駅の間ぐらい。テーマ曲が高らかに鳴り響くのだけど、何度もリフレインするこのテーマ曲、ウェディングマーチがちょっと使われてるのね。オープニングからこれだなんて、最初から2人の運命なんて決まっていたようなもの!

それから、タイトル映像がこんなに凝っていたとは記憶にございませんでした。丸の内のビル群の壁面のグラフィカルさを活用した配役紹介。昭和建築好きも必見。

どーんと監督名。黄色と紫!
1日だけ他人になるとしたら野々宮杏子(若尾文子)になって、朝は洗濯物干したついでにキャッチボール、昼は同僚男性に奢ってもらって食べ終わったら屋上で雑談(他の人々は昼休み屋上でバレーボールなどに勤しんでる)、アフター5は三郎(川口浩)と地下街で待ち合わせトンカツのちにロカビリー喫茶へ…。仕事いつしてるの?なんて野暮な質問ですね!ってパーフェクトな1959年丸の内OLの1日を過ごしてみたいものです。

立食スタイルの披露宴。この人口密度の高さ、これから日本が発展する準備はできている!って熱気、少子化なんてどこ吹く風って感じ。
いこさん連載第3回、驚いたことに瓶バヤリースを見つけるのがとても難しいという事実を知った。私の記憶では、幼少期、レストランに行ったらあったし、母方の祖母の家に帰省した時も酒屋からケース買いして準備してくれてた記憶。最近だと老舗の料理屋のソフトドリンクメニューに載ってる印象だけれど、個人が数本だけ買うというのが難しいみたい。瓶バヤリースが日常から消えたのは、ペットボトルの普及と新星「なっちゃん」の登場 が理由…なのかな?
そんなこんなで瓶バヤリースについて人生で一番考えた6月だったので、「最高殊勲夫人」の最後、披露宴のシーンで、

瓶バヤリースが映ったとき、なかなか会えない想い人を見つけたような高揚が押し寄せた…。ウェディングケーキの横に並ぶオレンジ色の小憎い小瓶たちこそ、我らが瓶バヤリース!澄ました顔して並んじゃって、可愛い(テンションのおかしな擬人化)!
雨の日の憂いも吹っ飛ばす最高にハッピーな「最高殊勲夫人」、未見の方は是非。いこさんの第3回もご一緒にどうぞ!
https://cinemastudio28.tokyo/happyhourfromkyoto_003
紀子さん

東京はとても暑い週末だったようだけれど、原稿書きで部屋にいたので体感せず。スーパーマーケットと選挙には行った。確かに暑かった。
「晩春」の紀子さんのことを考えた。こちらは「麦秋」の紀子さん。小津監督にはどんどん興味を失っていくけれど、反比例するように原節子への興味は増してゆく。ずいぶん前に一度観たきりだけれど、もう一度観てみたい原節子映画は、黒澤明「白痴」。長い映画に耐性のできた今なら、家ででも集中して最後まで観られる気がする。
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