ハラハラ

土曜夜の部屋のスクリーン。カーリング!
ウディ・アレン「マッチポイント」ってテニスコートでボールがネットに当たって、向こうに落ちるかこちらに落ちるかで人生の勝敗が決まる、みたいな物語だったように記憶しているけれど、カーリングのラスト、あの映画を思い出すものがあった。初めてじっと試合を眺めてみたけれど、最後までルールはさっぱりわからなかった。けれど、見続けてしまうビジュアルの面白さがある。次の冬季五輪までにはルールを把握しておこうと思う。
怖い絵展

お休みをとっていたので、夕方まであれこれ片付け、twitterで混雑状況を確認しながら18時前到着目指して上野まで散歩。大混雑の「怖い絵展」を観てきた。週末には入場に3時間待ちという人気。
月曜の中途半端な時間帯(主婦には遅く、勤め人には早い)を狙ったので、待ち時間10分ほどで入場。中は混んでいたけれど、絵を観られないほどではなかった。
恐怖を感じさせる絵を切り口に、宗教や歴史、風俗など、知っていた方が鑑賞の手助けになるキャプションがすべての絵につき、興味をそそるようなわかりやすくキャッチーなコピーも要所要所についている。
とても親切な展示で、だから人気なのだろうし、混雑した館内でキャプションをじっと読む人が大勢いるから、人の動きはゆっくりで滞留しがち。願わくば、ガラガラに空いた妖しい古城のような場所でのんびり観たいものだと思ったけれど、それなりに堪能。メインビジュアルになっている「レディ・ジェーン・グレイ
私が特に好きだったのは、最初の部屋にあった「ディアナとエンデュミオン」。女神ディアナが美しい羊飼いエンデュミオンに恋をし、死なせずに美しさを保つために永遠の眠りにつかせ、眠る羊飼いのもとを毎晩訪ね、抱きしめる、という絵。
美しい羊飼いと聞くと反射的にエリック・ロメール遺作「我が至上の愛 アストレとセラドン」を思い出すのだけれど、この映画、オノレ・デュルフェの小説「アストレ」を原作とし、パリの御婦人たちの間で大流行した物語というエピソードを公開時にあれこれ読んだ際のインプットで知ったので、そこから妄想が広がり、美しい羊飼い=退屈と富を持て余した優雅なマダムたちの崇拝と妄想の対象(性的妄想含む)という変なイメージがこびりついてしまい(史実はよく知りません)、美しい羊飼いというワードを見るだけで、往年のアイドルの姿を見たような、あなたですか、噂の男は!という気分になってしまうのは困ったものですね。
「ディアナとエンデュミオン」、怖いというより、ロマンティックな1枚だった。それから「死と乙女」をモチーフにした、骸骨と裸体の女が抱き合っているシンプルな素描のような作品があり、素敵だった。下の余白部分に髑髏の試し書きが残っているのを見逃さなかった。現実はつらいよコーナー(意訳)にあった若い美しい女が都会にやってきて→娼婦に→投獄→感化院→出所→梅毒→死という一連の物語の挿絵として使われた細かい描きこみのシリーズ、溝口の「西鶴一代女」みたいな生き抜くための選択肢が少ない時代の女の悲劇である。
混んでいて頭が朦朧としていたけれど、振り返ってみると恐怖や辛い現実というより、今日はロマンティックさを探したい気分だったのかもしれない。

帰り道、上野公園の秋。銀杏の絨毯に何故か自由の女神の胸像があり、ここもまた異界であった。上野公園、夜はちゃんとそれなりに暗いのが気に入っている。
怖い絵展、12/17まで。混雑状況は公式twitterでリサーチ推奨です。
Silencio

デヴィッド・リンチ特集で観た2本について所感。
・ロスト・ハイウェイ(1997)
理由は説明できないけれど、マイ・ベスト・リンチはこの映画かな。リンチって俳優に関しては明確な顔の好みがあって、圧が強くないというか、濃くないというか、余白が多めな顔が好きなのかな?と思うけれど、女優のルックスの好みは一貫性が感じられないような。けれど誰でもリンチが撮るとリンチ映画っぽい顔に見えてくる不思議。とにかくパトリシア・アークエットが最高にマブい。マブいっていつ頃流行った言葉か知らないけれど、マブいとしか言いたくない魅力を振りまいており、ルックスだけじゃなく台詞回しにもマブさ煌めく。頭のてっぺんから尻尾まで音楽が良く、サントラ欲しい。
・マルホランド・ドライブ(2001)
2つの顔を見せるナオミ・ワッツの巧みさ。前半の清純ナオミがもう、J.CREWのカタログに登場しそうなクリーンさで、後半のダークナオミと同一人物と思えない。聞き上手になりましょう、口角を上げましょう、相手の目を見て笑顔で、身だしなみを整えて、姿勢よく!など、モテ指南の王道をすべて実行したかのような清々しく好感度の高い清純ナオミ、外見や仕草に気をつけるって本当に大事なんだなぁ…と、リンチ映画を観てそんな感想?って感想を抱く。ビリー・ワイルダー「サンセット大通り」へのオマージュでもあるらしく、ハリウッドを舞台にサンセット大通りも登場するし、オーディションの場所はパラマウント・スタジオ、映画関係者の住むプールのある家もオマージュといえばオマージュなのかしら。一晩寝て起きてみると、印象的な「Silencio!(お静かに)」のフレーズが耳に残り、パリにあるリンチがプロデュースした、その名も「Silencio」というクラブに行ってみたいわ。
http://silencio-club.com/en/1/silencio
山形に行くなどしていたので、2本観たのみだったけれど、時間さえ許せば全部観たかった。リンチ映画、しっかりした暗闇が似合う。
東京では上映終了。この後、大阪に向かうもよう。
http://cinemakadokawa.jp/lynch50-eiga/index.html
フライデーナイトシネマ

いろいろ予定とお誘いが競合したけれど、全てを明日に投げ打って、新宿にデヴィッド・リンチを観に行った。今日で終わりだし、意気揚々と買った前売が1枚、財布の中で存在を主張していた。上映待ちのロビーで、東京国際映画祭の冊子ももらい、段取りを練るなど。上映部門ごとに時間差でチケット発売されるので要注意。去年、阿鼻叫喚のシステムトラブルがあったから、アクセス集中を回避したのだろうなぁ。
おそらく公開当時ぶりに観た「マルホランド・ドライヴ」、全てを投げ打つ価値のある素晴らしさ。デヴィッド・リンチの映画って、上映時間も長いのに、没頭しているうちに、もう目にしているものがたとえ現在でも未来でも過去でも構わない、そんなことは。って気分にさせられて、あっという間にエンドロールをぽかーんと眺める羽目になるのが気持ちいい。
レイトショー

東京に戻ったら、レイトショーで「ヤンヤン 夏の想い出」がかかる週であった。ものすごく久しぶりに観た。
今年はエドワード・ヤンの映画を何度も観たので、あの俳優がこの役!とフィルモグラフィの中での繋がりも楽しめる。
金曜まで、早稲田松竹で。35mm。時間さえ許せば、恐怖分子→台北ストーリー→ヤンヤンと自主的に3本立てにすることもできる。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/nowshowing.html
予習

目の手術の予定だったけれど、来週に延期された。連休は眼帯生活!と思っていたのに拍子抜け。窓を開けていると、祭囃子が聴こえてきて、いよいよ秋の開始。祭囃子と入れ替わりで雨の音。どこにも行けなさそうだし、と借りておいた「アウトレイジ」を観る。
カレーって食べてる人を見かけると、口の中がカレー味になって、ああ!カレー食べたいって気持ちが溢れるけれど、「アウトレイジ」もそんな感じ。新作情報がどんどん映画ニュースで流れ、前二作の名場面ショットも流れてきて、ああ!アウトレイジ観たい!って渇望していたので、大満足。
もう筋書きを覚えていても、何度観てもいいなぁ。あれ、こんなかっこいいショットあったっけ?って何度も発見がある。今回は柄本時生くん、なかなか面白い役で出てたんだなぁって初めて気づいた。
北野映画の中で、「アウトレイジ」シリーズの音楽がとりわけ好きなのだけれど、みんな大好き・水野(椎名桔平)が殺されるシーン、改めて音楽いいわぁ。

殺され場面もさることながら、その後の平行移動ショット、

ここで音楽が消えて、車の走行音だけになるの…まったく、痺れるね!
「アウトレイジ ビヨンド」は2時間で終わるのもったいない、半日ぐらいずっとこの世界に浸っていたいと思うほど、さらに好き。台風が近づいて外に出られなくなったら、明日はビヨンド観ようっと。
台北ストーリー / タレンタイム

久しぶりに、ギンレイホールへ。アジア映画2本立て。素晴らしい番組だった。
・台北ストーリー
エドワード・ヤン監督、1985年。侯孝賢、蔡琴、監督の盟友と奥さんが主演。観るのは3度めで、近いところではリマスタ版ができた時、フィルメックスの先行上映で観たら、上映前に現在の年齢の侯孝賢がビデオ舞台挨拶し、「彼の周囲にいる人間は、彼の映画に出ることから逃れられない」って言ったのが可笑しかった。以下、ギンレイでもらったリーフレットから、あらすじ。
家業を継いだ元野球選手のアリョンと会社勤めでキャリアウーマンのアジンは幼なじみのカップル。ある日アジンが突然解雇されアメリカへの移住を考えるが…。急激な変貌を遂げる80年代の台北を舞台に、過去に囚われた男と未来に想いを馳せる女のすれ違いを描く!
エドワード・ヤンの映画に登場する人々は、ここではないどこかに行きたがる人と、今いる街で生きていくことを諦念まじりに受け入れた人がいつも登場し、両者の軋轢で物語が転がってゆく。その舞台になる台北も、生き物みたいに日々変化していて、街の過渡期をいつも捉えているけれど、考えてみれば、街っていつも過渡期で完成形があるものでもないのだった。
エドワード・ヤンのフィルモグラフィのうち、特に好きな1本というわけではないけれど、富士フィルムの電飾看板がどーんと大写しになる夜の場面のために、定期的に観たくなる。あの看板は今はもうないけれど、看板のあったビルは今も存在するらしい。
・タレンタイム
2009年のマレーシア映画。ヤスミン・アフマド監督。
とある高校で音楽を競うコンクール「タレンタイム」が開かれることになった。女子学生のムルーや優等生のカーホウ、転校生ハフィズらは様々な葛藤を抱えながらタレンタイムに挑む…。多民族社会で生きる思春期の若者の心情をみずみずしく描いた青春群像ドラマ!
わー、うまくまとまったあらすじだけれど、これだけで映画の魅力を説明しきれていない感も同時にすごい。映画が始まってすぐ字幕で、様々な言語が入り混じる映画です、と説明が入る。言葉だけでなく登場人物たちの宗教も、属する社会的階級も違い、同じ中華系でもエリートもいれば、ムルーの家のメイドのようにそうじゃない人物もおり、誰の背景もシンプルではない。差別や嫉妬も隠すことなく物語の中に編み込まれてゆく。マレーシアの映画、映画祭で何本か観たけれど、宗教儀式(「タレンタイム」では葬儀のシーンがある)や美しい自然の描写も必ず登場するイメージがあり、それらはマレーシアの日常を描くための必須事項なのだろうけれど、「映画を観る歓びのひとつは、新奇なものに触れることである」という、そのものずばりの感慨をいつも抱く。
ムルーと聴覚障害者の青年との恋では、言葉が通じない二人が表情を読みとったり、手話という新しい言語を覚えることを始め、ルビッチ「ニノチカ」のような信じる・属するものが違う二人が愛ゆえに違いを乗り越えていく物語が現代にもあれば!といつも思っているけれど、「タレンタイム」、設定は大きく違えど、探していたものの手触りが僅かでも確かにあって、意外なところで出会っちゃったな、と思った。生徒が歌う歌は吹き替えらしいけれど、音楽も素晴らしい。
「台北ストーリー」「タレンタイム」の2本立て、振り返ってみると共通項はいくつもあって、エドワード・ヤンもヤスミン・アフマドも若くして亡くなっており、どちらにもアジア映画らしくバイクが登場。そしてエドワード・ヤンの映画といえば、電気を点けて消す動作が印象的に登場するけれど、「タレンタイム」、電気がついて映画が始まり、電気が消えて映画が終わった。
ギンレイホールで、金曜まで。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_170902.html
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