東京国際映画祭

 

明日で終わってしまうけれど東京国際映画祭、4枚チケット購入。今年は日本映画比率が高かったような気がするけれど何か事情があったのかな。

 

コンペティション部門の審査委員長にチャン・ツィイーが選ばれたというニュースを読んでから、会期中にきっと記念上映があるだろうと心待ちにして、真っ先にチケット確保。デビュー作『初恋のきた道』特別上映後、Q&Aに登壇したチャン・ツィイーがこちらです。きゃー!章子怡!!!

 

中華圏には魅力的な俳優・女優がたくさんいるけれど、ずっとチャン・ツィイーが一番好き。立ち姿や所作の美しい人が好きで、映画でそんな人を発見して経歴を調べるとダンスの素養のある場合が多い。中央戯劇学院という名門演劇学校が北京にあるけれど、チャン・ツィイーはその舞踏科出身、小さい頃から中国の舞踏の世界で名前が知られていたエリート・ダンサー。Youtubeか何かで、解放軍の制服を着て華麗に踊るチャン・ツィイーの映像を観た記憶があるけれど、あれは一体何だったのだろう。もう一度観たいけれどどう検索しても探し出せず、幻だったのかもしれない…。

 

と、そんなチャン・ツィイーは映画デビュー20周年だそうで『初恋のきた道』の上映後、チャン・イーモウからのビデオレターも上映された。Q&Aの記事はこちら。

https://2019.tiff-jp.net/news/ja/?p=53189

 

最初に質問した男性は『初恋のきた道』や『グリーン・ディスティニー』のチャン・ツィイーを観て、中国の女性というのはなんとしなやかで生命力に溢れていることか!と感動し、やがて中国の女性と結婚したらしい(!)。チャン・ツィイーはそれを聞いて、それは良いことだわ、中国の女性はきっとあなたをすごく照顾(世話をする、面倒をみる)するでしょう、とニコニコとコメントしていた。私の周囲の中国の夫婦は、どちらかというと旦那さんのほうが奥さんを照顾する傾向にあるけれど、チャン・ツィイーは違うのかな、と興味深かった。

 

質問の内容が重複して「それはまさにさっき答えたばかりだわ」と言う場面もあったけれど、あなたにもひとつ素敵なエピソードを教えるわ、と質問者ががっかりしないようにフォローするなど、チャン・ツィイーは素敵な人だった。なんだかとても陽のオーラのある人で、幸せそうで何より、もしやこれが「推しが幸せそうで、私も幸せ」というやつかしら。

 

『初恋のきた道』は、初々しいチャン・ツィイーは確かに可愛いけれど「男性が勝手に妄想する女性の可愛さ」の、よくできた結晶という感じがして、私はあまり好きな映画ではない。映画の経験のないチャン・ツィイーのために工夫したのかセリフが少なく、料理をする、掃除をする、走るといった動きに感情を乗せていく演出が「動くチャン・ツィイー」の魅力に合っていた。あれだけ走って上半身がブレないチャン・ツィイーの鍛えられた体幹を愛でる映画であった。

 

私が好きなチャン・ツィイーは『2046』と『グランド・マスター』のチャン・ツィイー。ウォン・カーウァイの映画の中で不思議なほどチャン・ツィイーは輝く。この2本はウォン・カーウァイらしい物語の破綻を、チャン・ツィイーの動きの魅力が補填するバランスの危うさもたまらない。チャン・ツィイーのファンでなければ、ただのよくわからない映画、だがそこが良い!特に『グランド・マスター』の駅でのアクションシーン(あの列車はやたら長いが、チャン・ツィイーのアクションを永遠に観られるなら1000両編成の列車が存在しても良い。万里の長城を作った国なら、そんな列車は作れる)、『2046』はマカオに行った時、ロケ地になった安ホテルにも行き、ここでチャン・ツィイーが!と、ひとしきり写真を撮った。完全にファンの行動である。

 

コンペの審査委員長は最終日、各賞を発表した後、記者会見でコメントするはずなので、今年の東京国際映画祭は最後まで楽しみです。

 

 

 

 

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