鯉川 鉄人うすにごり酒
先日、友人たちが快気祝いに神楽坂のお店を予約してくれ、おおいに美味しい熟成肉を楽しんだ。その際、快気祝いにいただいた日本酒。映画モチーフのラベル!さらに、最近行ったばかりの山形・庄内の鯉川酒造という偶然。日本酒、たくさん売られていたけれど、これは見かけなかったな。
山形+映画モチーフだから、山形国際ドキュメンタリー映画祭にちなんだラベルかな?と思えば違って、山形県鶴岡市出身の冨樫森監督の高校の同級生が鯉川酒造の蔵元、という縁なのだとか。監督の映画『鉄人28号』にちなんで、「鉄人うすにごり酒」という名前です。これは映画&お酒好きには嬉しいギフト!
東京国際映画祭が始まり、以前ほどの本数ではないけれどヒルズに頻繁に通っている。観たい映画のスタートが21時台と遅いことが多く、久々に終電を気にしながら映画を観ている。体力勝負。健康を取り戻せて良かった…(しみじみ)…。そして、コンペで観たフルーツ・チャン監督『三人の夫』が強烈だった…!
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP14
もうもう女優さんが圧巻の演技だったので、あの人にたんまりと賞をあげてほしい。なかなか片手間には書けないので、映画祭が終わる頃に1本ずつ感想を書こうと思います。
【本日更新】moonbow journey 009 『2016年トロント映画祭』
本日更新しました。
移動式映画館moonbow cinemaの軌跡を追う連載moonbow journey 第9回は、みづきさんの2016年トロント映画祭訪問記。
気になった1本の映画を追いかけ、みづきさんが辿り着いたトロント。東京国際映画祭と同じ略称(TIFF)なので、東京の情報を得るためにタグを追うと、私も必ずトロントの情報に引っかかり、規模の大きさや華やかさに圧倒されていました。
映画祭を訪れる理由は人それぞれだけれど、トロントでのみづきさんの体感を読むと、みづきさんが映画祭に期待する何かは、私と似ているのかな、と思いました。黙々と映画を追いかけることは、どこかしら孤独が伴う…と感じていた中、初めて参加した映画祭で、飛び交う質問や満場の拍手に包まれ、孤独感は少し薄れ、それまで以上に映画を好きになったのです。
秋は映画祭の季節。どの国、どの街の皆様も映画祭に行ってみたいな、と思っていただければ幸いです。それではどうぞ、お楽しみください!
moonbow cinemaはこちら
moonbow cinema 『オリンピア』二部作
時間が経ってしまいましたが、9月末、moonbow cinemaで『オリンピア』を鑑賞したことを記録しておきます。moonbow cinema 3周年、10回目の記念すべき上映。おめでとうございます!
『民族の祭典』『美の祭典』の2部作から成る1936年ベルリンで開催されたオリンピックを女性監督レニ・リーフェンシュタールが記録した『オリンピア』、神楽坂の古い一軒家で上映されました。
詳細はこちら
https://moonbowcinema010.peatix.com/view
住宅地らしい細い道を歩き、本当にここで合ってるのかしら…moonbow cinemaのロゴも入り口にあるし…と、おそるおそる入り、案内していただいたのは床の間もある畳敷きの和室!座布団ではなく椅子があったけれど、なんとも実家っぽいというか、ノスタルジアが否応なしに呼び起こされる空間。
この夏、あまり出かけられなかったかわりに、部屋のスクリーンでW杯や甲子園中継を観る時間が長かったせいか、スポーツ(観戦)の夏から、スポーツ(観戦)の秋にスムーズに移行したような錯覚。見知らぬ観客の方に混じり、日本のメダル争いをハラハラ見つめ、勝利した瞬間には、やったね!!と叫びたくなるような(叫ばなかったけれどもね)微かな連帯感を感じるユニークな映画体験でした。
観ながら考えたことメモ。
・オリンピックを記録した映画では、市川崑『東京オリンピック』や、クリス・マルケルが撮ったヘルシンキ・オリンピックについての映画を追ったドキュメンタリー『オリンピア52についての新しい視点』(メゾンエルメスで鑑賞/詳細はこちら※)と独特の作風の映画ばかり観ていたせいか、レニ・リーフェンシュタールの撮るこのベルリン・オリンピックは政治と切り離し映画そのものをじっと見つめてみると、スポーツと躍動する人間の身体にフォーカスしたシンプルなドキュメンタリーだな、と思った。
・興奮する客席を捉えたショットも多く、日本人選手を応援する日本人も多く映る。この時代にベルリンでオリンピックを観戦する日本人とは、ずいぶんな特権階級なのではなかろうか。選手の家族?ヨーロッパ駐在の外交官?
・観客のファッションも着崩さないきっちりした正調の洋服で、どのタイミングから観客たちはカジュアル化したのだろう。オリンピック観客席の服飾史というテーマでオリンピックドキュメンタリーを観てみるのも面白そう。
・現在では当たり前となった、競技をリアルタイムでカメラで捉え、スタジアム内のビジョンに映し出す技術は当然1936年には存在せず、広いスタジアムで観客は双眼鏡を握りしめながら観戦する。そして競技の決着がつかず日が暮れると、ナイター設備も万全ではないスタジアムは文字どおり薄闇に包まれ、選手はかろうじて競技はできている様子だったけれど、観客にはどれぐらい見えていたのだろう。
・1936年のオリンピック、女性の種目数は現在より少なかったのだろうか。映画の時間配分としてはずいぶん男性偏重で、女性は添え物、競技場の華のような扱い。それは実況にもあらわれていて、実況担当の男性の声がどれだけ興奮しても、男性選手は最後まで名前と国名がきちんと呼ばれるのに対し、女性は徐々に「次はハンガリー娘」「優勝はドイツ娘!」と娘っこ扱いされ、2020年にあれをやったら大炎上しちゃうな、と思いながら観た。
・刻々と完成形に近づきつつある2020年東京オリンピックのスタジアムの建設現場をよく眺めるけれど、マラソンや短距離走だけがオリンピックではなく、馬術もセーリングもオリンピックなのだ。ああいった競技、東京のどこで開催されるのだろう。
・オリンピックを観戦するヒトラーの姿が頻繁に捉えられている。女子リレー、ずっとトップだったのに最後にバトンを落としてしまったドイツの選手の姿と、憤って多動になるヒトラーの姿が交互に映っていたけれど、あの選手、あの後、無事だっただろうか。
・30年代の映画、ベルリン出身となるとルビッチを想起するけれど、レニ・リーフェンシュタールはルビッチの10歳年下。アメリカに渡ってナチスを強烈に皮肉ったルビッチと、ベルリンで映画を撮り続けたレニ・リーフェンシュタール。どちらの運命も数奇で、それぞれの人生はまったく別物だ。当たり前だけれど。
休憩中、みづきさんが回覧してくださった『オリンピア ナチスの森で』(沢木耕太郎著/集英社文庫)は、このベルリンオリンピックに参加した日本のアスリートたちを追ったノンフィクションで、レニ・リーフェンシュタールへのインタビューも収録されているとのこと。映画を鑑賞した後に読むと最適だそうです。読んでみよう。
秋のmoonbow cinemaはオリンピック
連載『moonbow journey』で活動を綴っていただいているmoonbow cinema、秋の上映のお知らせがありました。
詳細はこちら
https://moonbowcinema010.peatix.com/view
9/29(土)、上映作品は『民族の祭典』『美の祭典』。1936年のベルリンオリンピックを記録した映画。不思議と長さを感じさせない面白さがあった記憶。日本公開時とてもヒットしたと聞いていたけれど、冷静に考えてみて、テレビもなかった時代、オリンピックの結果は新聞やラジオ音声で知るしかなく、映像で観ること自体、珍しかったんじゃないかなぁ…と想像したら、wikiにそう書いてあった。
写真は北京のオリンピックスタジアム界隈。これ、手前の箱型の、壁面に水の波紋のような模様があるブルーの建物はオリンピック水泳競技に使われたプール。その奥に平行するようにほぼ同じ高さでマンション、オフィス用の民間の建物があり、その先頭が龍の頭のデザイン。こんなふうにスタジアム広場から眺めると、水辺から龍がニュッと頭だけ出しているように見えるの…と友達が説明してくれた。龍の頭部分のマンションだかオフィスだかの部屋、べらぼうに高いんだろうな…。
オリンピックが街の景色をがらりと洗い替えてゆくことを私は北京で知り、まさか東京でも味わうとは思っていなかった。2020年、東京はどんな顔をしているんだろうと、どこを見渡しても工事中だらけの街を見て、ふと考えてしまいます。
1936年のベルリンオリンピックを、開催当時の東京の生活を連想させるような神楽坂の古民家で観るmoonbow cinema、映画&スポーツの秋のはじまりにぴったりでは!予約は明日9/22(土)正午スタートとのことです。
Cinema memo : 70mm
日比谷界隈の夏空。
フィルムセンター改め国立映画アーカイブで秋、『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映があることを知った。
上映は10/6〜7、10/11〜14、チケットは9/1から発売。
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/unesco2018/
映画の上映、フィルム→デジタルへの変遷があっけなく急速で、これまで当たり前に享受していたフィルム上映が、ずいぶん贅沢でノスタルジックなものとして扱われるようようになるまで、これまで自分がどんな素材で映画を観ていたかに無頓着だったけれど、70mmで映画を観たことって、果たしてあったのだろうか。初体験かもしれない。需要に対して上映回数が少ない気がするけれど、無事チケット買えるといいなぁ…。
ナヒード
2016年なら国際映画祭コンペティションでグランプリを獲った『ナヒード』について何も書いていなかったので、薄れゆく記憶の底から断片をさらってメモ。
イラン映画、どれを観ても粒ぞろいに面白く、文化のギャップも日本暮らしの私には目新しく、アスガル・ファルハーディーを筆頭に複雑に絡まった伏線がパズルのピースを埋めるように回収されてゆく見事な脚本、イラン映画というだけで鑑賞後の満足度はある程度は保証されている…という安心感。
けれど、何年か追いかけるうちに、やがてその質の高さに食傷気味になってきた。結婚前、自由恋愛は許されても、肉体関係を持つことは許されていない女性たち。詳しくないけれど、私が映画の中で出会った女性たちはすべからくそうだった。婚約中に他の男性と歩くだけで禁忌に触れるおそれがあり、気に病んだ女性が自殺する結末に至った時は、何がいけなかったのか理解できず、ひとしきり調べてみたこともあった。
イラン映画を観た後にモヤモヤした後味が残り始めたのは、そんな女性たちの選択肢の多くはない生き方が、物語を駆動させるための道具として便利に使われているように思えたからかもしれない。箱の中の美しい小鳥を緻密に観察はしても解放はしてくれない映画たち。
『ナヒード』が印象に残っているのは、あちこちにぶつかって傷をつくる女性の姿を、揺れる気持ちを揺れるままに描写し、巧く物語に回収しなかったからかもしれない。男だ女だという主語で語るものではないかもしれないけれど、女性監督が撮ったイラン映画を観たのは初めてだったはずで、私にはずいぶん新鮮だった。
『ナヒード』
http://nara-iff.jp/2016/films/internationalcompetition/niff4952.html
9月に開催される第5回なら国際映画祭で、『ナヒード』のアイダ・パナハンデ監督が奈良で撮った映画が上映されるようです。天理市で撮影。
http://nara-iff.jp/narative/narative-2018.html
【本日更新】Cinema on the planet 008 なら国際映画祭
本日更新しました。
映画にまつわる場所を巡るリレー連載「Cinema on the planet」第8回は奈良出身の私が案内する「なら国際映画祭」。2年に1度開催される映画祭、この秋に第5回が開催されますが、前回(2016年)参加した時の記録です。
奈良で撮影された映画を観るといつも、あんなに何もない場所でも映画って生まれるんだなぁ…と考えます。そしてその後、いやいや、あんなに特徴のある場所なんて滅多にない、映画にぴったりじゃないか、と真逆のことを考えます。やっぱり好き、やっぱり嫌いが地層のように降り積もったふるさとへの「適度な距離感」なんて永遠に掴めないのかもしれません。
たくさんの鹿、たくさんの映画の隙間に子供の頃から通ったお好み焼き屋も登場します。読み終わって、なんだか奈良っていいところなんだな、と思っていただけるなら、やっぱり少し誇らしい気持ちになるのだと思います。奈良人として。
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