【本日更新】Design for Living 生活の設計 / Dress for Noriko Chapter1 着想
本日更新しました。
映画好きの私のための、映画から着想を得た服を、hPark 古川博規さんに仕立てていただく、着想から完成までの過程を追う連載「Design for Living 生活の設計」。1着めは、「Dress for Noriko」。
物心ついた頃から何度も観ているけれど、観るたびに不穏さばかり増してゆく小津映画からの着想。Chapter1は、私が映画を観て思ったことを、わーっと喋った秋の日の記録。そして映画をご覧になった古川さんがメモした、謎かけのようなキーワードと写真群です。
1935/2046
北京の映画博物館で見つけた、1935年の中国映画のパネル。大きめのドットのチャイナドレス。日本で観られる中国映画なんて本当に少なく、クラシック映画なんて観る機会がないので、どのパネルも面白かった。
「メットガラ」を観ていると、王家衛の落ち着いた的確なアドバイス、さすが中国上下5000年の歴史の裏付けを感じさせる金言の宝庫…と思うと同時に、「花様年華」のファッション界への影響の強さを思い知る。柳が風にたなびくようなマギー・チャンの美しさに異論はないけれど、みんなもうとっくに忘れてそうな続編?「2046」、私は好きだった。物語が破綻気味なのは王家衛映画の常だから特段驚かず、SF要素もある映像の美しさにうっとりした。そしてチャン・ツィイー!
「2046」のチャン・ツィイー、好みはありましょうが「花様年華」のマギー・チャンとはまた違う系統の中華圏の女の美しさをこれでもかと見せつけ、体幹のしっかりした自己肯定感の高そうな体つきのせいか、王家衛映画常連の女優たちと比べても世代がいくつか若いせいか、ごうごうと新風を吹き込んでいて素晴らしかった。
メタリックなチャイナドレスに、たっぷり塗ったマスカラ、シャラシャラ揺れる煌めくイヤリング…。ま、チャン・ツィイーが好きなだけなのだけれど。他の映画はamazonビデオに揃っているのに、「2046」がないのは、ジャニーズの堅牢な壁という理由でしょうか。
メットガラ
5月に観たドキュメンタリー「メットガラ」。
ファッションの世界は華やかで、この映画でも提示されたように、ファッションそのものがビジネス?アート?等、様々なグレーな問いを含んでおり、映画になりやすい題材ということか、ファッション・ドキュメンタリーは量産されている印象だけれど、私は割と警戒している。だって面白いものが少ないんだもの。「いくつになっても女・現役!」みたいな、ファッション誌の見出しのような証言セリフが散りばめられ、3年後には聴くだけで恥ずかしくなりそうな音楽が流れて纏められてしまって、これだったらファッション誌を読めばいいのでは…映画じゃなくて、という気分に陥る。
「メットガラ」はメトロポリタン美術館服飾部門のキュレーター、アンドリュー・ボルトン、泣く子も黙るアナ・ウィンターが登場し、製作過程に密着するのは「China: Through the Looking Glass」、中国文化の服飾への影響がテーマの展覧会…これだけ素材が揃えば、そうそうつまらないのは作られまいて…と淡い期待を抱き観に行った。
けれど、なかなか壮大な素材殺しを観たわ、と、どんよりした気分で映画館を出ることに。
西欧諸国よりも中華圏に対して心の距離がより近い私は、中国の歴史や文化に対する彼らの敬意や理解のなさばかり強調され、おおいに苛立った。注意しなければならないのは、敬意や理解がなかったかどうかはわからないけれど、映画がそんな一面ばかり切り取ったように見えたということ。
メトロポリタン美術館の東洋美術部門も協力し、インスピレーション源となった美術品(仏像や壺)とファッションを同時に展示するのは、大きな美術館ならではの良さがあるとして、人民服と毛沢東の肖像、さらに仏像を同じ展示室内に並べたい…と、いいこと思いついちゃった!とばかりにウキウキ提案するアンドリュー・ボルトンの前で複雑な表情を浮かべるウォン・カーウァイ、その後、静かに再考を促すウォン・カーウァイ…等、ハラハラしながらも珍奇な場面を目撃するもの珍しさはあったとして、視察やデザイナー訪問のため訪れた北京で、中国の女性ジャーナリストから中国に対する理解不足を指摘される場面では(質問はうろ覚えだけれど、確か少し批難するような口調だった→北京で会見をすることは、古い中国を発信するというメッセージになりかねないが、それについてどう思うのか?だったかな)、ようやく観たいものがきた!どんどん斬り込んで!と一瞬興奮したものの、たいして納得できる答えがなかった上に(答えたけれど、映画はそれを使わなかったのかもしれない…と疑うほどに、私はこの監督を1mmも信用していない)、カメラはジャーナリストが去った後の「彼女は1930年代(だっけな?)を生きているのよ」とイヤミを言うアナ・ウィンターの発言と軽い嘲笑の表情を捉え、この不快感は何だろう。監督はファッションは歴史にインスピレーションを得ながらも同時に過去を否定し「新しいこと」を更新していく…ことを示したいのかもしれないけれど、見せ方が上手くないせいかファッションの軽薄な一面だけが必要以上に強調されてしまっているように思えた。
しかし考えてみれば、これは「China: Through the Looking Glass」の準備過程であると同時に、セレブリティが集結し展覧会のオープニングを彩る「メットガラ」のドキュメンタリーなのだから、一夜限りの「メットガラ」の華やかさが映れば良いのかな、と、やけくそ気味に気を取り直す。この年のメットガラ、よく覚えている。中国を代表する女優たちがずらりと並ぶ写真、絢爛豪華で見惚れた。特にファン・ビンビン(范氷々)!「傾国の美女」という表現はこの人のために使うべきでは?という浮世離れした美しさで圧倒された。映画にはもはや期待しないから、動くファン・ビンビンをスクリーンで観られたらそれで良い…と待ち構えていたら…最後まで登場しなかった…!ファン・ビンビンだけではない、中国の女優は一人も、一秒も登場せず、存在自体が黙殺されていた。席順決めに困った結果、会場の隅に追いやられたクロエ・セヴェニーが、ひとりぼっちなのー!と騒ぐ、呆れるほどどうでもいい場面に数秒使うのであれば、中国女優を映しておくれよ…。こんな年の「メットガラ」をテーマに選んだにもかかわらず、もしかして監督、中国、お嫌いでしょうか?メットガラでのファン・ビンビンはこちら。コン・リーのドレスも美しい!彼女たちが映されず、ディズニー魔女のようなギャグのような帽子?をかぶったサラ・ジェシカ・パーカーが映されたことに、断固抗議したい。
映画はつまらなかったけれど、展覧会は中国を黙殺して成立するはずもなく、きっと素晴らしかったのだろうな。アンドリュー・ボルトンは「キングスマン」に登場しそうな英国紳士でフォトジェニックだし、オートクチュールも、それを着たアメリカのセレブリティも登場するから、そちらに興味があれば目の保養にもなる。中国に心の距離の近い私の興味を満たしてくれなかっただけで。
ふと、フレデリック・ワイズマンならどう撮っただろうかと妄想してみる。「チチカット・フォリーズ」「臨死」「DV」「軍事演習」「動物園」…といった、その時々のアメリカを記録したフィルモグラフィに加わる「メットガラ」!淡々と現実を捉えながらも、鋭さが滲み、ファッションや米中関係に関する問いを提示し続け、この上なく面白いドキュメンタリーになったのではないだろうか。
紫陽花
梅雨入り。仕事を終えて建物の外に出たら、紫陽花と目があった。撮ってみたけれど、ぼやけてて…疲れてるのかな、と、さっさとメトロへ。
後からカメラロールを見たら、ブレて抽象画のような紫陽花。これはこれで綺麗。洋服の柄みたい。
秋日和の百合ちゃんの帽子って、紫陽花モチーフなのかな。こちら。ドレスとセットだとしっくりくるけれど、この後、この装いにコートを羽織って原節子のアパートに来る場面は、コートと帽子がいまいち合ってなくて、祭りのあと、というニュアンス漂い、それもまた良し。
クリステンメガネ
どういうわけか、今年の5月はとりわけ美しかった。こんな季節に死にたいと思うほどに。5月が去り、梅雨入り間近の東京は蒸し暑く、今日のおやつは、茹でたトウモロコシ、麦茶添え。もはや夏。
「パーソナル・ショッパー」を観て以来、ぽーっとクリステン・スチュワートを記憶の中で反芻する。あのモダーンな身体に30年代の衣装は不似合いな気がして、「カフェ・ソサエティ」は観に行く気にならない。熱が去った後に観ようかな。
日々、目を使うことしかしていないのでしょうがないことだけれど、最近また視力が落ちた気がして、家でかけているメガネを新調すべく、あれこれリサーチ。クリステン熱のせいか、気がつけば「シルス・マリア(アクトレス〜女たちの舞台)」でクリステンがかけていたような…と、画像検索してしまっている。
これ!クリステンだから似合うというわけでもなさそうな、オーソドックスなメガネだから私にも似合うかしら。ここ数年、スクリーンで出会ったメガネ女優の中で、この映画のクリステンが最も印象的だったのは、メガネをかけることによってオーラを封じこめていたからだろうか。気恥ずかしくて美容室でも誰かの写真を持って行ってこんなふうに…と言ったことがないけれど、メガネは頻繁に買うものでもないし、ここはひとつ勇気を出して、こんなメガネが欲しいんですけれど…って言ってみようかな。
動くメガネ・クリステン!
David Lynch T-shirts
この夏のTシャツ。現在開催中のカンヌ映画祭、70周年だそうで、映画祭と親交の深いagnes b.からデヴィッド・リンチのTシャツが発売された!黒と白があって、黒はcinemetal Tシャツを持ってることだし、アジアの夏は過酷なので黒ばっかりもね、と、涼しげな白にしてみた。
http://www.agnesb.co.jp/news/cannes
デヴィッド・リンチが大好きなアメリカの歌手リッチー・ヴァレンスが歌う「Donna」がモチーフとのこと。ポストカードサイズの説明もついていた。
話題のツインピークス新作は、5/25(今日!)カンヌで上映されるもよう。デヴィッド・リンチ、カルティエ財団であった個展を観た時も思ったけれど、手書き文字が意外な可愛さ。あの展示、妖しい絵の横にボタンがあって、押すとドドォーン、ヌォーンと映画の効果音のような不穏な音が流れるのが面白かったけれど、当時知り合いだったヨーロッパ圏の人々が軒並み、リンチのアートを酷評していたことを覚えている。世にも醜いものを観た!という感じで。私にそのスイッチがないから気づかない禁忌に触れているのかな…と思ったけれど(キリスト教とか歴史とか)、謎のまま。
背中には70周年記念の文字が。何日か前の、70周年記念セレモニーは、あの人の隣にあの人がさらにその隣にあの人も!と目が忙しい絢爛豪華さであった。
http://www.festival-cannes.com/en/festival/web-tv/channel/70th-anniversary
【本日更新】新連載 「Design for Living 生活の設計」Prologue
本日更新しました。
新連載「Design for Living 生活の設計」は、映画好きの私のための、映画から着想を得た服を、hPark 古川博規さんに仕立てていただく、着想から完成までの過程を追うものです。
本日更新した序文は、まず私、次に古川さんが文章を書き、間に挟まれる写真は古川さん撮影によるもの。謎めいた美しい写真群、なるべく大画面でご覧いただきたく。スマートフォンの場合は横画面を推奨いたします。
着想し、着る人(私)と、着想を受けとめ、つくる人(古川さん)の膨大なやりとりと試行錯誤を経て、一着の服がゆっくりと形を成していく様子、まずは一着めの完成を、のんびりと見守っていただければと思います。
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